お知らせ・コラム
重機作業で死亡災害が多発
長野労働局は重機関連の災害多発を受けて労働災害防止団体などへ災害防止の緊急要請を行いました。長野県内で発生した車両系建設機械や移動式クレーンに関係する死亡災害は、2020年は2人、2021年は5月13日までに3人となっている。2017年から4年連続で0人が続いていただけに死亡災害が相次ぐ事態を憂慮しています。全国的にも死亡災害が増加しており、経験を積んだベテランの被災も目立っており災害に歯止めがかからない状況が続いています。今回は重機作業での死亡災害例と対策などについて触れていきたいと思います。
【目次】
1.重機による死亡災害例
2.万一の現場での重機転倒と損害保険
3.今回のまとめ
重機による死亡災害例
建設解体工事の現場や道路の整備改修の現場、マンションやビルなどの建物の建設現場などで建設用重機が活躍しています。しかし重機の転倒や操作ミスなどが発生してしまうと、重大な災害に直結してしまいます。事故事例を参考にしながら対策などについても考えていきましょう。
・死亡災害事例と対策
<災害事例①>油圧ショベルカーを使用して法面のブロッグ積みなどの作業中、重機運転者が法面の下方の状況を確認しようと運転席から立ち上がり、確認後に再び運転席に座ろうとしたところ、着衣の一部が操作レバーにひっかかり同機が不意に旋回しバケットが近くにいた被災者に激突した。
<再発防止のポイント>・重機の可動範囲内への立ち入りを禁止する。やむを得ず立入らせる場合は誘導者を配置する。 ・工期計画段階や日々の作業開始時に、できる限り重機作業と重機以外の作業が重ならないような行程・作業方法法を検討する ・重機運転者が運転席で立ち上がって状況を確認することが無いよう、合図者を配置する ・運転席で立ち上がる場合は安全レバーを引いて操作レバーの無効化を図る |
<災害事例②>工事用仮設道路を開設するため、油圧ショベルカーを使用して斜路に鋼板を敷いていたところ、重機がバランスを崩して傾いたため、運転席から飛び降りた。そこに重機が横転し重機の下敷きになった <再発防止のポイント>・荷をつり上げる場合は、移動式クレーンまたはクレーン機能付き油圧ショベルを使用し専用の格納式フックを用い、かつクレーン作業モードに切り替えて使用する ・定格荷重を超える荷をつり上げない。平坦な場所で作業を行うことを原則とするがやむを得ず斜面で作業を行う場合であっても過負荷となることが決してない機体を選定する。 ・クレーン作業モードに切り替えて荷のつり上げを行う場合は有資格者に作業を任せる |
近年の重機作業中の事故に対して、「災害状況をみるとある程度経験を積んだベテランの被災や基本的な対応が取れていなかったケースもある。慣れによる気の緩みや意思伝達不足なども考えられる」(同労働局安全課)としています。トップによる安全方針の表明や作業者同士の声掛けなどによる安全行動の徹底や朝礼や非定作業時の安全手順の確認、危険予知などを通じた安全能力の向上も求められています。
万一の重機転倒と損害保険
建設現場で重機が転倒してしまった場合、損害の範囲は多岐に渡ります。上記では作業員の被災について触れてきましたが、住宅の密集地などで重機を使用して万一にも転倒させてしまった場合には作業員の被災以外にも様々な損害が発生する危険性があります。重機転倒により想定されるリスク等について考えていきたいと思います。
・住宅密集地での解体工事中に重機が転倒、想定されるリスクとは?
作業員の労災事故
重機転倒が転倒し作業員が下敷きになってしまうケースや旋回したアームが作業員に激突し死傷するケースもあります。死亡災害や重度後遺障害など重大な災害に発展してしまう危険性が非常に高いです。
建設現場での作業員の事故なので、国の労災から被災者や被災者の家族は給付を受けることになりますが、労災からの給付を受けても補償が十分でない場合などには労災トラブルに発展してしまいます。また、加害者と被災者が別の会社の従業員などの場合には、元請けと下請けの間で過失割合をめぐり訴訟に発展してしまうケースもあります。
労災上乗せ保険や使用者賠償保険をしっかりと備えておく必要があります。
近隣住民への損害
事故の際に近隣住民や近くを通行していた第三者を死傷させてしまう危険性もあります。
重機転倒し近隣の家屋に損害を与えてしまった場合には、当然ですが家屋の修理代などの損害を弁償する必要があります。家屋以外にもカーポートや門や塀、庭木など損壊させてしまうこともあり、自動車などの場合には修理代以外にも代車費用なども請求される可能性があります。非常に高額な請求になる可能性がありますので、工事の損害賠償保険に加入して損害に備えておく必要があります。
転倒した重機自体の損害
転倒した際に重機が損壊してしまうこともあります。自社の重機であれば、動産保険や自動車保険などで重機自体の補償に加入しておく必要があります。また、レンタル業者や元請けや下請けから重機を借りている場合は、工事現場内で建設受託物を補償する保険に加入しておきましょう。
電線の破損や道路を塞いでしまう可能性も
転倒時に、電線を破損させたり道路を塞いでしまうこともあります。電線の修理代や道路の修理代、さらに電気や道路が使用不能になったことよる間接損害なども請求されてしまう可能性があります。損害保険に加入していても、補償内容や相手方の請求内容などによっては保険の対象外となってしまうこともあるので注意が必要です。また、転倒した重機を引き上げるためにレッカー費用などの負担も発生する可能性があります。
今回のまとめ
日々の業務において事故が発生しないように気を付けていらっしゃるとは思いますが、一度の大きな事故で会社の経営が傾いたり、取り返しのつかない損害を与えてしまう危険性もあります。ベテラン作業員から新人の方まで全従業員が安全第一で業務を行う意識を持つことが最も大事なことになります。また、万一の事故に備えても加入する保険についても内容などをしっかりと理解して加入する必要があります。
建設業の損害保険については株式会社保険ポイントへぜひご相談ください。
TEL>052-684-7638
お電話、メールどちらでもお待ちしております。