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年収の壁 気にせず働けるようになる?

年収の壁 気にせず働けるようになる?

年収が一定額を超えるとパート労働者らの手取りが減る「年収の壁」問題を巡り、厚生労働省は年収130万円を超えても連続2年までなら扶養にとどまれるようにする方針を決めました。令和7年に予定する5年に1度の年金制度改正までのつなぎ措置とし、年収の壁対策のパッケージのひとつに位置づける予定です。また厚生年金の適用基準となる106万円の壁への対策も講じるとのことです。扶養内で働いているパート労働者には朗報ともいえるこの制度ですが、企業側においてはただ手取りを増やせばいいという訳ではなく色々な問題もあるようです。

【目次】

1.年収の壁についておさらいしておきましょう

2.年収の壁、支援強化パッケージとは

3.  課題、問題点について

3.今回のまとめ

 

年収の壁についておさらいしておきましょう

厚生年金の被保険者に扶養されている従業員100人以下の企業のパート労働者らは、現在年収が130万円を超えると社会保険料を自ら払う必要があります。年収が130万円を超えても扶養にとどまれるようにするため、厚労省は雇用主が一時的な収入増だと証明し、健康保険組合などが個別に判断する仕組みをとり入れます。手続きのための書類作成も簡素にし、雇用主らの負担軽減につなげる予定です。手取りの減少を避けるため壁を越えないようにする労働者が年末にかけて働く時間を調整することが、人手不足を加速させる一因になっているとの指摘もあり、130万円の壁に関してはこれまでも一時的な収入増であれば、過去の給与などを勘案して扶養にとどまることが可能でしたが、厚労省は具体的な要件を明示していませんでした。厚生労働省は壁を越えても手取りが減らないように賃上げをしたり、勤務時間を延ばしたりした企業に1人あたり最大で50万円を助成する方針です。今回はあくまで時限措置との位置づけで、働き方に中立な制度への移行が急がれます。

年収の壁、支援強化パッケージとは

短時間労働者がいわゆる「年収の壁」を意識せずに働けるようにするために発表された、この「支援強化パッケージ」は、主に106万円の壁への対応策としてキャリアアップ助成金に新コースを設けることになりました。賃上げや所定労働時間の延長などの「労働者の収入を増加させる取り組み」を行う事業者に対し、労働者一人あたり最大50万円を支給するとの事です。ただ最長3年にわたってもとめられる要件は複雑で、フルで助成を受けるためのハードルは低くありません。そのうえ、本人の手取り収入を減らさないように手当を支給した場合、最大二年間標準報酬月額を算定する際の対象に含めない仕組みを取り入れるとしました。こちらは令和7年度までの時限措置で、1事業所あたりの申請人数に上限はなく、2023年10月1日から適用されます。また、130万円の壁対策としては、一時的な増収によって130万円を超える際、事業主の証明書を添付することで連続2年まで被扶養者にとどまれるようにするとのことです。

課題、問題点について

壁がなくなるのであればたくさん働きたいと考えるパート従業員の方も多くいらっしゃると思います。しかし、企業への負担が大きいともいえるこの支援パッケージで疑問視されているのが、壁がなくなったことによって厚生年金、健康保険の加入者が増えるのにもかかわらず、財源が雇用保険から使われる点です。キャリアアップ助成金は、雇用保険から運営されており、ただでさえコロナ禍における雇用調整助成金の特例支給が影を落とす中今後は社会保険料のフォローにまで使われることになるということで、疑問視されている部分も多いようです。また労使合意を経て社会保険、厚生年金に加入させるケースと、年収増で加入義務が生じた場合では企業の対応にも差が出るでしょう。今回の助成金制度もそこまでわかりやすく整っていないため、「やはりパート従業員には今までどおり扶養内で働いて欲しい」と考える企業も出てくることが考えられます。そもそも就業調整への対策であるといいますが「なぜ今なのか?」という疑問をもつ企業も少なくないでしょう。首都圏や主要都市周辺ではこの間、地域別最低賃金の高騰を受けて「社保未加入のまま働ける時間数」が激減し、各社は対応を迫られてきたぶん、今回の改革にも企業側から厳しい目が向けられている面もあるようです。

今回のまとめ

今回の助成金は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促すため、正社員化や処遇改善をした事業主を包括的に女性するための措置です。単なる手取り確保支援に終わらないように従業員自身のキャリアアップや正社員登用への一歩として捉えることが企業にも従業員にも必要です。また従業員の定着には、福利厚生制度や、ケガや病気をしても長く働ける制度が整っていることも大切です。助成金なども活用しながらパート、正社員問わず、皆が働きやすい企業経営基盤を整えていきましょう。

 

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