お知らせ・コラム
労災、物損事故撲滅に向けた、企業の様々な取り組み
東京都の大手倉庫業のある企業では、フォークリフトに起因した労働災害や物損事故の撲滅に向けて、年一回、安全運転に関する24項目の「宣誓書」への署名を求めています。この制度は約5年前から導入されたものですが、導入後から現在まで、事故の件数は半減したと言います。各企業では、労災撲滅にむけてどのような取り組みを実際に行っているのでしょうか。
【目次】
1.24項目の宣誓書、その中身とは?
2.危険予知などの取り組みに広がり
3.今回のまとめ
24項目の宣誓書その中身とは?
同社の24項目の宣誓は、「作業に支障のない服装で運転する(ヘルメットなども着用する)」「急発進、急停車の禁止」「原則はバック走行」「運転者(自分)以外の人を乗せてはいけない」「荷崩れの恐れがあるものは必ず積みなおす」などの項目で構成されています。同社は首都圏を中心に29か所の営業所を構え、様々な企業から商品の保管を請け負っていますが、特に近年は物流量の拡大を背景に、取扱量は増加の一途をたどっています。業務で使用しているフォークリフトの9割は「リーチフォークリフト」とよばれるタイプが占めており一般的なフォークリフトとの違いは小回りがきくこと、立ったまま運転できるところです。その反面、転回時に遠心力が強く働き過ぎてしまい商品がツメから落ちやすく、作業が長時間にわたると疲労がたまりやすいなどの特徴があります。同社では20年以上前からフォークリフトの事故防止に努めてきました。事故には労災のほか、ツメで商品を破損したり、運搬中に商品を落下させることで商品の品質を下げる物損事故も含まれています。「品質向上」については、本社に専門部署を開設し、各営業所のメンバーで構成された推進委員会も設けており、品質マネジメントに関する国際認証も22年前にはすでに取得済みでした。しかし、2010年代後半から物損事故の報告が激増し、発生要因を調べたところ、運転に関するルールが拠点ごとにバラバラで、守るべき絶対的基準がないことが問題との結論にあたりました。例えば「ツメを昇降させるリフトレバーを操作しながら、その肘で走行レバーを操作する」など、非常に危険な運転が多かったようです。労災までにつながるような事故はなかったものの、従業員の慣れ、だれ、からくるこのような危険運転は、会社の安全衛生教育がしっかりなされていなかったともいえます。事態の改善に向けて2019年から「安全強化運動」と称する期間を設け、全社的に安全運転に対する意識向上を目指し、併せて全社的に守るべき運転ルールを策定しました
【危険な運転を防ぐ4原則】
①ヘルメットの着用
②レバーの同時操作の禁止
③周囲の安全確認
④商品を運んでいないときのリーチイン
全社的に4原則を徹底するため、とるべき行動や注意事項を24項目の宣誓書としてまとめました。運転者のなかには派遣労働者も多く、「疑問に思ったことや分からないことは、必ず社員に報告、連絡、相談をしなければならない」などの項目を盛り込んでいます。また運転者には毎年その宣誓書を丁寧に読み込んだうえで署名してもらい、安全への意識を高めているとのことです。
「危険予知」など取り組みに広がり
2023年から同社では、各営業所で1人、安全活動に関するリーダーを選任しているそうです。各リーダーをメンバーとする全社的組織「安全強化委員会」も立ち上げ、安全活動のさらなる発展を目指しています。リーダーには安全管理に関する権限を与え、朝礼やミーティングでの注意喚起や、話し合う機会を設けられるようにしました。その結果、各営業所での独自の取り組みも活発化し、24項目よりもさらに厳しい独自のルールを整備したり、労災事故や物損事故の発生リスクを考える「危険予知トレーニング」を実施する営業所も増えてきました。こうした様々な取り組みを行った成果は、事故の発生件数に現れています。2019年度は51件あった物損事故は2023年度には20件まで減少し、さらに6営業所が無事故を達成しました。事故が発生してしまえば、リカバリーには半日~1日以上かかってしまうことも少なくありません。作業スピードよりも安全面を重視した作業の方が結果的には効率が良いという認識が全社的に浸透してきているようです。
今回のまとめ
いかがでしたでしょうか。いくら安全衛生管理が大事だからといっても、宣誓書まで作らなくても・・・、毎日の朝礼での注意喚起で充分だという方も多いかもしれませんね。しかし、1年に一回宣誓書を読み上げ、自らの手で署名することで、安全衛生管理や、ゼロ災への思いが強く脳に刻み込まれるといった効果もあるのかもしれません。また、このようにゼロ災を目指すことは非常に大切ですが、起きてしまった事故(労災事故、賠償事故)に対して以下に素早く適切な対応ができる体制が整えられているかも、同じくらい大切なことです。保険商品の中には、万が一の様々な事故に備えられる補償もございます。詳しくはお近くの代理店までぜひご相談ください。
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