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早期離職防止対策 企業にできること
採用した社員が3年以内に辞めてしまう「早期離職」。早期離職が増えることにより、「採用・育成コストの高騰」や「既存社員のモチベーションの低下」などが懸念されます。今回は新入社員の離職率の傾向や早期離職が起きる原因、早期離職への対策について解説します。
【目次】
1.新卒離職率のデータと離職理由
2.早期離職によっておこる企業への影響
3.老舗旅館が挑んだ早期離職防止対策
4.今回のまとめ
新卒離職率のデータと離職理由
早期離職とは、採用した社員が3年以内に退職することです。仕事に慣れ、戦力として今後の活躍を期待していた企業にとって、社員が辞めてしまうことは、企業にとって大きな問題といえます。下記は令和5年10月に厚生労働省から発表された学卒者の新規離職率です。
新規学卒就職者の就職後3年以内離職率 ( )内は前年比増減
【 中学 】52.9% (▲4.9P) 【 高校 】 37.0% (+1.1P)
【 短大等 】42.6% (+0.7P) 【 大学 】 32.3% (+0.8P)
離職の理由として最も割合が高かったのは、「仕事が自分に合わなかったため」で43.4%でした。次いで、「人間関係がよくなかったため」が23.7%、「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」が23.4%、「賃金がよくなかったため」が20.7%と続きます。また、離職理由の中で最も重要な理由についても、「仕事が自分に合わなかったため」が23.0%で最も多くなっています。次いで、「人間関係がよくなかったため」が10.0%、「結婚、子育てのため」が8.5%、「健康上の理由で勤務先での仕事を続けられなかったため」が7.0%という結果でした。「離職の理由」「最も重要な理由」ともに「仕事が自分に合わなかったため」が一番多いことから、入社前に想像していた仕事内容と実際の仕事内容とのギャップが、早期離職を考える大きな要因となっていることがうかがえます。人間関係や労働条件の不満も、新入社員のモチベーションやエンゲージメントを低下させ、早期退職を招いているようです。
早期離職によっておこる企業への影響
早期離職は企業に多くの影響を及ぼします。以下にその影響をいくつかご紹介します。
採用コスト・育成コストが無駄になること
新たな人材を採用し、育成するためにかかるコストや時間が無駄になります。新入社員が一人前の戦力として独り立ちするまでには、教育研修制度が機能している企業でも4年以上かかるとされています。
企業イメージが悪化する可能性
離職が慢性化すると企業のブランドイメージにも悪影響を及ぼすことがあります。早期離職が多発する企業は、求職者や社会からの信頼を失いかねません。
既存社員のモチベーションまで低下してしまう
新入社員の早期離職は、残った社員に「自分も転職した方が良いのではないか」という疑問や「教育にかけた頑張りが無駄になった」という落胆を与え、生産性の低下や連鎖的な離職者を出すきっかけになる恐れがあります。
老舗旅館が挑んだ、早期離職防止対策
群馬県のとある老舗旅館では、毎年大卒、短大卒の新卒採用を実施し、フロント、仲居、企画、総務などの業務に就く人材を育てていました。しかし大量に採用しても、早期離職があいつぎ、現場には疲労感が蔓延していました。2015年、現オーナーが経営に関与し始めたことで転機を迎え、そこから少しずつ採用手法を変えていきました。採用活動の位置づけを「企業が学生を選ぶ側である」という概念から「会社・学生双方が互いを選ぶ立場である」と捉えなおしをしました。学生の判断基準を増やす取り組みとして、会社説明会、インターンシップ、就業規則の開示などを積極的に行い、企業のポリシーである「誰かの幸せを自分のパワーに変える」という就業観を丁寧に伝えました。また学生に対して企業理念や基本的なビジネスマナーなどが書かれた副読本を配布しました。その中で特にページを割いているのが多様な休暇制度についてであり、同社ではペットを含む家族の忌引休暇、看取り休暇など、独自の制度を整備しており、学生には冊子を熟読してもらったうえで、自身が望む働き方とマッチしているかどうかをしっかり考えてもらうようにしました。結果応募の母集団の数自体は減りましたが、2019年~2023年に採用した従業員の全てが現在も定着しているようです。
今回のまとめ
早期離職が慢性化すると、採用コストの高騰や既存社員のモチベーション低下、企業のイメージダウンなどにつながる可能性が高くなります。早期離職を起こさないために、「採用ミスマッチへの対策」「入社後フォローの徹底」「労働条件や待遇の改善」などの取り組みが有効と考えられています。また福利厚生制度の充実も社員定着ポイントの一つです。保険を利用するなどして、従業員の怪我や病気に備えられる補償を備えておけば安心して長く働いてもらえるのではないでしょうか。社員の定着率にお悩みの経営者の方は、一度自社の福利厚生制度等を見直してみるのもよいかもしれません。
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