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中小企業にも時間外労働の上限規制が適用

中小企業にも時間外労働の上限規制が適用

中小企業にも令和2年4月以降に、時間外および休日労働に上限規制が適用されました。

時間外及び休日労働を1ヵ月100時間未満(労基法第36号6項第2項)にするほか複数月平均80時間以内としなければなりません。中小企業の中でも、建設業や運送業など一部の業種に関しては適用時期が遅れておりますが、令和6年4月以降に建設業でも時間外労働の上限規制が適用されますので注意が必要です。

今回は、全国ではじめて上限規制違反で書類送検された事例や時間外労働規制の内容についてご紹介していきたいと思います。

【目次】

1.製造業にて違法長時間労働で初送検

2.建設業における上限規制のおさらい

3.今回のまとめ

 

製造業にて違法長時間労働で初送検

・上限規制違反で初送検

長野・上田労働基準監督所は製造部門で働く労働者8人に上限規制を超えて違法な時間外労働を行わせたうえ、虚偽の帳簿を提出して隠ぺいを図ったとして、鋼材・鉄筋加工販売業者を長野地検上田支部に書類送検した。立件した令和3年3月~8月の時間外労働は毎月100時間を超えており、中小企業に上限規制が適用された令和2年4月以降、複数月平均80時間以内の規制違反での送検は全国でも初めてとなる。

(労働新聞 令和3年11月参照)

・6カ月連続100時間超え

株式会社M社(長野県東御市)は令和3年3~8月の半年間、溶接などの製造業務に携わる労働者8人に対して法律で定めた上限を超える時間外労働を行わせた。同業務に20人以上が従事しており、なかにはパート・アルバイト労働者も含まれている。36協定は1日4時間、1カ月42時間、1年320時間で締結し、年6回まで適用できる特別条項は1日6時間、1カ月98時間、1年で720時間と定めていた。

立件した半年間の時間外労働は、毎月100時間を超え最長のケースでは月154時間に上っている。令和2年4月以降に中小企業にも適用された上限規制では時間外及び休日労働を1カ月に100時間未満にするほか、「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」を全て80時間以内としなければならない。同社は複数月平均80時間以内の規則違反により送検された。

 

社内に帳簿を作成できる人材がいなかった為、顧問を務める行政書士が本物の帳簿と虚偽の帳簿を作成し、虚偽の帳簿には36協定内に収まる労働時間が記録されていた。

繁忙期には納期までに製造を間に合わせるために長時間労働が常態化していた。賃金については時間外労働の分も含めてすべて支払っていた。

建設業における上限規制のおさらい

・建設業においても令和6年4月1日から時間外労働の上限規制が適用されます

時間外労働の上限規制

時間外労働・休日労働をさせるためには、36協定の締結・監督署への届出が必要です。

労働時間・休日に関する原則

①.法律で定められた労働時間の限度1日8時間および1週40時間

②.法律で定められた休日毎週すくなくとも1回

③.①および②を超えるには36協定の締結・届出が必要です

これまで建設業については36協定で定める時間外労働の上限の基準(大臣告示)は適用除外とされていましたが令和6年4月1日以降、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間となり臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができなくなります。

また臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも以下の上限を超えることが出来なくなります。

・時間外労働が年720時間以内

時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満

・時間外労働と休日労働の合計について「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」が全て1カ月当たり80時間以内

・時間外労働が月45時間を超えることが出来るのは、年6カ月まで

 

上記に違反した場合には罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられるおそれがあります。

ただし、建設業においては例外規定があります。災害時の復旧・復興の事業に関しては時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満・2~6カ月の平均80時間以内の2つの規制については令和6年4月1日以降も適用されません。

・こちらも重要! 年5日の年次有給休暇の取得義務化(平成31年4月1日から)

労働者ごとに年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日間、年次有給休暇を取得させなければなりません。対象者は年次有給休暇を10日以上付与されている労働者になります。また労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。

今回のまとめ

中小企業に対しても時間外労働の上限規制が適用されて、ますます労務管理が難しくなりそうです。長時間労働になりがちな建設業においては、令和6年までまだ時間がありますが2021年11月1日に鹿島建設株式会社に対して東京労働局が長時間労働是正の局長指導を行うなど建設業における長時間労働の撲滅に力を入れています。

企業としては採用活動の強化による必要人員の確保や機動的な社員配置などを通じて労働時間削減を進めるなど、長時間労働が慢性化しないように対策を進めていく必要がありそうです。

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