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がん治療は通院で――でも費用の備えは大丈夫?

かつて「がん治療」といえば長期入院が当たり前でした。抗がん剤治療を受けるには病院に長く滞在し、ベッドの上で副作用に耐える日々が続くのが常識だったのです。しかし、近年の医療技術の進歩は、この風景を大きく変えました。いまや多くのがん治療が通院で可能となり、患者さんは日常生活をできる限り維持しながら治療を続けることができるようになっています。特に、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬といった新しい治療法では、点滴や経口薬による外来治療が主流です。こうした変化は、がん治療の「生活の質(QOL=Quality of Life)」を大きく改善するものであり、多くの患者さんにとって希望となっています。しかしその一方で、「通院治療が中心になったこと」によって、新たな課題が浮かび上がってきました。中でも大きな問題は、治療費の負担です。
【目次】
1.高額な通院費と高額療養費制度
2.公的医療保険の対象外になる「それ以外の費用」をがん保険で補う
3.今回のまとめ
1.高額な通院費と高額療養費制度
がん治療に使用される薬の中でも、近年注目を集めているのが「分子標的薬」と呼ばれる新薬です。これは、がん細胞の特定の遺伝子変異を狙い撃ちすることで、正常細胞へのダメージを最小限に抑えながら治療効果を高めることができる薬剤です。治療効果が高い反面、薬剤費は非常に高額になります。例えば、非小細胞肺がんで特定の遺伝子変異を持つ患者さんに処方される分子標的薬(飲み薬)は、以下のような費用が発生します。
■1回(2錠)を1日2回経口投与:27,000円以上
■薬剤費(1ヶ月分):968,960円(管理料等含む)
■自己負担額(3割負担):290,688円
■高額療養費制度適用後の実際の自己負担額:253,870円(所得区分:年収約1,160万円以上の方)
このように、1日あたり約27,000円の薬を毎日飲み続けるという状況になれば、いくら高額療養費制度があるとはいえ、経済的負担は軽くありません。日本の医療保険制度には「高額療養費制度」があり、1ヶ月あたりの自己負担額には上限が設けられています。しかし、その上限額は所得によって異なり、特に高所得者層では月25万円以上の自己負担が生じることもあります。これは1年で300万円を超える計算になり、長期間の治療が続けば、家計への影響は甚大です。さらに「多数回該当」と呼ばれる制度(過去1年間に高額療養費の対象となる治療が4回以上あると、5回目以降の自己負担が軽減される制度)に該当するまでの間は、毎月の高額な支出が続くことになります。こうした経済的リスクに備えて、多くの方が医療保険に加入しています。しかし、従来の医療保険は入院治療を前提とした設計が多く、1日5,000円や10,000円といった「入院日額給付型」が中心です。そのため、入院を伴わない通院治療では、十分な補償が得られないケースが多く見られます。薬代に加えて、通院にかかる交通費や付き添いの家族の負担など、細かな出費が重なっていきます。
2.公的医療保険の対象外になる「それ以外の費用」をがん保険で補う
がん治療にかかる費用は、実は「医療費」だけではありません。以下のような公的医療保険の対象外の費用が、患者さんとその家族に重くのしかかります。
通院時の交通費
先進医療費(全額自己負担)
差額ベッド代(個室希望時など)
文書料(診断書など)
医療用ウィッグの購入費用
家族の宿泊費や交通費、お見舞い返し
治療に伴う収入減少による生活費の補填
こうした費用は、治療が長期化するほど膨らんでいきます。たとえ命が救われても、治療後に「経済的に破綻してしまった」という事例も少なくありません。そこで、注目されているのが「がん保険」です。がんに特化した保険は、従来の入院中心の保険とは異なり、通院治療にも対応し、生活費を含めた幅広い補償を提供する設計となっています。たとえば、以下のような保障があります。
●入院諸費用保険金:交通費や日用品購入などをカバー
●医療用ウィッグ費用:入院前でも対象
●回復支援費用保険金:退院後の生活支援、リハビリ費用等
●がん通院治療費用保険金:外来での治療に関する費用を補填
このような保険に加入しておくことで、公的医療保険だけではまかないきれない部分に備えることが可能となります。がん治療は医療だけでなく、患者さんの生活すべてに影響を及ぼすものです。その全体を視野に入れた保障が、いま必要とされています。
3.今回のまとめ
がん治療は、もはや「入院して闘病する時代」ではありません。通院しながら、家庭や仕事を維持しつつ、長期にわたって治療を継続していくことが当たり前の時代となりました。しかし、その一方で治療に伴う費用の実態は、以前よりも複雑化し、自己負担の幅が広がっているのが現実です。医療技術が進歩し、治療がより身近になる一方で、経済的な備えがなければ、十分な治療を受けることが難しくなる可能性も否定できません。公的医療保険、高額療養費制度、そして民間のがん保険、これらをうまく組み合わせ、自分の生活スタイルや家族構成、収入状況に合った備えを持つことが、これからのがん治療には欠かせない視点です。治療の選択肢が増える今だからこそ、「いざというとき」に困らないように、早めの準備と情報収集が求められています。
★「補償」「保障」「保証」の違いは以下の通りです
【補償】損害が発生した場合にその損害を埋め合わせることを指します。例えば、事故による損害賠償などが該当します。
【保障】ある状態が損なわれないように保護することを意味します。保険契約において、特定のリスクに対する保護を提供することが含まれます。
【保証】何かが正しいことを確認し、責任を持つことを指します。製品の品質保証やサービスの保証などが例です。
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