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社会福祉施設での労災や賠償事故を考える

社会福祉施設での労災や賠償事故を考える

社会福祉施設には老人福祉施設、障害者支援施設、保育園などがあります。平成20年から平成31年(令和元年)までの約10年間で、社会福祉施設での休業4日以上死傷災害発生件数の推移をみると、約108%と大幅に増加しています。今回は、第3次産業において労働災害が多発している社会福祉施設、特に老人福祉施設等での事故事例をみながら、必要な備えについて考えてみましょう。

【目次】

1.社会福祉施設における労働災害の現状と対策

2.社会福祉施設における事故や賠償リスク

3.今回のまとめ

 

社会福祉施設における労働災害の現状と対策

社会福祉施設の労働災害を種類別にみてみますと、転倒災害が最も多く、30%を超えています。その次に腰痛、介助等での無理な動作や体勢による被災と続きます。社会福祉施設の中で多くを占める老人福祉施設では、要介護者の転倒を防止するためバリアフリー化を行い、床が濡れたりすれば即座にふき取りが行われています。にも関わらず職場での転倒災害は多発しています。

転倒は重篤な災害に陥りやすいため、施設内でも従業員に研修や啓発活動をしていくことが大切です

【転倒の原因】

・設置物や床に置いたものにつまずく

・濡れた床などで滑って転倒

・コード、ネットなどに引っかかって転倒

・階段の上り下がり中に転倒

・要介護者を介護中に転倒

 

 

また身体的なケガだけでなく、近年、社会福祉施設で働く方が精神疾患を発症するケースが急増しています。政府の統計によると人手不足などからくる長時間労働、職場の人間関係、利用者からの暴言や暴力など、仕事上のストレスが原因でうつ病などの精神疾患を発症したとして、労災申請の件数が急速に増加しており、実際認定される件数も10年前の4倍以上に増えています。労働者の心身の健康への配慮は、雇用者側の安全配慮義務とされており、義務違反があったとされると、事業者はその精神疾患発症による責任をおうことになります。

 

例えば、残業時間が極度に増えていたことをわかっていたにも関わらず、休職命令や残業禁止等の措置を講じなかった結果、労働者が精神疾患を発症して自殺したような場合、事業者が遺族らに訴訟提起される場合があります。その他にも職場におけるハラスメントなどがあった時、事業者側が適切な対応を取らなかった場合、被害者から訴えられる可能性もあります。

 

 

社会福祉施設における事故や賠償リスク

社会福祉施設、とりわけ老人ホームなどの現場では日常的にヒヤリハット事例が起こっており、常に賠償リスクと隣り合わせだといえます。

皆さんは「ハインリッヒの法則」をご存じですか?

労働災害の分野で使われる事故発生の経験則で「1件の重大事故の背後では、29件の軽傷事故と300件のヒヤリハットが起きている」といわれています。

つまり、ヒヤリハットの裏には、重大な事故を引き起こす可能性が潜んでいるということです。

 

 

事故を未然に防ぐには、日常でヒヤリハットが発生したときに「大事に至らなくて良かった」ですませないことが大切です。介護に携わった職員が報告書を作成し、施設・事業所内の職員全員で情報共有することが重要になります。

【ヒヤリハットが起こった場合の対処法】

介護の現場で利用者さんにサービスを提供するうえでヒヤリハットが発生した場合、どのように対処すればよいのでしょうか。大切なのは以下の3つを行うことです。

①発生した現場の環境・体制に問題はなかったのかを検証する

車いすの転倒であれば、ブレーキは弛んでいなかったか?座面のクッションがずれていなかったか?などを検証します。

②職員がどのような状態・状況だったかを検証する

慣れている業務のため油断していなかったか?忙しさを理由に確認を怠らなかったか?職員の心身の健康に問題はなかったか?など

③利用者さんのADL(日常生活動作)などの状態を正確に把握する

介護するにあたり「立つ」「座る」「歩く」など、利用者さん本人の能力を理解していたか?当日の健康状態や身体の変化などをチーム全体で共有していたか?などを振り返り、改めて利用者さんの状態を正確に把握します。

 

それでも、どんなに気を付けていたとしても事故を100%完全に防ぎきることはできません。下記は、介護福祉施設での事故において事業者側への賠償例が認められた事例です。みてみましょう。

【事例1】

グループホームに入居していた利用者が、ベッドから転落して左大腿骨頸部を骨折した事例。利用者側は3447万4241円を請求し、602万8641円が認められました。

【事例2】

老健施設において、入居所が刺身を誤嚥して窒息死した事例。請求額は4638万3576円であったところ、損害賠償金として2640万円が認容されました。

 

こうした事故がひとたび発生すると、事故の相手側はもちろん、社会的にも様々な対応を余儀なくされます。介護事業、社会福祉施設向けの保険では、以下のようなケースにおける賠償リスクに対応することができます。

1.業務遂行、施設リスクによる対人対物賠償

※例 利用者をベッドから車いすに移乗中、職員が誤って手をすべらせ利用者にケガを負わせた。

2.生産物、業務の結果リスク

※例 施設の食事が原因で、利用者が食中毒をおこしてしまった。

3.業務過誤リスク

※例 ケアプランの作成ミスでサービス利用者の自己負担額が大きくなり賠償請求を受けた。

今回のまとめ

社会福祉施設での業務において、職員の注意力だけですべての事故やトラブルを防ぐことは難しいでしょう。組織全体で取り組み、さらに事業者向けの保険などで補償を備えることで、リスクマネジメントをしていくことが重要です。どんな補償が必要なのか相談したいという事業主の方は、近くの代理店などに問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

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