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個人事業主の業務上災害の報告を新たに義務化か!?

個人事業主の業務上災害の報告を新たに義務化か!?

建設業界で働く一人親方の業務上の災害に関して、元請け企業による労基署への報告の義務化がスタートする模様です。現在は、現場で一人親方や個人事業主がケガをした場合に、被災者が個人で加入している一人親方労災等に報告し保険での給付を受けるケースもありますが、今後は元請企業からも労基署に報告が必須となりそうです。労働災害防止対策を強化することが目的のようです。今回は、新しく始まる報告義務の内容と一人親方等の保護についても触れていきたいと思います。

 

【目次】

1.注文者による報告義務化

2.個人事業主の保護について

3.今回のまとめ

 

1.注文者による報告義務化

報告義務の概要

厚生労働省は、一人親方をはじめ個人事業主の業務上の災害について網羅的に把握する仕組みがないとして、業務上災害の報告を新たに義務付ける方針をすすめています。個人事業主などが労働者と同一の場所で就業に伴う事故で死亡・休業(4日以上)した場合が対象となり、災害発生場所における直近上位の注文者などが個人事業主の業務上の災害を把握した場合には、所轄労働基準監督署に同災害について遅滞なく報告することが必要になります。報告の円滑化のため「労働者と同じ場所」の考え方がポイントとなりそうです。

「労働者と同じ場所」とは

「個人事業者などが労働者と同一の場所における就業に伴う事故などにより死亡し、または休業(4日以上)した場合」が対象で、災害発生場所における直近上位の注文者(特定注文者)、同者が存在しない場合は災害発生場所を管理する事業者(災害発生場所管理事業者)は、個人事業者の業務上の災害を把握した場合には、所轄労働基準監督署に同災害を遅滞なく報告をすることを義務付ける(労働安全衛生規制及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護に関する法律施行規律の一部を改正する省令案)より

報告の流れ

個人事業者が災害の発生事実を伝達・報告することが可能な場合に関しては、個人事業主は直近上位の注文者などに業務災害を報告することを義務付け、その内容を踏まえ必要事項を補足したうえで所轄の労基署に報告(直近上位の注文者による労基署への報告義務)するとしています。なお今回の改正では関係者に必要事項の報告を義務付けているものの違反した場合の罰則は設けない方針との事です。また、個人事業主などの脳・心臓疾患および精神障害事案については、注文者などは介さず個人事業主などが直接、労基署に報告することが出来るようになるようです。

施行日は2027年1月1日

運用に当たっては、報告制度の円滑化に向けて通達などの詳細を示す考えですが、報告制度の適正化に当たりいくつか不明瞭な点があるようです。「労働者と同じ場所」などの考え方の明示、不利益扱いの具体的な内容、個人事業者に報告主体への報告義務が生じる場合の具体的なケースの例示、個々の事案における作業態様や事業場の管理実態を踏まえた災害発生場所管理事業者の考え方などが不明瞭な点として挙がっているようです。報告者などの負担軽減に関しては、業務上災害報告の書式の作成・周知。同制度の適正な運営に際しての個人事業者、報告主体の負担に配慮した環境整備について明記するとしています。公布日は2025年11月中の見込みで、施行期日は2027年の1月1日となります。

2.個人事業主の保護について

令和7年の4月から事業主は危険個所等で行う作業の一部を請け負わせる一人親方等に対して、労働者と同等の保護措置を講じることが義務付けられました。重層請負関係等において誰がどのように策を講じればよいのでしょうか?

 改正の背景

令和3年5月17日の最高裁判決で労働者以外の者も労働安全衛生法の保護対象に含まれることが確認され、とくに一人親方や他社の労働者などが安全に作業できる環境の整備が求められるようになりました。

令和7年4月改正の主な内容

事業主が行う退避や立入禁止等の措置について、労働者以外の人や一人親方等に対する保護措置が義務付けられました。具体的措置の例として、危険個所等への立入・搭乗禁止、立入等が可能な箇所の限定、悪天候時の作業禁止の措置、火気使用の禁止、事故発生時等の退避や、保護具等を使用する必要がある旨の周知があります。

周知の方法は

【1】常時作業場所の見えやすい場所に掲示または備え付ける

【2】書面を交付する

【3】磁器テープ、磁気ディスクその他これに準ずるものに記録したうえで各作業場所にこの記録の内容を常時確認できる機器を設置する

【4】内容が複雑でない場合は口頭で伝える

安全配慮義務について

事業者は単に雇用関係のある労働者だけでなく、現場で働くすべての従事者に対して包括的な安全配慮義務を負う事が明確となりました。現場の安全と健康を守るため、実効性のある措置が求められています。

3.今回のまとめ

前述のとおり、個人事業主の業務上の災害に対しての発注者や元請け企業の責任が明確化してきています。自社の従業員だけでなく、「労働者と同じ場所」ではたらく下請けや個人事業主に対しても安全配慮義務を負う事が明確となり、報告の義務化もスタートするため見て見ぬふりは絶対にできません。事故が無いように安全対策を講ずることが最も大切な事ですが、万一の労働災害に備えて自社の従業員に加えて下請けや一人親方も補償できる労災上乗せ保険へ加入の必要性が益々高まっていきそうです。

 

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