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従業員への損害賠償請求は可能なのか?

従業員への損害賠償請求は可能なのか?

従業員が業務中に誤って会社の備品、建物を壊してしまった場合に会社は従業員に対して損害賠総請求は可能なのでしょうか?また、交通事故を起こしてしまった場合に会社の車の修理費用を本人に負担させることは可能なのでしょうか?結論は、損害賠償請求は可能ですが全額を従業員に支払いを求めることは出来ず、最大でも25%程度の修理代が妥当との事です。ただ、従業員に損害賠償を求めることにより労働問題に発展する可能性もありますので安易に損害賠償を行うことは危険です。今回は、過去の判例をもとに従業員への損害賠償について触れていきたいと思います。

【目次】

1.居眠り運転で社用車損傷

2.保険でできること

3.今回のまとめ

 

居眠り運転で社用車損傷

◎事例

従業員が社用のタンクローリー車で居眠り運転をして、事故を起こしました。会社は従業員に対して車両の修理費や事故の相手方へ会社が支払った賠償金の支払いを求めることは出来るのでしょうか?(労働新聞社 安全スタッフ2023年6月1日号参照)

・労働契約上の債務不履行に基づく損害賠償請求権(民法415条)

従業員が業務中に過失による交通事故を起こしてしまった場合、その事故によって会社が被った損害については労働契約上の債務不履行または不法行為に基づく賠償請求権として会社が従業員にその賠償を求めることが可能です。また会社が使用者責任に基づき被害者に対して損害の賠償を行った場合、会社から従業員に対して求償を請求することも可能です。

会社から従業員への請求の制限

もっとも会社から上記のような請求が全額認められるかについては、会社から従業員に対する請求を25%の限度で認めたものがあり、会社から従業員への請求が制限された裁判例が多数存在します。

判例

「使用者はその事業の性格、規模、施設の状況、使用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防もしくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らして損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる程度において、被用者に対し損害の賠償または求償をすることができるものと解すべきである」よって全額認められず、公平な分担分のみの請求となります。

・会社の請求が10%しか認められない判例も

裁判例では考慮要素のうち従業員の過失の内容やその程度が考慮されたほか、経費削減のために対人賠償責任保険のみに加入し、対物賠償や車両保険に未加入であった判例について会社が損失の分散への配慮を行わなかったとして、会社の請求を10%に制限したものがあります。

・今回の件について

今回の件は、居眠り運転による事故なので従業員の過失が大きい類型である一方、居眠り運転に至る要因として、事故当時の労働条件や労働環境、会社が事故防止のためにどのような配慮を行っていたか等も考慮要素となることが考えられます。また、会社が被った損害が保険の加入状況によってカバーされ得るものであった場合には、会社がそうした配慮を怠ったことも考慮要素として従業員への請求が一部制限される可能性があるでしょう。

 

保険でできること

交通事故等を起こした従業員に損害の全額を請求しても、10%~25%程度しか認められないことはご理解頂けたと思います。会社が損害を被る可能性があるものに関してはなるべく保険等でリスクの分散やリスクの移転を行うことが大切です。

自動車事故で揉めるケースも

自動車事故において、自損事故などで会社の車両を損壊してしまった場合に修理代を誰が負担するのかで揉めるケースがあります。対人賠償、対物賠償にはしっかりと加入していても保険料を安くするために、車両保険に加入してない契約も存在します。保険料を安くする代わりに事故の際の修理負担や車両の買替費用の負担などを誰が負担するのかあらかじめ考えておく必要があります。

年齢条件や運転者の条件にも注意

当然ですが、自動車保険で運転者が本人や配偶者限定になっている車両で他人である従業員が運転して事故を起こした場合は保険を使用する事が出来ません。また、年齢条件には特に注意が必要となります。10代や20代の従業員が業務に従事している場合、使用する車両を特定するなど年齢条件を満たすために注意をする必要があります。年齢条件が満たされてないと、車両保険はもちろん、対物保険なども使用できませんので多額の損害が発生する危険性があります。

他者運転特約は使用できない

他社運転特約は、プライベートで他人の車を借りてる最中に事故を起こしてしまった場合に自身の保険を使用できる特約になります。業務で他人の車を使用している場合は、他者運転特約は使用できません

 

今回のまとめ

従業員のミスで会社が損害を被った場合に、その全ての損害賠償を従業員に負わせることは出来ません。ただし横領や搾取や詐欺など従業員が犯罪行為をおこしたことによって被った損害については100%加害従業員に請求することが出来ます。万一の際に、責任の所在について従業員と揉めないためにも、保険の活用や会社でのルール作りが重要となります。

 

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