お知らせ・コラム
「事業承継と自社株評価」保険会社のサービスについて
中小企業・小規模事業者における65歳以上の経営者は全体の約4割を占めており、多くの中小企業が数年のうちに事業承継のタイミングを迎えるといわれています。実際に他人ごとではない、という経営者・事業主の方も多いと思います。今回は、事業承継と自社株評価についての情報を提供させていただきます。
【目次】
1.中小企業の現状と事業承継のステップ
2.事業承継の種類と自社株評価
3.今回のまとめ
中小企業の現状と事業承継のステップ
国内企業において中小企業の占める割合は約99%(小規模事業者は約85%)、従業員数の割合は約70%(小規模事業者は約24%)であり、中小企業は経済・社会の基盤を支える存在となっています。経営者の高齢化は年々進み続けており、2016年に日本政策金融公庫総合研究所が公表した調査では対象企業4,000社のうち60歳以上の経営者の約50%、個人事業主においては約70%が廃業を予定しているという結果が出ています。廃業を予定していると回答した企業の約3割は後継者難を理由に挙げていますが、事業は継続できるにも関わらず後継者の確保ができずに廃業を選択せざるを得ない状況に陥っているというのが実態となっています。会社が存続できるにも関わらず、事業承継の進め方や実情に対する認識不足により事業承継への着手を先送りしたために後継者を確保できなかったというケースもあるため、事業承継には後継者の育成期間を含めて5年~10年要するものと考えられます。経営者の平均引退年齢が70歳前後であることから、後継者の育成期間を踏まえると60歳頃から事業承継の準備を始める必要があるということになるのです。
事業承継には、
・後継者教育などを進めながら経営権を引き継ぐ「人(経営)」
・自社株式・事業用資産、債権や債務などの「資産」
・経営理念や取引先との人脈、技術・技能といった「知的資産」
の3つの要素があり、それぞれについて計画的に進めていく必要があります。
≪事業承継のステップ≫
1.事業承継に向けた準備の必要性を認識する
2.経営状況・経営課題等を把握(見える化)する
3.事業承継に向けて経営を改善(磨き上げ)する
4.(a)親族内・従業員へ承継する場合⇒事業承継計画を策定する
(b)社外へ引継ぐ場合⇒マッチングを実施する
5.(a)事業承継(b)M&Aを実行する
※参考 中小企業庁「事業承継ガイドライン」
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2016/161205shoukei1.pdf
「事業承継マニュアル」
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170410shoukei.pdf
事業承継の種類と自社株評価
かつては経営者の子や親族などに事業を承継する「親族内承継」がほとんどでしたが、経営者が子どもの職業選択の自由を尊重する風潮や後継者となる子や親族が自社の事業の魅力を感じられない、事業承継に伴うリスクに対する不安があるなどの理由により、最近は経営者と親族関係にない役員や従業員を後継者にする親族外承継や社外の第三者に会社や事業を譲渡するM&Aの割合が増えています。
≪事業承継の種類≫
①親族内承継⇒現経営者の子をはじめとした親族に承継させる方法
相続等により財産や株式を後継者に移転できるが、相続税対策を行うだけでなく事業承継を行う前に経営力の向上に努め、経営基盤を強化し、後継者が安心して引き継ぐことができる経営状態に引き上げるとともに十分な準備期間を設けて後継者教育(技術やノウハウ、営業基盤の引継ぎを含む)に計画的に取り組む必要がある。
②役員・従業員承継⇒「親族以外」の役員・従業員に承継する方法
経営者としての能力のある人材を見極めて承継することができること、経営方針等の一貫性を保ちやすいことから近年急増している。親族株主の了解を得る必要があることや資金力の問題はあるものの、親族外の後継者も事業承継税制の対象に加えられたこと等により実施しやすい環境が整ってきている。
③社外への引継ぎ(M&A等)⇒株式譲渡や事業譲渡等により承継を行う方法
親族や社内に適任者がいない場合に広く候補者を外部に求めることができるだけでなく、会社売却の利益を得ることができる。本業の強化や内部統制(ガバナンス)体制の構築により企業価値を高めるだけでなく、マッチング候補を見つけるまでの期間が数か月~数年かかる場合もあり、交渉・実行までに時間がかかる。企業が人材・ノウハウなどの経営資源を次代に確実に引き継ぐためには親族内の事業承継やM&Aなどの検討を早期に開始する必要があります。そのために、経営者が今後の企業経営の方向性を判断するための材料となる「現在の自社の企業価値」を正確に把握することが重要であり、企業価値を判断するためには自社株の価値を知っておく必要があります。自社株を把握することは事業承継における大前提となるのです。
≪自社株評価とは≫
市場に出回っていない株式のうち、経営者の一族などが保有している株式(非上場株式)の価値を算定することを自社株評価といいます。非上場株式は上場企業のように自社株評価が示されていないため、国税庁が定めた基準に則り算出します。
※参考 国税庁「取引相場のない株式の評価」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4638.htm
中小企業庁「事業承継ガイドライン」
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2016/161205shoukei1.pdf
「事業承継マニュアル」
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170410shoukei.pdf
今回のまとめ
継承前の磨き上げのための投資や継承後の経営改善・経営革新のための投資だけでなく、経営者から遺贈や贈与によって株式・事業用資産を承継する場合の相続税・贈与税、自社株式などを経営者から有償で譲渡される親族外承継の場合の取得資金など、事業承継には資金が必要となります。「事業承継マニュアル」の中でも触れられていますが、事業承継資金を確保するためには生命保険を活用することも有効です。生命保険会社の中には「自社株評価」の試算サービスを無料で提供している保険会社もございます。気になる方、興味があるという方はお近くの保険代理店までお気軽にご相談ください。
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