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全国初!『アウティング』による労災認定に学ぶ

全国初!『アウティング』による労災認定に学ぶ

2022年3月、20代の男性従業員が職場で同意なく性自認・性的指向を暴露される「アウティング」を受け精神疾患を発症したとして労災認定されました。精神疾患がアウティングによるパワ-ハラスメントと認められた全国初のケ-スとなります。労働施策総合推進法に基づくパワ-ハラスメント防止措置が中小企業に義務化された2022年4月以降、パワハラによる労災認定は増え続けています。今回はパワハラのひとつである「アウティング」について情報提供いたします。

【目次】

1. アウティングとは

2 職場におけるハラスメント対策

3. 今回のまとめ

 

アウティングとは

「アウティング」はゲイやレズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーなど(LGBT / LGBTQ+)に対して、本人の了解を得ずに、他の人に公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露することです。日本におけるLGBTの割合は10%前後といわれていることからも「自分には関係ない」と言い切ることはできないというのが現状です。今回労災認定されたケースは、入社した際に緊急連絡先を登録するため、必要のある正社員に限って伝えることなどを条件に同居する同性のパートナーがいることを会社側に伝えたところ、上司が男性従業員に同意なくパート従業員にアウティングを行ったことから上司への信頼がなくなり、職場で必要なコミュニケーションがとれなくなり精神疾患を発病したというものです。上司の説明は「自分で言うのは恥ずかしいと思ったから言っておいた。1人ぐらいいいでしょ」だったそうです。男性従業員は退職後に労災申請を行い、「精神疾患はアウティングによるものでパワーハラスメントと認められる」として労災認定されています。性的マイノリティであることを理由とする偏見や差別を解消するため、「パワーハラスメント防止のための指針」の中でも相手の性的指向等に関する侮辱的な言動を行うこと等がパワハラに該当すると考えられる例として明記しており、性的マイノリティに関する企業の取組事例集等を作成・周知するなどの職場における性的マイノリティに関する正しい理解を促進することを求めています。

※法務省サイト「性的マイノリティに関する偏見や差別をなくしましょう」より

職場におけるハラスメント対策

厚生労働省がまとめた企業アンケ-ト調査によると、「同性愛者や両性愛者、トランスジェンダーなどの性的マイノリティやいわゆる LGBT と呼ばれる人が会社にいることを知っているか」という質問において、従業員規模によらず約9割の企業が「多少は知っている、聞いたことはある」と回答しています。職場でカミングアウトをするかしないかは個人の意思・判断に基づいて行われるべきで、カミングアウトの推奨や強制はするべきではないとされていますが、企業が社内に当事者がいることを認知しているかどうかのアンケ-ト調査では、「全体」では「いないと思う」が 41.4%、「わからない」が 29.9%、「1,000 人以上」の企業では、「認知している」が 40.6%、「認知していないが、いる可能性を想定している」が 29.7%となっており、そのきっかけは「当事者からカミングアウトがあった」が規模を問わず3割程度という結果となっています。職場でカミングアウトを受ける可能性があるのは人事部門の担当者だけでなく、同僚など周囲の社員であるため、カミングアウトを受けた者がアウティングをしないように企業としてどのように働きかけるかが課題となっています。調査した企業の9割以上が「性的マイノリティが働きやすい職場環境をつくるべきという認識を持っている」ことからも、今や職場における性的指向・性自認に関する取組みは必要不可欠と言えるのではないでしょうか。具体的な取組み内容についてのアンケ-ト結果も確認しておきましょう。会社の状況に応じて、取り組めるものから始めてみてはいかがでしょうか?

【方針・体制】

・性的指向・性自認に関する倫理規定や行動規範の策定

・性的指向・性自認にかかわるハラスメントに関する社内規定の策定

・性的マイノリティに対する施策の担当者・担当部署の設置

・社内アンケートなどによる実態把握

【相談対応】

・社内に、性的指向・性自認に関して相談できる窓口がある

・社外に、性的指向・性自認に関して相談できる窓口がある

・性的マイノリティに関する相談対応ガイドラインの策定

【理解・促進】

・経営層や管理職に向けた研修や勉強会の開催

・人事労務担当者に向けた研修や勉強会の開催

・社員に向けた研修や勉強会等の開催

・ポスター・リーフレット等の配布や掲示

【採用・人事管理】

・性的マイノリティに関する採用に係る配慮方針の策定

・採用担当者への教育や研修

・性的マイノリティ向けの採用説明会の開催や採用セミナーへの参加

・配置における配慮

・配置、昇進、昇格に関する公正な評価の徹底

【トランスジェンダーへの対応】

・採用時の応募書類における性別欄への配慮

・社内書類における性別欄への配慮

・制服や服装規定におけるトランスジェンダーへの配慮

・トランスジェンダーへの配慮を意図した誰でも利用できるトイレの設置

・トランスジェンダーへの配慮を意図した更衣室の環境整備

・健康診断時のトランスジェンダー当事者への配慮

・柔軟な労働時間を可能にする制度や傷病休暇制度等を性別移行のための治療や手術に利用できることを明示 等

※厚生労働省「職場と性的指向・性自認に関する調査結果のまとめ」より

今回のまとめ

今回の事例のように、精神疾患の発症が労災認定されれば当然に企業責任が問われます。近年注目を集めている「雇用慣行賠償責任保険(ハラスメント保険)」は、不当解雇または不当な雇用関係の終了(雇い止めなど)、雇用に関するパワーハラスメント・セクシャルハラスメントなど、雇用に関する不当な差別行為、懲戒行為などに対応するものですが、ケガや病気(これらに起因する後遺障害または死亡を含む)については補償することができません。従業員が業務に従事中または通勤途上で被ったケガや労災認定された病気については「使用者賠償責任補償」で備えておく必要があります。ハラスメント対策としてはどちらの備えも必要ですので、現在の補償内容を今一度見直してみてはいかがでしょうか。気になる方はお近くの保険代理店までお気軽にご相談ください。

 

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