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従業員のリスキリング 企業も伴走支援を

従業員のリスキリング 企業も伴走支援を

リスキリングとは、職業能力の再開発、再教育のことです。近年政府もリスキリングの支援を呼び掛けており、経済産業省ではデジタル時代の人材政策に関する検討会において、リスキリングを「新しい職業につくため、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために必要なスキルを獲得する、又はさせること」と定義づけています。特に中小企業において、定着意欲の向上や人材獲得に向け、企業による伴走支援が望まれています。

【目次】

1.リスキリングが必要な理由

2.リスキリングが企業にもたらすメリット

3.中小企業におけるリスキリングの伴走支援

4.今回のまとめ

 

リスキリングが必要な理由

DX実現への加速のためデジタル人材が必要

日本企業におけるDX推進が進む中、多くの企業が「人材不足」という課題に頭を悩ませています。DXのために必要な高い専門性やスキルを持った人材が不足しているからです。そのため、DXに必要な人材を新たに採用することに加えて、自社内で育てることが急務となっています。AIの普及による業務の自動化や技術革新によって生産性が向上したことで、人手が不要となる職種が今後増えることも予測されています。人間にしか対応できない付加価値の高い職種への転換といった、成長分野に携わる雇用の創出が求められており、リスキリングの需要が高まっています。

海外と日本の現状

欧米諸国の企業では、従業員のリスキリングに取り組む動きが広がっています。2020年に開催された「世界経済フォーラム年次大会」では、「リスキリング革命」と題して、「2030年までに地球人口のうち10億人をリスキリングする」と発表しました。これは、第4次産業革命に伴い、発展・変化する技術に対応するために、人々に良い教育や仕事の機会を提供しようという戦略です。一方、遅れをとっているのが日本です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の『DX白書2021』によると、事業戦略上の変革を担う人材の「量」と「質」の確保について、「大幅に不足している」と「やや不足している」の合計は、米国企業では50%以下であるのに対して、日本企業は70%を超えています。日本企業の多くが、事業戦略における人材不足に強い危機感を抱いていることがわかります。

リスキリングが企業にもたらすメリット

企業がリスキリングに積極的に取り組むとどのようなメリットが生まれるのでしょうか。

新規事業やイノベーションの創出

リスキリングによって新しいスキルや高い専門性を習得することにより、新たなアイデアが生まれ、新規事業の立ち上げや既存事業の拡大につながる可能性があります。

業務の生産性向上

人の手で行っていた業務をデジタル化すると、工数削減につながります。社内の生産性を向上することができれば、削減できた時間を企画やコア業務に費やしたり、新たな役割を任せられたりするようになります。結果、売上の向上も期待できます。

企業文化の維持

DX推進のために新しい人材を大量採用した場合、これまで培ってきた企業理念や企業文化の継続が難しくなる可能性があります。すでにその企業で活躍している人材を育成することは、企業文化の維持や優秀な人材の確保につながります。

採用コストの削減

DX人材は、専門性が高いために採用コストが大きくかかることがデメリットです。既存の従業員にリスキリングを通じて新たな技術を身につけさせれば、社内異動で充足させることができるため、採用コストの大幅削減が期待できます。従業員に新たな役割を与えることで、デジタル化による余剰人材の発生を抑えることも可能です。

中小企業におけるリスキリング伴走支援

経営資源の限られる中小企業では、育成方針が定まらないまま導入すると、人事担当者をはじめたとした従業員は過度の負担を強いられ、それ自体が離職や人材流出につながる可能性もあります。導入には慎重になる必要がありますが、公的支援については知っておくとよいでしょう。

■人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。

【コースは全部で4つ】
① 人材育成支援コース
② 教育訓練休暇等付与コース
③ 人への投資促進コース
④ 事業展開等リスキリング支援コース

※参照 厚生労働省HP 人材開発支援助成金|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

今回のまとめ

学ぶ機会が用意されていても、従業員がなぜそのスキルを習得することが必要なのかを理解していないと、実務に生かせません。そのスキルを習得した上でどのような課題を解決するのかなどの目標設定を行い、結果を評価、フィードバックすることで、リスキリングは身になります。リスキリングがきっかけで仕事に意欲的になり、企業へのエンゲージメントも高まる可能性があります。中小企業も、思い切って「従業員の学ぶ機会」を導入してみると、人材獲得や従業員定着といった課題に何か変化があるかもしれません。またエンゲージメント強化では、福利厚生制度の充実も一つの手段です。学ぶ機会と、従業員の安全衛生に関する福利厚生制度の二輪を走らせ、従業員に「この会社で良かった」と思ってもらえるような企業を目指せたらよいですね。

 

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