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特許等知的財産権~意匠制度とは~

特許等知的財産権~意匠制度とは~

知的財産高等裁判所(知的財産権に関する事件を専門的に取り扱う裁判所)で公表されているデ-タによると、令和3年度の知的財産権関係の民事事件の地裁における新規受付件数は611件・平均審理期間15.2月、高裁控訴審における新規受付件数121件・平均審理期間6.9月、知財高裁控訴審における新規受付件数103件・平均審理期間7.0月といずれも前年より大幅に増加しています。最近注目を集めている特許等知的財産権ですが、今回はその中のひとつである意匠制度について情報提供いたします。

【目次】

1 意匠権に期待される効果とは

2 中小企業における意匠制度の成功例と失敗例

3  今回のまとめ

 

意匠権に期待される効果とは

これまで意匠法の保護対象は「物品」に限られていましたが、令和2年4月1日施行の改正により保護対象が拡充され、新たに「画像」「建築物」「内装」のデザインについても登録ができるようになりました。「事例から学ぶ意匠制度活用ガイド」(経済産業省 特許庁 審査第一部 意匠課)でも、その重要性とともに、生み出したデザインを知的財産権で戦略的に保護し、活用する視点を持つことがビジネスの成功に不可欠だと述べています。意匠制度はデザイン保護の中心的な役割を果たすものであり、「他者にマネされないようにする効果」や「ニセモノを排除する」効果を期待できる制度なのです。

産業財産権制度は、①研究開発(創造)された優れた成果を保護(権利化)し、②産業財産権の活用等によって収益を生み出し、③そして再び新しい研究開発に役立てる、という知的創造サイクルの原動力となっています。意匠権は産業財産権のひとつで、保護対象となる「意匠」とは①物品の形状、模様、色彩やこれらの結合、②建築物の形状等、③画像であって、視覚を通じて美感を起こさせるものです。物品等の「部分」のデザインも「意匠」に含まれます。令和元年改正で新たに保護対象となった建築物・画像の意匠には、博物館や工場、商品購入用の画像や時刻表示用の画像などがあります。

≪意匠法上の「建築物」に該当するための要件≫

  • 土地の定着物であること
  • 人口構造物であること(土木構造物を含む)。

≪意匠法上の「画像」に該当するための要件≫

  • 機器の操作の用に供される画像であること
  • 機器がその機能を発揮した結果として表示される画像であること

また、意匠権には

◆ビジネスを守る効果

・登録意匠の公開、登録された事実の積極的な周知によるライバル企業等へのけん制

・意匠権に基づく警告、税関での意匠権侵害物品の輸入差止め、裁判所での紛争処理による模倣品・類似品の排除

・日本で意匠権を取得した事実のアピールによる外国での審査・紛争時の優位性獲得

◆ビジネスを発展させる効果

・デザインのオリジナリティの証明やデザイン力のアピールによる信頼性の向上

・他者へのライセンス、投資家・金融機関等へのアピールによるビジネス機会の拡大

◆組織を発展させる効果

・デザインの創作者名の意匠公報への掲載や創作者への社内報奨による創作意欲の向上

などが期待されている反面、その効果は意匠権を侵害してしまう可能性(リスク)にもなり得ます。

中小企業における意匠制度の成功例と失敗例

「事例から学ぶ意匠制度活用ガイド」(経済産業省 特許庁 審査第一部 意匠課)では、企業アンケ-トによる意匠制度の活用事例として多くの成功例や失敗例が取り上げられています。

≪成功事例≫

・商品の一部を部分意匠として1件登録しているだけで、模倣をほぼ回避できている

・模倣品の販売会社に対し警告を行った結果、販売中止やデザイン使用料を得ることができた

・中国での模倣業者の意匠登録に対し、当社の先行登録意匠により無効審判請求が成立した

≪失敗事例≫

・中国で意匠出願をしていなかったため、中国からそれ以外の国への模倣品流出を抑制できなかった

・自社製品に類似すると思われる他社製品に対して全体意匠の意匠権では権利行使できなかった

・販売中の商品について、部分意匠を他社に権利取得されていたため、金型等の修正を行った

・欧州で販売した商品が、裁判所において先行する意匠権に類似すると判断され、商品の廃棄と、販売国での販売差止めを要求された

 

これらは全て中小企業での事例です。記載されている事例は商品・製品に関するものではありますが、令和2年改正により新たに登録が可能となった「画像」「建築物」「内装」「画像」のデザインについても今後同様な成功例や失敗例が増えてくることは容易に想像できます。今や特許知的財産権に関係がないという企業はないと言えるのではないでしょうか。

※「事例から学ぶ意匠制度活用ガイド」(経済産業省 特許庁 審査第一部 意匠課)より

今回のまとめ

損害保険で備えることが出来る「特許知的財産権補償特約」は、日本国内において他人の知的財産権に対する侵害等があったとして裁判所や認証ADR機関により損害賠償請求手続きがなされた場合に、損害賠償金や争訟費用等を補償するものです。知的財産権関係の訴訟には知財のスペシャリストである「弁理士」によるサポ-トが欠かせません。事故が起こった際に、信頼できる弁理士(弁理士事務所)の紹介が可能な保険会社もございます。気になる方はお近くの保険代理店までお気軽にお問い合わせください。

 

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