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建設業の偽装一人親方問題とは

建設業の偽装一人親方問題とは

国土交通省は、建設業の一人親方が老後の生活や万一の負傷や疾病などで困らないように一人親方の処遇改善対策に関して実効性ある施策を検討する「建設業の一人親方問題に関する検討会」を設置しました。企業が社会保険等の法定福利費を適正に負担する中での公平かつ健全な競争環境を整備しようという趣旨です。現在も事業主負担の労働関係諸経費の削減を意図して技能者の個人事業主化(いわゆる一人親方化)が行われておりますが、徐々に社会保険加入率の上昇がみられるなど社会保険加入や正社員登用などの一定の効果を得てきています。今回は建設業界における偽装一人親方が生まれる背景と問題点などについて触れていきたいと思います。

【目次】

1.偽装一人親方が生まれる背景と問題点

2.特別加入制度の対象者の拡大

3.今回のまとめ

 

偽装一人親方が生まれる背景と問題点

本来の建設業の一人親方とは

土木や建築その他の工作物の建設、改造、保存、現状回復などの作業に精通しており自分で段取りを行い請負った仕事を完成する事が可能な技術を持った職人を指します。

個人事業主として仕事を受注し、時には応援の職人などを呼ぶなどして責任をもって仕事をやり遂げます。職人でもありますが、事業主でもあるため企業の社員では無く、経営者として扱われます。また労災などの補償に関しては、企業の役員と同じで補償の対象外となります。

②「偽装一人親方」の整理

以下のような働き方の場合には偽装一人親方の指摘を受ける可能性があります。

・特定の企業や特定の使用者の事業場において就業している

・就業規則等により時間や業務の遂行などに制約を設けている

・時間給や日給など時間の経過が賃金計算のよりどころとなっている

・必要な道具等も自己所有ではなく支給されたものを使用している

③偽装一人親方が生まれる背景

法人は雇用している労働者の賃金等を支払っていますが、賃金以外に社会保険等に関して保険料の半額程度を負担することとなっています。従業員一人に支払う社会保険料等だけでも法人には相当な負担となっている事は事実でしょう。いわゆるエキスパートといえる手に職を持っている従業員に個人事業主あるいは一人親方として独立を促し、自己の会社の業務を専属的に請け負ってもらうという発想になるわけです。

しかし、このように手に職がある正社員を退職させ、個人事業主や一人親方にして専属的に仕事をさせることが不正な「偽装一人親方」を生むことに繋がっていると言えます。

ただし、元社員側にとっても独立を目指していたり、雇用された状態で社会保険等が引かれるよりも個人事業主の方が手取りが増加するなどの理由で一人親方になる事を望むケースもあります。

④偽装一人親方が現場で被災した場合

個人事業主や一人親方は、企業に雇用されている訳ではないので、労災保険の補償の対象外となります。現場で被災した場合も現場の労災給付の補償を受ける事が出来ないため、個人事業主や一人親方、企業の役員は労災の特別加入もしくは一人親方労災に加入する必要があります。

ただし、本来なら労働者に該当する働き方をしている一人親方が現場で被災してしまった場合には労基署の判断で労災保険が適用されるケースがあります。元請負業者の労災保険が適用されることもありますが、社会保険料などの削減のために「偽装一人親方」にしていた場合などは企業側にペナルティが課せられます。

いずれにせよ業務上災害が発生した場合に補償を受けられるのか不安定な状態で据え置かれてしまうので、被災者にとっては著しく不利な状況が続くことになります。

特別加入制度の対象者の拡大

・フリーランスの特別加入制度の拡大

厚生労働省は特別加入制度の対象者を拡大しています。令和3年4月からは芸能従事者やアニメーション制作従事者などを対象に加えました、また令和3年9月からは、フリーランスの自転車配達員(ウーバーなどの配達員)およびITエンジニアが対象に追加されています。

労働者性の判断に関して

「偽装一人親方」のようなケースに対して、厚生労働省では形式的には請負契約等により従事する個人事業主でも実態として労働者である人を事業主が使用した場合は、労災保険の適用があるとしています。これを個人事業主の労働者性と表現していますが、フリーランスガイドライン(令和3年3・26)では労働者性の判断に関して、「運送業の持込運転手」と「作業場を持たず一人で内装業を請け負う大工」について、労働者性を否定した事案を紹介していました。ポイントとして「業務遂行上の指揮監督の有無」「拘束性の有無」「報酬の労務対賞性」「事業者性の有無」などを総合的に考慮した結果、労働者に当たらないと判断したものです。

今回のまとめ

現在でも多くの方がフリーランスや一人親方、個人事業主としての働き方を選択していますし、会社を退職したり転職が当たり前の時代になってきたので、今後フリーランスとしての働き方を選択する方が増えてくる可能性もあります。

フリーランスのメリットは、働き方が自由、手取りが増える、将来的に大きく事業展開できる可能性などがあります。逆にデメリットとして、厚生年金がない、国民健康保険や国民年金に自分で加入しないといけない、基本的に労災の補償外などになります。

社員で働きたいのに一人親方扱いにされてしまったなどは大問題ですが、ご自身で一人親方やフリーランスの道を選択される場合は、労災の特別加入・国民年金の加入、国民健康保険の加入などの手続きを確実におこなっておく必要があります。また、雇用されている労働者よりも社会保障が薄いので保険などでカバーしておく事をお勧めしております。

 

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