お知らせ・コラム
建設業の賠償事故から学ぶ損害保険加入のポイントとは
今回は、建設業者様向けの賠償責任保険について実際の事故例を基にご紹介していきたいと思います。一言で建設業といっても大きな分類として土木工事、設備工事、一般建設工事などに分けられていますが、今回は一般建設工事について中心に触れていきたいと思います。ビル建設工事や木造建築工事、増改築工事などのリフォーム工事などが一般建設工事に含まれており、建設工事の中でも身近な工事の一つと言えます。
賠償責任に加入をご検討されている方や賠償保険の内容を確認したい方などはご参考にして下さい
【目次】
1.建設業様向け賠償責任保険のポイント
2.実際の事故例①(溶接作業によって火災が発生)
3.実際の事故例②(漏水事故)
4.今回のまとめ
建設業様向け賠償責任保険のポイント
建設工事現場での工事保険とも呼ばれることがある賠償責任保険ですが、建設現場で起きたすべての問題を解決できる保険ではありません。
基本的には第三者の財物を損壊してしまった時や他人を負傷させてしまった際の法律上の賠償責任を補償する保険になります。第三者の財物の損壊を伴わない事故や色違いや出来栄えが気に入らないなどの理由で、施主や元請けからやり直しを求められた場合には保険で対応できません。また補償の範囲や内容なども特約の有無や各保険の補償内容により異なります。今回は基本補償のおさらいから触れていきたいと思います。
・基本補償の対人対物賠償
①施工中に起きた事故の賠償
工事現場などで作業中に発生した対人対物事故に対する備え
例)・塗装工事中に発生した塗料飛散事故
・荷物を運搬中に壁を壊してしまった
・足場の組み方が悪く、強風で足場が倒壊し近隣の建物を壊してしまった
②生産物賠償(仕事の目的物)
工事が完了し、引き渡し後に発生した対人対物事故に対する補償
例)・1年前に引き渡しが完了したマンションのタイルが剥離し下に駐車していた車の上に落下し傷つけてしまった
・リフォーム工事を行った物件で引き渡し後に雨漏りが発生し、調査したところリフォーム工事した箇所が原因だった
・おすすめの特約の工事用物損害特約
賠償責任保険は第三者への対人対物事故に対しての補償であり、自分のモノや当該工事で施工中のモノに関しては基本補償では補償する事は出来ませんが工事用物損害特約や組立保険・建設工事保険などに加入する事により補償する事が出来ます。
実際に事故が発生した際には、施工中に起きた事故なのか引き渡し後に発生した事故なのか、または壊してしまった財物が他者のモノか自分のモノかによって補償できるかどうかが変わってきます。
実際の事故例①(溶接作業によって火災が発生)
・事故内容
愛知県名古屋市から倉庫の改修工事を請け負う。倉庫出入口部分の断熱カーテン新設作業中にカーテンレール鋼材の溶接作業をおこなっていた際に溶接火花が内壁の裏の断熱材に引火し倉庫の広範囲が焼損した。
・被害報告
対物賠償・倉庫
工事用物損害(組立保険)・当該工事で施工した部分
・被害総額
78,000千円(見込み)
・事故のポイント
引火しやすい断熱材への養生が不十分であったことが原因で火災が発生してしまった。現場での溶接作業中に火災が発生する事故が多発しており、自社で溶接作業を行う際は相当の注意が必要であり、下請け企業や協力会社が溶接作業を行う場合も当然、相当な注意が必要です。
今回の事故では、溶接の資格を持つ下請けの専門業者が溶接時の養生不備で火災を発生させたことは、重過失と判断され失火法による賠償責任の免責はなしと判断された(※故意や重過失ではないと判断された火災については失火法により賠償責任を免れる)
また、保険の契約者は元請で実際に溶接作業を行ったのは3次下請であったが、当該の溶接工事は2次下請けが中心となって行っていたため2次下請に大きな管理責任があるが、保険契約者の元請けも元請けとしての責任が追及される。
今回の改修工事で新しく施工した部分に関しては引渡し前である為、施工業者の所有物と考えられるので通常の対人対物の賠償責任保険ではお支払いの対象外となります。
当該工事で施工した部分の補償が必要であれば、工事用物損害特約もしくは建設工事保険・組立工事保険の加入が必要となります。
実際の事故例②(漏水事故)
・事故内容
マンション新設工事における給排水設備工事を保険契約者が一次下請として請け負った。無事に施工が終了し引き渡した後に事故が発生した。引き渡しから半年後にホースと綱手の接続部から漏水が発生。階下へも漏水被害が広がり水漏れ損害が発生した
・被害報告
対物・他物、目的物(契約者が施行したモノ)
・被害総額
41,857千円
保険のポイント
漏水事故が発生した物件は、セカンドハウスとして利用していて常時居住してはいなかったため、漏水発覚までに長時間が経過して接着剤と化学反応を起こしアンモニア臭が発生した。スケルトン工事(一度内装を全て撤去して躯体のみの状態とし、内装を全て新たに作り直す工事)が必要と判断したことが高額賠償の理由となりました。
今回のケースの様に、引き渡しから比較的早い段階で発生した建物が原因で発生する賠償事故に関しては施工不良の可能性が高く原因を追究した結果、施工業者が責任を負うケースが多いようです。反対に施工から10年以上経っている物件で発生した事故に関してはマンションの管理が悪かったり、住居者の過失などのケースが多いのでその場合は、事故を起こした加害者が賠償を負う事になります。
今回のまとめ
火災の事故や水漏れの事故は高額な損害賠償事故に発展してしまう危険性が高い事故になります。請負金額が少額な工事でも高額な賠償事故に発展する可能性もありますので、建設業を営む方はしっかりと補償内容をご確認のうえ賠償責任保険にご加入する事をお勧めしております。
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