お知らせ・コラム
労災特別加入制度にフリーランスを追加へ
厚生労働省は2023年10月4日に開いた労災保険部会で事業者からの委託により業務に従事するフリーランスを労災保険の特別加入制度の対象に加える方針を示しました。対象者の範囲や保険料率の水準、加入者手続きを担う特別加入団体のあり方などを論点に議論を開始しています。2023年4月に成立したフリーランス新法の付帯決議では、希望するすべてのフリーランスが加入できるよう対象を拡大することとしました。(労働新聞10月16日号参照)
【目次】
1.対象の拡大が続く労災の特別加入
2.特別加入制度の内容
3.今回のまとめ
対象の拡大が続く労災の特別加入
労災の特別加入制度は業務の実情や災害発生状況などからみて、労働者と同じように保護することが適当な個人事業主等に対して任意に加入を認める制度です。従来、建設業の一人親方などが対象になっていましたが、令和3年以降、対象を広げています。
業種を限定せずにフリーランス向けの特別加入の拡充
令和3年には、芸能従事者、アニメーション制作従事者、柔道整復師のほか自転車配達員やITフリーランスを追加しました。さらに令和4年にはあん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師、歯科技工士を加えています。厚生労働省が現在検討しているのは、業種を限定せず業務委託により仕事に従事するフリーランスを特別加入できるようにするものです。フリーランスで働く人は全国で462万人いると試算されています。そのうち事業者から業務・作業の依頼(委託)を受けて仕事を行っているのは273万人で業種の内訳は、営業が6.1%で最も多く、以下、講師インストラクター5.5%、建設現場作業5.3%、デザイン制作・コンテンツ制作5.1%などと続きます。このうち建設・現場作業は特別加入の対象に含まれています。今後、追加する対象者の範囲や保険料率、特別加入団体のあり方などについて検討する模様です。
特別加入制度の内容
特別加入者が、業務または通勤により被災した場合に、所定の保険給付が行われるとともにこれと併せて特別支援給付金が支給されます。給付基礎日額は、16段階に分かれており給付基礎日額の金額により年間の保険料がきまります。
例)建設の事業で給付基礎日額10000円の場合
・年間の保険料65,700円
365万円×1000の18=65700円
・一日休業すると8000円給付される
休業給付 10000円×60%=6000円
特別給付金10000円×20%=2000円
給付基礎日額が高ければ受け取れる保険給付の額も大きくなりますが年間の保険料は上がります。逆に給付基礎日額が低ければ保険料を安く抑えることが出来ます。実際のご自身の収入や労働することが出来なくなった場合のことを考慮して給付基礎日額を決定するようにしましょう。
保険給付・特別給付金の種類
労災の特別加入者に対する保険給付や特別給付金はどのようなものがあるのでしょうか?以下は簡単に内容をまとめたものになります(細かい内容については特別加入のお取り扱いのある団体にお問合せ下さい)。
療養給付金・療養給付
業務・通勤により負傷し病院等で治療する場合に支給されます。労災病院・労災指定病院において治療が無料で受けられます。また他の病院において治療を受けた場合には治療に要した費用が支払われます。
休業補償給付
業務・通勤による負傷の療養のため労働することが出来なかない日が4日以上となった場合に支給されます。休業4日目以降に給付基礎日額の60%相当が支給され、特別給付金も20%相当が支給されます。
※具体的な支払い内容
給付基礎日額10000円で20日間休業した場合
10000円×60%×17日(20日-3日間)=10万2000円
10000円×20%×17日(20日―3日間)=3万4000円
障害補償給付
業務・通勤による傷病が完治した後に、後遺障害等級1級~7級までに該当する障害が残った場合に支給されます。第1級では給付基礎日額の313日分~第7級では131日分が年金として支給されます。併せて特別支給金が一時金として第1級で342万円~第14級では8万円が支給されます。
※具体的な支払い内容
給付基礎日が10000円で後遺障害第1級に該当した場合
10000円×313日=313万円(毎年年金で受け取る)
342万を特別別支給金(一時金)として受取る
障害等一時金
業務・通勤による傷病が完治した後に障害等級8級~14級までに該当する障害が残った場合に支給されます。第8級は給付基礎日の503日分で第14級では給付基礎日が56日分支給されます。併せて特別支給金が一時金として支払われます。
遺族補償給付
業務・通勤により死亡した場合に遺族に人数などを考慮して給付金が支給されます。遺族の人数により支給される額が異なります。
(遺族1人の場合) 給付基礎日額の153日分もしくは175日分
(遺族2人の場合) 給付基礎日額の201日分
(遺族3人の場合) 給付基礎日額の223日分
(遺族4人の場合) 給付基礎日額の245日分
特別支給金遺族の人数に関わらず300万円を一時金として支給
※具体的な支払い例
給付基礎日額が10000円で遺族が3人の場合
遺族補償年金 10000円×223日分=223万円を毎年給付
特別支給金 300万円(一時金)
葬祭料
業務・通勤により死亡した方の葬祭を行う場合に支給。31万5千円に給付基礎日額の30日分を加えた額または、給付基礎日額の60日分のいずれか高い方が支給されます。
※具体的な支払い例
A 31万5千円+(1万円×30日)=61万5千円
B 1万円×60日=60万円
よって給付基礎日額が10000円の場合、高い方のA61万5千円が支給されます。
今回のまとめ
労災特別加入の支給の内容はいかがだったでしょうか?補償が十分だと感じる方も少ないと感じる方もいらっしゃると思います。また、通勤や業務以外で傷病状態になってしまった場合、労災からは給付を受けられないので民間の保険等で補う必要があると思います。病気やケガで働けなくなった時の補償等で気になる方は、ぜひお問い合わせください。
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