お知らせ・コラム
フリ-ランス新法と発注事業者のリスク対策
フリ-ランスの方が安心して働ける環境を整備するため、2024年11月1日より「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)」がスタートしました。労働新聞ニュ-ス(2024.11.15)でも取り上げられておりますが、令和4年就業構造基本調査によると、愛知県の「有業者に占めるフリーランス(副業含む)」の割合は3.7%。となっており、中部地域(愛知、岐阜、三重、富山、石川)では岐阜県とともに最も多くなっているそうです。今回はフリーランス法についての情報をお届けいたします。
【目次】
1. フリーランス法とは
2. フリーランスに業務委託する事業者のリスク対策
3 . 今回のまとめ
フリ-ランス新法とは
フリ-ランス法は、働き方の多様化が進みフリーランスという働き方が普及する中、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備することを目的とし、フリーランスに係る取引の適正化及び就業環境の整備を図るための法律です。この法律が適用されるのは、発注事業者※1 からフリーランス※2 への「業務委託」(事業者間取引)です。
※1発注事業者=フリーランスに業務委託する事業者で従業員を使用しているもの
※2フリーランス=業務委託の相手方である事業者で従業員を使用しないもの
一般的にフリーランスと呼ばれる方には、「従業員を使用している」「消費者を相手に取引をしている」といった方が含まれる場合がありますが、この法律における「フリーランス」には該当しません。企業から宣材写真の撮影を委託された従業員のいないフリーカメラマンはフリーランス法の対象となりますが、消費者から家族写真の撮影を委託された場合(事業者からの委託ではない)や自作の写真集をネットで販売する場合(売買であって委託ではない)はフリーランス法の対象外となります。また、特定の事業者との関係で従業員として雇用されている個人が副業で行う事業について事業者として他の事業者から業務委託を受けている場合も、この法律における「フリーランス」にあたります。義務の内容は、
①書面等による取引条件の明示
②報酬支払期日の設定・期日内の支払
③禁止行為(●受領拒否報酬の減額 ●返品 ●買いたたき ●購入・利用強制 ●不当な経済上の利益の提供要請 ●不当な給付内容の変更・やり直し)
④募集情報の的確表示
⑤育児介護等と業務の両立に対する配慮
⑥ハラスメント対策に係る体制整備
⑦中途解除等の事前予告・理由開示
の7項目であり、発注事業者が満たす要件に応じてフリーランスに対しての義務の内容が異なります。違反した場合、発注事業者は行政の調査を受けることになり、指導・助言や、必要な措置をとることを勧告されたり、勧告に従わない場合には、命令・企業名公表、さらに命令に従わない場合は罰金が科されるため注意が必要です。詳しくは公正取引委員会フリーランス特設サイト(https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/index.html)、厚生労働省「フリーランスの取引に関する新しい法律が11月にスタ-ト(PDF)」(https://www.mhlw.go.jp/content/001261528.pdf)にてご確認いただけます。※公正取引委員会フリーランス特設サイト・厚生労働省「フリーランスの取引に関する新しい法律が11月にスタ-ト(PDF)」より
フリ-ランスに業務委託する事業者のリスク対策
この法律はフリーランスの方が安心して働ける環境を整備するためのものなので、フリーランスに業務委託する事業者にとってはリスクにもなり得ます。発注事業者から業務委託を受けた際に発生したトラブルに関する相談窓口では、フリーランス法違反と考えられる場合に公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省へ申出をする際のアドバイスも受付けています。フリ-ランスへの業務委託を行っているにも関わらず、まだしっかりと環境(体制)整備ができていない、という企業・事業者の皆さまには、
- 報酬がはっきりしない状態で作業をさせる、口頭でのやりとりだけで契約書を作成するといったあいまいな契約をする
- 暴言・暴力などのパワハラ行為や断ると仕事を回さないなどのセクハラ行為を強要する
- 報酬を一方的に減額したり、理由をつけて払わない、納品後に連絡を取らない
等の行為を行うことがないように、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省策定の「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」等をご参考いただきました上で早急に環境(体制)を整えていただくことをお勧めします。※厚生労働省「フリーランス・トラブル110番」サイトより
今回のまとめ
あいまいな契約、ハラスメント、報酬の未払いといった仕事上のトラブルを抱えているにもかかわらず、これまでは泣寝入りせざるを得なかったというフリーランスの方々にとっては相談しやすい環境が整うことになるため、発注事業者の皆さまの環境(体制)整備は急務です。ハラスメント保険と呼ばれる雇用慣行賠償責任保険では、自社の従業員が社外の取引先など第三者から受けるハラスメント(従業員被害型)だけでなく、自社の従業員が取引先の従業員や就職希望者などの第三者に対して行うハラスメント(従業員加害者型)のいずれのパタ-ンも補償対象となります。訴訟に発展した場合の賠償金や弁護士費用をだけでなく、損害賠償請求がなされる前に、社外の弁護士や社会保険労務士、労働局・労働基準監督署から「不当雇用慣行」または「第三者ハラスメント」の疑いがあるとの申立てを受けた場合の弁護士への相談費用まで補償可能な保険を取り扱っている保険会社もございます。環境(体制)整備と並行して、保険で備えておくことも検討してみてはいかがでしょうか。気になる方はお近くの保険代理店までお気軽にご相談ください。
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