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ヒヤリハットから「グッジョブ報告作成へ」
「ヒヤリハット」とは、一歩間違えば重大な事故に発展したかもしれない「ヒヤリ」としたり、驚いて「ハッとする(ハット)」事象のことです。この「ヒヤリハット」事象を戦略的に活用し、労働災害防止に役立てる企業も多くなっています。企業における労働災害防止の取組みと、安全教育の重要性についてみてみましょう。
【目次】
1.ヒヤリハットとは?事例をみてみよう
2.ヒヤリハット→「グッジョブ報告書」作成のポイント
3.職場の事故を防ぐ安全教育とは
4.今回のまとめ
ヒヤリハットとは?事例をみてみよう
「ヒヤリハット」は、労働の現場において重大な事故につながる可能性があり、今回は事故には至らなかったが、重大事故につながる危険をはらんだ出来事のことをいいます。こうした事象は収集・分析されて事故を未然に防ぐ取組みに活用されます。そもそも「ヒヤリハット」はなぜ起きるのでしょうか。大別して次の二通りに分類されます。
□設備等の不具合により生じるもの
□人間に要因があるもの(ヒューマンエラー)
設備等の不具合は整備不良や老朽化により発生します。これは定期的なメンテナンスや交換により防げます。 作業への慣れ、不慣れ、油断や思い込み、パニックなどヒューマンエラーから生じるものは、事例を共有するといった安全教育を実施することが、防止のための有効な手段となります。
~ハインリッヒの法則~
こちらのコラムでもたびたびご紹介しているのが「ハインリッヒの法則」です。これは、「1件の重大事故の背景には、軽微な事故が29件、さらにその背後には300件のヒヤリハットが潜んでいる」という法則です。「1:29:300の法則」ともいわれます。ヒヤリハットを労働災害防止に役立てる取組みは、この「300の事象」に戦略的にアプローチしていくことといえます。
□ヒヤリハットの事例
ヒヤリハットの事例を見ていきます。厚生労働省が運営する『職場のあんぜんサイト』には、さまざまな労働災害の事例が紹介されています。ヒヤリハット事例についても、イラスト付きで丁寧に解説されているので、その中から典型的なものを紹介します。(参照:職場のあんぜんサイト厚生労働省)
①建築現場でのヒヤリハット
工事現場において、足場の解体作業中に足場材を取り外そうとしたところ、地上に落下してしまったという事案がありました。落下防止ネットが完全に固定されていなかったために、足場材は道路まで落下したそうです。この事案は、腕木材が架台に固定されていると勘違いしたことが要因で発生しました。また、落下防止ネットの設置が適切に行われていなかったことも被害の拡大に繋がっています。
②工場など製造現場のヒヤリハット
工場で、ベルトコンベアを停止させることなく、清掃を行ってしまい、危うく巻き込まれそうになったという事案があります。こちらは、ベルトコンベアを停止せずに作業を行ったことが要因です。他にも機械が作動している中で作業を行なったことによるヒヤリハットの事例も多く紹介されています。
ヒヤリハット→「グッジョブ報告書」作成のポイント
ヒヤリハット事例の共有には、報告書を作成し記録として蓄積することが有効な手段となります。建災防で開発した「新ヒヤリハット」報告は、建設、製造だけでなくあらゆる業種で使用できるよう全面的な改定が行われました。中でも特筆すべきは「上手くいった体験」も把握できるように「グッジョブ報告書」を作成することです。ヒヤリハット事例の反省だけでなく、ヒヤリハットを重大な災害に至らなかった成功体験と読み替え、さらに「このようにしたら上手くいった体験」を拾い上げて作成されます。上手くいった体験を生み出している背景を記録することで、そのような職場環境に導きやすくなる傾向があります。
職場の事故を防ぐ安全教育とは
職場における事故を防ぐために、企業はさまざまな対策を実施する必要があります。そのなかでも重要なものが安全教育です。
①会社として取り組んでいることを明確にする
労働災害を起こさないためには、管理職をはじめ、従業員一人ひとりの安全意識を高める機会を作る必要があります。たとえば、リスクアセスメントを実施する際の「危険の洗い出し」や「リスクの見積」は、すべての従業員の意見を集約するといった取組みが有効です。集約したリスクに対し、会社はどのような対策を講じたかを周知することで取組む姿勢を明確に示すと良いでしょう。
②ヒヤリハットの事例が重要であることを認識してもらう
企業として安全への取組みに注力していることを示したうえで、「今、あなたが体験したヒヤリハットが、明日起きるかもしれない重大事故を防ぐ」というメッセージを発し、 職場で起きる、一見些細と思われるヒヤリハットが重要であることを認識してもらいましょう。
③ヒヤリハット事例を報告しやすい環境を整える
事例を報告しやすい環境を整えることも大切です。たとえば、朝礼や終礼で発表する機会を作る、ヒヤリハットメモやノートを作成するなど、職場に合った方法で事例を収集します。これをヒヤリハット報告書の作成材料に活用すると良いでしょう。
今回のまとめ
ヒヤリハットも今では前向きな認識に変わりつつあります。改善された事例については、社内に広く情報提供すると、労働者の意識向上にもつながります。ヒューマンエラーを限りなくゼロに近づけるとともに、労災の上乗せ保険などで、万が一の時には素早く解決に向けて対応できるような体制をととのえておきましょう。
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