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民法改正【法定利率の見直し!?】

民法改正【法定利率の見直し!?】

2020年4月から、120年ぶりに民法が改正され、時効、債権、個人情報保護、賃貸借契約など様々な法律が順次改正となっています。120年前に作成された法律では、実情に合わない部分がいくつも出てきます。今まで民法に明記されていない部分においては、民法学者や法曹実務家が解釈で補ったり、判決が有力な先例として取引を規律したり、特定分野について特別法が制定されたりと様々な形でカバーされてきました。しかし今回、実情に合わない部分は現代に適応する内容に修正され、存在しなかったルールも明文化するような改正が行われました。「実情に合わない部分」の改正の典型といえるのが法定利率の改正です。今回は、法定利率とは何か、改正点等から見ていきます。

【目次】

1.法定利率とは

2.改正点を詳しくご説明いたします

3.問題点(ライプニッツ係数)

4.今回のまとめ

 

法定利率とは

「法定利率」とは、民法で定められている利率のことです。当事者間の合意による約定利率(やくじょうりりつ)を定めていない契約や遅延損害金について適用されます。改正前の民法では,この法定利率は,年5%と定められています(404条)。この法定利率は,交通事故や労災事故等の遅延損害金についても、当事者が特に利率を定めておかなかった場合に,適用されます(419条1項)。例えば,交通事故の場合、事故の時点で損害賠償請求権が発生し,同時に,遅滞(返済が遅れている状態)に陥って遅延損害金も発生していくとされています。交通事故では,当事者が事前に遅延損害金を取り決めているということはないため,年5%の法定利率が適用されます。被害者は諸々の損害の合計額と合わせて、事故の日から法定利率の年5%で計算した遅延損害金も請求できることになります。法定利率の年5%という数値は、もともとは市場金利を参考にして定められたものでした。ですが,民法が制定されたのは明治31年です。参考にされた市場金利は,約120年前のものです。当時は,銀行にお金を預ける等すれば,利子がついて、年5%くらいは自然に増えるだろうという想定でした。それなのに、年5%の法定利率を用い続ければ、当事者が法律の趣旨に反して得をしたり損をしたりすることが出てきてしまいます。超低金利時代と言われる現代では、こういった問題点があり、改正となりました。

改正点を詳しくご説明いたします

改正民法404条(法定利率)

1 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。

2 法定利率は、年三パーセントとする。

3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。

今回の改正で、利率は5%から3%に変更されました。この利率はずっと固定ということではなく、利率の改正を想定し、三年ごとに見直すことになりました。

令和2年3月31日までの法定利率 = 年5%
令和2年4月1日から令和5年3月31日までの法定利率 = 年3%
令和5年4月1日から令和8年3月31日までの法定利率 = 年3%
令和8年4月1日以降の法定利率 ⇒ 未確定(変動の可能性あり

 

問題点(ライプニッツ係数)

時代に即した、利率の改正により、適切な料率設定となります。ただ、交通事故や労災事故等、発生した場合、賠償金等が高額化となるケースが想定されます。被害者側とすると、遅延損害金等が高額化となり受け取れる金額が増え、加害者側とすると、支払わなくてはいけない金額が増えることとなります。事故等の際に、収入が得られなくなることによる損害(逸失利益)や長期にわたる介護費用等が発生します。こうした『将来にわたって発生する損害』に対する全期間分の補償を一括して受け取った場合、その金額を運用することにより毎年利息収入が得られます。この毎年発生する利息に相当する金額を差し引いた金額を算出するための係数をライプニッツ係数といいます。このライプニッツ係数は法定利率をもとに算出している為、今回の改正に伴い、事故時には高額化のケースになります。

 

31歳 年収600万 妻30歳 子供(7歳、4歳)の死亡事故のケースで考えてみましょう

改正前

逸失利益6950万 葬祭費用150万 慰謝料等2800万 合計9900万

 改正後

逸失利益9169万 葬祭費用150万 慰謝料等2800万 合計12119万

今回のまとめ

以上のとおり、法定利率の変更から、万が一の事故のケースに高額訴訟となるかもしれません。交通事故や労災事故の場合、訴訟等は長期化しやすく、時間も費用もかかります。企業向け、法人様向けに企業保険を提案している保険会社もございます。万が一の際、被害者、加害者、みなさんで円満に解決できるようお近くの代理店へ一度、相談してみてはいかがでしょうか?

 

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