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「いいとこどり」は許されない?人材ビジネスの偽装請負とは

「いいとこどり」は許されない?人材ビジネスの偽装請負とは

人材ビジネス会社等から人材を受け入れる際、「派遣」又は「業務請負」という選択肢があります。2つの仕組みは一長一短ですが、両者のいいとこどりを狙うのが、いわゆる「偽装請負」です。しかし、偽装請負は違法行為ですので、これが露見すれば、当然ペナルティを受けることになります。不法行為の当事者にならないためにも、なぜ偽装請負が禁止されているのか、判断基準や代表的なケースなどをみていきましょう。

【目次】

1.なぜ偽装請負が禁止されるのでしょうか

2.派遣企業の偽装請負では、注意勧告や罰則適用も

3.偽装請負を回避するためには

4.今回のまとめ

 

なぜ偽装請負は禁止されるのでしょうか

偽装請負とは、実態は労働者派遣であるにもかかわらず、形式を請負契約のように偽装する行為です。偽装請負なのか、適正な請負なのかどうかは、外形だけでは判断できません 。着目すべき点は、現場でどのような運用がなされているか、また誰が仕事の指揮命令をしているかによって判断することになります。偽装請負は、顧客企業に必要な人材をあっせんするという点で、労働者派遣と似ているので一見問題なさそうに感じるかもしれません。ではなぜ偽装請負は禁止されているのでしょうか?

【労働者の保護】

まず、本来保護されるべき労働者が保護されないという理由があげられます。例えば派遣スタッフとして働く場合、残業や休日出勤をすれば時間外手当が支給されます。また健康保険や社会保険、雇用保険などにも加入できます。保険は病気、ケガ、失業といった不測の事態が生じたときの助けとなります。しかし偽装請負で働く人材の中には、請負会社に雇用されずに働いている人もいます。そのため残業手当なども支給されず社会保険にも未加入です。何か事故や問題が起こった時に労働者保護の観点から責任の所在があいまいになってしまうことが考えられます。

【中間搾取の禁止】

労働基準法では、他人の就業に介入して利益を得る中間搾取が禁止されています。労働者派遣を装った偽装請負もこの中間搾取を行ったとみなされるため労働基準法違反となります。

派遣企業の偽装請負では、注意勧告や罰則適用も

派遣会社と称して人材を斡旋してくる会社が偽装請負をしているケースがあります。代表的な例は、派遣サービスをうたう会社が個人事業主と業務委託契約を結び、さらに顧客企業に対して人材派遣であるかのように労働力を提供し、そのまま派遣先の指揮命令下で働かせるというケースです。こういったケースで派遣スタッフの提供を受けた場合、この事実に派遣先企業が気づかなければ、知らないうちに偽装請負行為を許してしまっていることになるのです。このような場合、請負を偽装した派遣元だけでなく、受け入れてしまった派遣先も次のような指導等を受ける可能性があります。

行政指導や勧告などを受けることが会社としての信用を損ね、株主や取引先、消費者などのステークホルダーへの影響も少なくありません。そのため派遣スタッフを受け入れる派遣先の会社も、偽装請負の温床とならないよう十分注意が必要です。

偽装請負を回避するためには

①請負・派遣のそれぞれの定義について理解する

大前提として、請負と派遣の違いを企業側がきちんと理解しておかなければなりません。請負と派遣、それぞれの指揮命令権の所在や仕組みなどは最低限把握しておきましょう。

②派遣元会社の情報や契約内容をチェックする

相手方の会社情報や契約内容を確認することも大切です。派遣元の会社が人材派遣業の許可を取得していることを確認できれば、最低限のコンプライアンスは守っている派遣契約について確認する会社であると判断できます。さらに、念を入れるのならば派遣スタッフに派遣元との雇用契約書の写しを提出してもらうのがよいでしょう。

③偽装請負とみなされるケースを知っておく

※発注元企業が直接指揮命令をしている → ×

請負では、指揮命令権は請負主にあります。発注元が業務方法や労働

時間など業務に関する指示命令を下すことはできません。

※発注元企業がスタッフを選定、評価している → ×

請負では、発注元企業がスタッフを選定したりすることはできません。よって、評価することも不可です。

※発注元企業が服務上の規律を規定している → ×

請負では、指揮命令権は発注元企業でなく請負主に所在します。発注元企業が自社の服務規定を守るよう労働者に通達・管理はできません。

今回のまとめ

現在、偽装請負と判断されれば、派遣法規定により、法に反した派遣先は派遣労働者に労働契約を申し込んだとみなされます(労働契約申込みみなし制度)。結果として、派遣を受けていた労働者を直接雇用せざるをえないという事態も考えられます。企業にはますますコンプライアンスの徹底が求められるようになってきている今、請負について理解を深め、適切な労働契約を結ぶようにしましょう。また、派遣業請負業に関わる損害保険のご準備で業務に備えることもオススメです。

 

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