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労災事故を防止するために「リスクを熟知する人を育てる」

労災事故を防止するために「リスクを熟知する人を育てる」

仕事においてはなにより業種に伴うリスクについて、現場で作業をする人はもちろん、監督指揮をする上層部においても常に知っておくことが大切です。

こと建設現場、物流業、運輸業においては、様々なリスクを常に考えて作業しなくてはなりません。足場からの墜落や、車両や機械による巻き込みなどはもちろん、熱中症対策なども大切なリスク管理のひとつです。

昨今では大手、中小問わず現場で作業をする方は空調服を着て作業を行っていることが多いようです。空調服は1万円を超える高価なものも少なくないようですが、今のものは品質も向上しバッテリーが一日持つようになり、適度な空調により快適性が増し作業もはかどることで、徐々に普及してきたようです。また水分補給の管理を適切に行うことも熱中症対策のひとつです。

今回は、建設業、運輸業、物流業などでの事故や災害のリスク事例を改めて考えることで、リスクを減らしていくために、また起こってしまった事故や災害にどう備えるかを考えてみましょう。

【目次】

1.あなどるなかれ、高さ1メートルが死を招く「運送業の注意点」

2.年間30人以上が足場から墜落死しています【現場の事故】

3.今回のまとめ

 

あなどるなかれ、高さ1メートルが死を招く「運送業の注意点」

物流業、運輸業にとってトラックの荷役装置として不可欠なテールゲートリフターですが、転落や転倒による労働災害が意外と多く起こっています。たった1メートル程度の高さであっても落下すれば致命傷になるケースもあります。ドライバー自身が適切な使用方法を知ることが重要です。

【TGL(テールゲートリフター)災害の8割が運輸業で発生】

業種ごとのTGL災害の発生割合を集計したところ、もっとも多かったのは運輸業であり

全体の8割を占めています。TGLはトラックに装備するものですからトラック保有事業者である運輸業に集中するのは当然といえます。

被災状況は主に4つのパターンに分けられます

①作業者の転倒・転落、飛び降り    24.6%

②荷の転倒、転落による下敷き     22.7%

③作業者の転落による下敷き      17.7%

④ホームと荷台の間に挟まれる     20.5%

①~③からわかるように、荷や作業者の転落やそれに伴う下敷き事故がとても多いようです。また厚生労働省と労働安全衛生総合研究所は、TGL取り扱い時の労働災害防止に特化したリーフレットを公開しています、それらを参考に安全防止策に努めるとともに、起こってしまった労働災害事故にどう対応していくのかも考えなくてはなりません。もし御社の作業員の方が事故によりケガをしてしまい働けなくなってしまった、その間の所得が得られずそのまま退職することになってしまう、ということになれば、大きな損失となります。 

ケガによる入院や、長引いた場合の所得補償などに企業側自らが備えることで、安心して従業員の方に働いてもらうことができるのです。

人材が常に不足している業界では、従業員ひとりひとりを大切にしなければなりません。

墜落時保護用ヘルメットや安全靴の着用はもちろんのこと、柵や手すりを設置することでこれらの事故は防ぐことができます。

年間30人以上が足場から墜落死しています【現場の事故】

足場は、何かの上に乗らないと作業ができないほどの高さの時に組み立てます。働く人にとって安全に作業するために足場、足元はとても大切なものです。しかしこの足場からの墜落災害が多発しています。平成29年は、足場からの墜落により31人もの命が失われました。足場は建設現場以外でも工場、プラント、鉱山など様々な業種の事業場で使われていますが、なかにはしっかりした組み立てができていないもの、安全対策を充分にとっていない足場もあるようです。足場は仮設の構造物であり、作業が終われば解体を前提にしているつくりになっているため、組みあがってもリスクが潜んでいます。

【足場事故事例】

2019年3月19日。埼玉県さいたま市の3階建て住宅用建築現場で作業中の同市の建設作業員の男性(42)が足場から転落したと119番があった。男性は頭を強く打ち搬送先の病院で死亡が確認された。男性は足場を組んで、資材が飛ばないように飛散防止ネットを取り付ける作業中、約8.5メートルの高さから墜落。ヘルメットはかぶっていたものの、安全ベルトは外した状態だったという。

いかがでしょうか、こうした悲しい事故によってケガをしたり死亡したりするケースが毎年おきているのです。

もし、働き盛りの年齢の作業員がこのような事故で亡くなってしまった場合、残された家族から会社が訴えられることも少なくありません。もし遺族から損害賠償請求をされた場合、政府労災だけでは、慰謝料なども含めれば億を超えるであろう賠償金を用意することはできません

一度の訴訟で会社が立ち行かなくなってしまうような事態を防ぐためにも、使用者賠償保険で、万が一の労災を含めた民事訴訟に備えることが大切です。

今回のまとめ

作業中の「安全」、「精度」、「効率」では、何よりも「安全」が第一に優先されます。現場の作業員や職長だけでなく、上層部も含めた会社全体でKY(危険予知)の訓練や5S活動「整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)」によって職場が抱える課題を解決し、品質、納期、そして何より安全性を高めることを目標としていきましょう。

安全衛生活動を阻害する大きな要因は「マンネリ」です。上記のような訓練や活動も、長く続けていけば、つい形だけのルーティンになりかねません。

現場から上層部まで、会社全体が「労働災害を絶対に起こさない」という意思でこれらを行うことが重要なのだと思います。

リスクを熟知する人を育てていけば、事故は必ず減らすことができます。

また、それでもケガや事故、起こってしまった賠償事案に対して、あらかじめ保険で備えておくこともできます。ぜひ一度お近くの代理店でご相談ください。

 

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