名古屋市の損害保険・生命保険代理店なら保険ポイント「お知らせ・コラム」ページ

お知らせ・コラム

外国人労働者の雇用について

外国人労働者の雇用について

令和4年7月27日、厚生労働省より全国の労働局や労働基準監督署が令和3年に外国人技能実習生の実習実施者(技能実習生が在籍している事業場)に対して行った監督指導や送検等の状況について公表されました。その結果、72.6%に当たる6,556事業場で労働基準関係法令違反が発覚しています。この結果を読み解くことで外国人労働者の採用や技能実習生の受入れを検討している企業経営者や事業主の皆さまの参考となれば幸いです。

【目次】

1.外国人技能実習生の実習実施者に対する令和3年監督指導・送検の概要

2.監督指導や申告、送検事例

3. 今回のまとめ

 

外国人技能実習生の実習実施者に対する令和3年監督指導・送検の概要

≪監督指導の状況≫

全国の労働基準監督機関において、労働基準関係法令違反が疑われる実習実施者に対して9,036件の監督指導を実施したところ、72.6%に当たる6,556件で同法令違反が認められています。

≪主な違反事項≫

主な違反事項としては、「安全基準」2,204件(24.4%)、「割増賃金の支払」1,443件(16.0%)、「労働時間」1,345件(14.9%)が上位を占めており、「年次有給休暇」「賃金の支払」「就業規則」「衛生基準」 「労働条件の明示」「賃金台帳」「健康診断」「時間把握」「法令等の周知」と続いています。

≪主な業種に対する監督指導の状況≫

「主な業種」は、技能実習の計画認定件数が多い5職種(機械・金属関係職種、食料品製造関係職種、繊維・衣服関係職種、建設関係職種、農業関係職種)に関連する業種について取りまとめたものとなっています。

≪申告の状況≫

技能実習生から労働基準監督署に対して労働基準関係法令違反の是正を求めてなされた申告の件数は126件で、令和2年度の192件と比較すると件数は減少していますが、新型コロナウイルスによる入国規制等を踏まえると決して安心できる数字ではありません。主な申告内容は、「賃金・割増賃金の不払」126件、「支払われる賃金額が最低賃金額未満」16件、「解雇手続の不備」12件となっています。

≪送検の状況≫

技能実習生に関する重大・悪質な労働基準関係法令違反が認められた事案として労働基準監督機関が送検した件数は25件で、「安全基準」 11件(44%)と「最低賃金の効力」 6件(24%)が大半を占めています。※厚生労働省「外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年)【別紙】」より

https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000969254.pdf

監督指導や申告、送検事例

実際どのようなケ-スで監督指導や申告、送検されるのかを事例をもとにみてみましょう。

≪監督指導事例≫

CASE1

物流関連企業で外国人技能実習機構から違法な時間外労働についての通報があり立入調査が実施され、月100時間を超える違法な時間外労働だけでなく、年次有給休暇が付与される労働者に対して5日以上の年次有給休暇を取得させていなかったことが判明。この事例では、労働基準法第32条(労働時間)違反と長時間労働の削減、労働基準法第39条第7項(年次有給休暇の取得)違反について指導されています。

CASE2

食品製造企業でベルトコンベヤーの回転部分に指が挟まれる労働災害が発生したため立入調査が実施され、ベルトコンベヤーの掃除を行う際に機械の運転を停止していなかったことが判明。この事例では、機械の掃除を行う場合において機械の運転を停止しなかったことについて労働安全衛生法第20条第1号(事業者の講ずべき措置等)違反と労働安全衛生規則第107条第1項(掃除等の場合の運転停止等)に基づき是正勧告されています。

CASE3

空調設備設置工事現場で外国人技能実習機構から割増賃金の一部が支払われていないとの通報があり立入調査が実施され、割増賃金が支払われていなかったこと、労使協定がないにもかかわらず賃金から寮費を控除していたことが判明。この事例では、労働基準法第37条第1項(割増賃金の支払)違反、労働基準法第24条第1項違反(賃金の支払)について是正勧告されています。

CASE4

建設現場において、フォークリフトの無資格運転を行っているとの情報が寄せられたことで立入調査が実施され、資格を有していない技能実習生がフォークリフトを運転していたことが判明。この事例では、労働安全衛生法第61条第1項(就業制限)違反と労働安全衛生法施行令第20条第11号、労働安全衛生規則第41条に基づき是正勧告されています。

≪申告事例≫

CASE1

縫製業で働く技能実習生から1か月30時間を超える時間外労働の単価が1時間当たり500円程度しか支払われないとの申告がなされ、適正な割増賃金が支払われていないこと、寮費として不当に高額な金額が控除されていたことが判明。

CASE2

建設現場で働く技能実習生から、荷の積み卸し等の準備時間に対する賃金が支払われないとの申告があり、法定労働時間を超えた時間に荷の積み卸し等が行われていたことと、その賃金が支払われていないことが判明。いずれも、労働基準法第37条第1項(割増賃金の支払)違反にて割増賃金の支払いについて是正勧告されています。※CASE1は労働基準法第24条第1項(賃金の支払)違反もあり

≪送検事例≫

CASE1

食品加工業において、外国人技能実習機構からの通報をうけ捜査が行われた際に、技能実習生3名に対して1か月最大109時間の時間外労働が行われていただけでなく、労基署からの指導を逃れるために労働時間の記録を改ざんし、虚偽の労働時間記録を作成していたことが判明。この事例では、労働基準法第32条第1項・第2項(労働時間)違反と労働基準法第108条(賃金台帳)違反の疑いで送検されています。

CASE2

建設現場において機体重量3トン以上のトラクター・ショベルで斜面を降りようとした際、バランスを崩して横転した重機の下敷きになり従業員が死亡したという労災事故の捜査において、運転資格を有していない技能実習生が運転作業に従事していたことが判明。この事例では、労働安全衛生法施行令第20条第12号(就業制限に係る業務)と労働安全衛生法第61条第1項(就業制限)違反の疑いで送検されています。

※厚生労働省「外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年)【別紙】」より

今回のまとめ

業種を問わず人手不足が叫ばれている今、改正出入国管理法が施行されたこともあり、多くの企業が外国人労働者の雇用を人手不足の対応策として期待しているようです。

東京商工リサーチが2018年に行ったWEBアンケートでも、2社に1社は外国人労働者の雇用を考えているという結果が出ています。外国人労働者に関する様々な法律は日本人と同様に適用されるため、備えについても同様に必要だと言えます。法令を遵守することはもちろん、外国人労働者の労災事故や雇用トラブル対策としても労災上乗せ保険などの損害保険が活用できます。外国人労働者に関する労務相談をご契約者サ-ビスとして無料で提供している保険会社もございます。気になる方はお近くの保険代理店までお気軽にお問い合わせください。

 

損害保険のご相談なら株式会社保険ポイントまでお声がけください。

TEL>052-684-7638

メール>info@hokenpoint.co.jp

 

お電話、メールどちらでもお待ちしております。