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技能実習制度の現状と外国人実習生に対する必要保険とは

技能実習制度の現状と外国人実習生に対する必要保険とは

2019年4月1日から新たな外国人の受け入れ制度と※特定技能制度が開始されました。

同制度により在留する外国人の数は令和2年9月末現在で8769人となっており制度開始以降、徐々に増加していますが当初の見込数よりは大幅に少なくまだまだ浸透してないようです。一方、愛知県をはじめこの東海地方では特に建設業や製造業を中心に従来からある技能実習制度を多くの企業が活用しております。日本全体でも技能実習制度により在留する外国人の数はここ五年で急激に増えています(平成26年末16万7626人⇒令和元年末41万972人 法務省公表値)

同制度の本来の目的は、人材育成を通じた開発途上地域などへの技能、技術または知識の移転による国際協力です。しかし実際には人件費の削減や他の従業員の代替手段として活用され低賃金や長時間労働などの労働環境が一部の企業では問題になっております。

今回は技能実習制度の法令違反問題と備えておいた方が良いおすすめの保険について触れていきます。

特定技能制度・・・日本企業の人で不足を補うことを目的とした制度であり、同一職種であれば転職が可能です。また特定技能2号の資格を獲得できれば母国にいる家族を日本に呼ぶことも可能になります。

【目次】

1.法令違反に対して労基署が厳格な調査指導を行っている

2.外国人実習生に対する必要保険とは

3.今回のまとめ

 

法令違反に対して労基署が厳格な指導調査を行っている

労働基準監督署は法令違反に厳しく厳格な指導と調査を行っています。以下の内容をとりあげます。

2019年の一年間で2501件が法令違反などで通報される

新しく特定技能制度が開始する中で、労基署は技能実習生について法令違反に至る背景や隠ぺいなどの悪質な事例があると認識しており、支援団体などと情報交換をおこない必要に応じて合同調査などを実施しております。その結果2018年は一年間で43件だった法令違反が2019年は2501件まで増加しており、受入れ企業に対する監督指導の対象数の増加を意味しおり、今後も受入れ企業に対する指導監督を強化していくようです。

法令違反は労働時間と賃金問題に関するものが多い

法令違反としては労働時間に関するものや割増賃金も含めた賃金未払いに関するものが多くを占めています。最低賃金を払っていない、36協定の締結がないまたは36協定の限度を超えて違法な残業を行わせている、賃金台帳や勤怠記録などの法定帳簿を備えていないといった事例が多く見受けられるようです。実際の法令違反による送検事例を紹介します。

送検事例1

鋼材加工販売業を営む法人、その子会社およびこれらを統括する代表者が、技能実習生らに違法な残業をさせ、割増賃金を支払わず、賃金台帳に虚偽の記載をしたもの。技能実習生らにタイムカードを2枚ずつ使用させ裏帳簿を作成していた。

送検事例2

食料品製造業者5社と監理団体から委託された通訳などを行っていた男性などの計5法人6人が処分されたケース。技能実習生らに違法な残業をさせ、割増賃金を支払わなかった。一部では、賃金台帳の破棄や二重のタイムカードを用いた隠ぺい工作もあった。

法令違反が生じる5つの事情

⑴人件費削減

⑵日本と送出国との間の賃金格差

⑶技能実習生の知識不足・・・日本の法令および制度などに関して正確な知識がない

⑷技能実習生へのペナルティー・・・受入れ企業が研修生の逃亡や外部への相談を防ぐ目的で罰金を科す誓約書を取り交わし、実際に賃金から罰金を控除する例もあった

⑸送り出し機関側の問題・・・いかにして多くの技能実習生を送り込むかに重点が置かれており違法な低賃金を売りにして送出しの交渉を行う事案も見受けられる

技能実習計画の認定の取り消し

受入れ企業で法令違反問題が発覚した場合は、労基署から監督指導を受けたり送検されるのみならず、厚生労働大臣から改善命令や技能実習計画の認定取り消し処分を下される恐れがあります。(労働新聞 令和3年1月11日 参照)

外国人実習生に対する必要保険とは

受入れ企業として色々と準備を行う中で、民間保険を活用してリスクに備える場面も出てきます。企業様から問い合わせが多い内容をご紹介いたします。

研修生が住む住宅の保険

賃貸アパートや受入れ企業が所有する寮などに居住するケースが多く、会社の寮であれば自社の物件に対して会社で火災保険の準備を行う必要があります。

また、賃貸アパートなどでは火災保険の加入が必須になります。特に借家人賠償保険に加入しておく必要があります。実習生が誤って失火してしまった場合に大家さんに対して弁償の義務を負います。通常は火災の責任は失火法により弁済の責任を負う事はないのですが、借りている物件に関しては弁済の義務を負います。

自転車の運転中や日常生活での対人対物事故

実習生が自転車の運転中に他人にぶつかってしまったり、誤って他人の財物を損壊させてしまった時の備えとして個人賠償責任保険(日常生活賠償)の加入は必須となります。

多くの場合、火災保険や傷害保険、様々な共済などの特約として付帯しているケースや自転車保険などに付随していることが多いです。

業務中のケガの補償

業務中のケガの補償についても問い合わせを頂くことが多いです。当然、国の労災を申請すれば労災からの給付金を受け取る事は可能です。さらに受入れ企業が独自で補償を準備する場合も多くあります。上乗せ労災等であれば、実習生に対しても従業員やパート・アルバイトの方と同等の補償を準備することも可能になります。また、フルタイム補償特約を付帯する事により日常生活のケガも補償することが可能になります。

持病を含めた病気の補償

AIG損害保険のハイパー任意労災という保険であれば、無記名・無告知で一定の従業員及び実習生の健康保険を使用しての補償が可能となります。詳しくはHPを参考にしてください。https://www.aig.co.jp/sonpo/business/product/e-injuries#item-754030948

今回のまとめ

外国人の受入れ制度を利用している企業も年々増加している現状で、特定技能制度によりさらに多くの外国人が日本で働き、生活をする事が予想されます。そして企業にとっては欠かせない労働力になるはずです。受入れ企業としても、技能実習生に関する労働基準関係法令を守ることは当然として、トラブルや大きな不満もなく働いてもらえる環境を準備することが企業の発展にも繋がってくると思います

 

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