お知らせ・コラム
『巻き込まれ死亡事故多し』さく井工事業における任意労災の必要性とは
さく井工事業のなかの「さく井」という言葉、あまり聞きなれしない言葉とはなりますが、さく井とは「井戸を掘ること」です。
漢字で書くと「鑿井」となり、“鑿”という字は大工道具の“ノミ”を表す漢字です。イメージとしては何かを掘る!ということが伝わってきます。現在業界内ではこの「鑿」という字は使わず、「さく井」とひらがなで交ぜ書きすることがほとんどです。
今回はこのさく井工事業において起こりうる労災事故について触れていきます。
【目次】
1.具体的にさく井工事とはどのような工事なのか
2.さく井工事ならではの労災事故に備える
3.今回のまとめ
具体的にさく井工事とはどのような工事なのか
国土交通省が「さく井工事業」と定めているのは9種類あり、さく井工事で作られる井戸は、くみ上げるものの種類や目的によってさまざまな種類に分かれています。
それぞれの種類について
さく井工事
地下水をくみ上げるため、地面に穴を掘って井戸を造る工事です。井戸からくみ上げた水は、飲み水などの日常生活用水としてだけではなく、農業用水や工業用水にも使われています。
観測井工事(地震観測井、火山観測井など)
観測井とは、地下水をはじめ、温泉、石油、天然ガスなどの地中に埋まっている資源が、どんな状態なのかを調べるための井戸です。
温泉掘削工事
温泉を掘るための工事のことをいいます。温泉というと入浴用を想像しがちですが、地熱発電にも使われています。
還元井工事
還元井とは、くみ上げた地下水を再び地下に戻すための井戸です。主に地下水による地熱発電で使われます。
井戸築造工事
地面に穴を掘って地下水を湧き出させるだけでは、井戸として使えるようにはなりません。地下水を目的に合わせて自由に使えるよう、井戸として整備する工事を「井戸築造」といいます。
揚水設備工事
地下水のある地層まで穴を開けても、必要な量の水が湧き出してこないことがあり、その場合、ポンプなどでくみ上げなければなりません。ポンプなどの揚水設備を整えることも、さく井工事業のひとつです。
さく孔工事
さく孔とは、鉄筋コンクリート、レンガ、大理石、陶器、石材など、硬いものに穴を開けることをいいます。さく井工事と同じような技術を必要とすることから、さく井工事業のひとつに定められています。
石油掘削工事・天然ガス掘削工事
油田やガス田を作る工事です。日本は、石油や天然ガスといった地下資源が豊富ではないため、あまり一般的ではありません。
さく井工事は、やぐらの昇り降りやボーリングマシンの利用、缶材の太さ等を含め大変危険を伴う仕事なので、当然ながら安全対策をしっかりしなければならない仕事です。そのため事故が起こらないよう、現場監督の監視のもとで工事が進められます。
さく井工事ならではの労災事故に備える
さく井工事ならではの労災事故を見ていきましょう。
さく井機に身体の一部が巻き込まれ死亡
U株式会社はH30年12月25日に富山市内の工事現場において、さく井機を用いてさく井工事作業をしていた労働者がさく井機の回転軸に身体の一部が巻き込まれ死亡する事故を発生させ、富山簡易裁判所から労働安全衛生法違反により罰金20万円の略式命令を受けました。※富山市HP参照
山林の地すべり防水工事現場における横孔ボーリング中の巻き込まれ災害
今回のボーリングマシンはドリルを横軸に回転させ、地盤を掘削するタイプで、その掘削作業装置は、中空肉厚パイプ(ボーリングロッド)の先端にドリルカッターが付けられたもので、深く掘り進んでいくために、ねじ込み式で順次、ボーリングロッドを継ぎ足していける構造になっていました。災害発生の当日、被災者であるAはBとともに午前中、別の現場で作業を行った後、正午過ぎに本件現場に到着、Cが一人で受持ちである作業箇所において、ケーシーリング抜き(地中ボーリングの際挿入したケーシングパイプを回収する作業)を行っており、それを知ったAはBをCの作業補助として残し、その作業箇所から40Mほど離れている自分の受持ち作業箇所へ行きました。約一時間後、現場代理人であるDが本件現場のパトロールにやってきて、BとCの作業箇所で打合せをしていたところ、Aが作業している箇所に設置しているボーリングマシンが黒煙をはいているのを発見し、CとDは異常事態の発生に気づきました。
事故については、午前10時頃、接続器を取り付けてつり上げたロッドが振れて被災者Aの身体に当たったため転倒しました。その時に、作業台にあった開口部に被災者Aの左足が入りましたが、Aからロッドの巻き上げの指示があったので運転者はウインチを巻き上げました。そのために、被災者Aの左足がドラムと巻き上げワイヤーロープとの間に挟まれて切断され、出血多量のため死亡しました。※埼玉労災一人親方部会参照
上記2つの労災案件をみますと、さく井機やボーリングマシンなどの大きな機械に巻き込まれる労災事故が多いように感じます。
また、機械に巻き込まれる=当然重大災害=死亡労災=企業の責任重大、、となってしまい、政府労災以外に必ず、民間の保険会社の任意労災にて使用者賠償を備えておきましょう。
また、この業種の特徴として、大きな設備を取り扱うという点があります。そのような設備を用意する為、この事業を始められる方はかなりの設備投資が必要といえます。また、さく井工事の事業をはじめるには土木施工管理技士資格が必要で、1級と2級ともに学歴によって必要な実務経験が異なります。学歴がない場合は実務経験があれば取得できる資格です。2級をとったあとに実務経験も積んでやっと1級を受験できますが、合格率は20%とかなりの難関資格であり、新しい資格なので保有者も少ない、その分取得には条件も難しい内容となっています。
このように、さく井工事業は参入するのになかなかハードルが高くライバルが割と少ない業種ともいえます。そして、設備への投資や大きな機械をあつかう安全面から保険の備えも必要となり、あらかじめの金銭面での準備が必要となってきます。
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建設業28業種についてのまとめ記事はこちらもご確認いただけますと幸いです。>【保険代理店”目線”のまとめ記事】28種類もある建設業の種類について「建設業許可」で分類される各業種を徹底解説!
今回のまとめ
大きな機械を扱うので、その設備に巻き込まれる労災事故のおおい、さく井工事業においても損害保険は当然ながら必要です。また、他業種よりも重大災害への発展の恐れもおおいので、ふだんから安全面の意識をあげていきましょう。現場内のヒューマンエラーを出来る限り防ぐことで、悲しい死亡災害を防いでいきましょう。
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