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介護事業者へのBCP義務化

介護事業者へのBCP義務化

「令和3年度介護報酬改定」において介護事業所のBCP(Business Continuity Plan)策定が義務化されました。3年間の経過措置が設けられているため、2024年が期限となっています。これまでこのコラムでもお伝えしてきましたが、「BCPを策定する」ことを目的にしてしまうことで時間と労力、場合によっては経費まで無駄にしてしまいかねません。義務化が策定のきっかけとなるケ-スもあると思いますが、せっかく策定するのであれば、「有事に使えるBCP」の策定を目指していただくことをお勧めします。

【目次】

1.BCP義務化の背景と概要

2.本当に役立つBCPとは

3.今回のまとめ

 

BCP義務化の背景と概要

これまで予想していなかった新型コロナウイルス感染症は、これまでのBCPの概念を一蹴しました。企業がBCPを策定する主な理由は、自然災害やテロ、システム障害といった緊急事態に損害を最小限に抑え、重要な業務継続あるいは早期に再開させるためですが、新型コロナウイルスの流行により想定外だった感染症も脅威のひとつとなりました。増加し続ける自然災害や新たな感染症はもはや「想定内の脅威」となったと言えます。すなわち「想定内の脅威に対する対策を取っていない」ことにより企業責任を問われる可能性があるのです。厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の概要」の中でも、感染症や災害が発生した場合に利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築する、といった下記のような対応力の強化を求めています。

≪感染症や災害への対応力強化≫

日頃からの備えと業務継続に向けた取組の推進

◆感染症対策の強化

・ 施設系サービスについて、現行の委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加え、訓練(シミュレーション)の実施の義務化

・ その他のサービスについて、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等の義務化

◆業務継続に向けた取組の強化

感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務化

◆災害への地域と連携した対応の強化

非常災害対策(計画策定、関係機関との連携体制の確保、避難等訓練の実施等)が求められる介護サービス事業者は、訓練の実施について地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならないこととする

◆通所介護等の事業所規模別の報酬等に関する対応

通所介護等の報酬について、感染症や災害の影響により利用者が減少した場合に状況に即した安定的なサ-ビス提供を可能とするため特例措置を設ける

 

上記以外の地域包括ケアシステムの推進や自立支援・重度化防止の取組み等、5つの項目についての詳細は厚生労働省HP「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」(下記URL)

をご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753776.pdf

本当に役立つBCPとは

企業におけるBCP(事業継続計画)は、災害などの急激な環境変化が発生したときに企業が従業員と経営資源への被害を最小限に抑え、人員の安全確保と事業の継続や早期復旧を図るための計画ですが、これに加えて介護事業者の場合は利用者の安全確保も必要となります。「BCP」と聞くと、「膨大な作業で時間と労力がかかる」「ガイドライン通りに作成しなければならない」「マニュアル(文書)化することがゴ-ル」とお考えの方もいらっしゃると思います。実際に担当者がコンサルタントと共に辞書のような分厚い文書(マニュアル)を時間と労力、費用をかけて必死で作り上げたものの、他の従業員や社長や役員までもがその内容を全く知らないという企業も少なくないようです。BCPは策定して終わり、というものではありません。社長や役員、全ての従業員がいざという時に悩むことなく迅速に行動できるもの、また経営環境の変化に対応しながら継続的に改善できるものである必要があります。となれば、当然シンプルなものでなければなりません。

既に計画・実践している、

・自然災害時に介護サービスを中断させないための施設の安全対策

・ライフラインを確保するための代替策や対応

・備蓄品の確保

といった事前対策や、

・利用者・従業員の安全確保のための避難場所の確認や緊急連絡先・連絡手段の確認

・中断させられない重要業務を継続させるための対策

といった施設、事業所単位での事前対策、

・新型コロナウイルス感染拡大時の情報収集方法

・職員の確保

・感染防止策

等を計画書に落とし込むことが必要となるのです。

今回義務化された介護事業所におけるBCPを、新たに策定するものと考えるのではなく普段取り組んでいることを分かりやすくまとめると考えてみてはいかがでしょうか?

※厚生労働省

「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000817384.pdf

「介護施設・事業所における自然災害発生時の事業継続ガイドライン」

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000704787.pdf

今回のまとめ

災害時に事業をいち早く継続させるための資金源となるのが建物や設備什器といった企業財物の損害を補償する保険や利益補償保険の保険金ですが、被害を最小限に抑えるためには、

・事前に自施設・自事業所の脆弱性を把握し、優先順位をつけて課題を解決していく

・災害時に全ての従業員が自分のやるべきことを理解し迅速に行動できるような行動計画を策定・共有し、状況にあわせて見直しする

・事業の早期再開に最も重要である初動を迅速かつ的確に行うために継続して訓練する

といったPDCAサイクルを継続していくことが非常に重要となってきます。企業の脆弱性診断や実践的な訓練を無料で提供している保険会社もございます。気になる方はお近くの保険代理店まで相談してみてはいかがでしょうか。

 

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