お知らせ・コラム
自然災害で事務所や店舗が被災!従業員の給料は?

コロナ禍において「雇用調整助成金」を活用したという事業者の皆さまも多いと思いますが、地震や台風、豪雨などの自然災害で大きな被害を受けた際にも、この「雇用調整助成金」を活用することが出来ることをご存じでしょうか?事業を早期に復旧し、継続していくために必要な従業員の雇用継続資金として「雇用調整助成金」が活用できることは事業主にとって大変有難いものですが自己負担金は必ず発生します。今回は雇用調整助成金の受給に関する情報提供をさせていただきます。
【目次】
1. 雇用調整助成金・雇用調整助成金の特例措置とは
2. 災害時の資金準備計画
3. 今回のまとめ
雇用調整助成金・雇用調整助成金の特例措置とは
雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業、教育訓練、出向に要した費用を国が補助する制度です。大きな自然災害が発生した場合には、雇用調整助成金の特別措置が実施され災害に伴う経済上の理由により雇用調整を行わざるを得ない事業主に対して受給要件などの緩和が行われています。
災害(地震・台風・豪雨等)に伴う経済上の理由とは
災害による直接的な被害そのものは経済上の理由には当たりません。災害に伴い、
取引先の地震被害のため、原材料や商品等の取引ができない
交通手段の途絶により来客がない、従業員が出勤できない、物品の配送ができない
電気・水道・ガス等の供給停止や通信の途絶により営業ができない
風評被害により観光客が減少した
施設、設備等の修理業者の手配や修理部品の調達が困難で早期の修復が不可能
といった経営環境の悪化については経済上の理由に当たり、それによって事業活動が縮小して休業等を行った場合は「雇用調整助成金」の助成対象となります。令和6年能登半島地震における雇用調整助成金と雇用調整助成金の特例措置(令和6年6月現在)についてみてみると以下のようになっています。
【日額上限】雇用調整助成金(通常制度)・令和6年能登半島地震の特例措置ともに8,490円(従業員1名あたり)
【助成率】雇用調整助成金(通常制度)⇒大企業1/2、中小企業2/3・令和6年能登半島地震の特例措置⇒大企業2/3、中小企業4/5
【クーリング要件】雇用調整助成金(通常制度)⇒過去に雇用調整助成金の支給を受けた対象期間満了日の翌日から起算して1年を超えていること・令和6年能登半島地震の特例措置⇒撤廃
【生産指標要件】雇用調整助成金(通常制度)⇒最近3カ月間の月平均値が前年同期比10%以上低下(事業所設置後1年未満は対象外)・令和6年能登半島地震の特例措置⇒最近1カ月間の月平均値が前年同期比10%以上低下(事業所設置後1年未満も対象)
出典 : 雇用調整助成金(厚生労働省HP)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_20200515.html
令和6年能登半島地震にかかる雇用調整助成金の特例措置(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/001194764.pdfを加工
令和6年能登半島地震だけでなく、過去には、東日本大震災、熊本地震をはじめ令和元年の台風第19号・第20号・第21号や令和2年7月豪雨なども雇用調整助成金の特例措置が実施されています。※AIG損害保険「休業時の雇用継続資金は手当てできていますか?」ちらしより
災害時の資金準備計画
雇用調整助成金が受給できたとしても災害時には自己負担が発生します。雇用調整助成金は被災した施設・設備等の復旧資金としては対象外であり、グル-プ補助金やなりわい再建支援補助金等の補助金の支給が決定された場合でも、補助金を受給できるのは補助金対象物件の復旧完了後になります。また、補助金は復旧資金の全額が支給されるわけではありませんので、復旧期間中や復旧後にも資金が必要となります。人件費や家賃地代等の固定費を含めた休業損失においては、グル-プ補助金やなりわい再建支援補助金は対象外であり、雇用調整助成金を受給できたとしても従業員1名あたりの上限額は日額8,490円、中小企業の助成率は4/5(令和6年能登半島地震の特例措置の場合)となっているため、こちらも資金が必要となります。平均年収400万円の従業員が10名いる会社が3ヶ月休業し、休業手当を支給して雇用調整助成金(令和6年能登半島地震の特例措置/中小企業)を受給した場合では、休業手当は1,000万円(400万円×10名の3ヶ月分)、雇用調整助成金は5,094,000円(8,490円×20日←1カ月当たりの休業日数×3ヶ月×10名)となり、自己負担金として4,906,000円(1,000万円-5,094,000円)が必要となります。※AIG損害保険「休業時の雇用継続資金は手当てできていますか?」「グル-プ補助金/なりわい再建支援補助金の需給に事業継続力強化計画の認定取得をお奨めします」ちらしより
今回のまとめ
地震や豪雨などの自然災害や火災に被災した際は、建物や設備・什器等の資金に加え、事業を継続するための人件費や家賃などの経費を含む休業損失に対する資金も必要となります。十分な自己資金があれば問題ありませんが、一般的には火災保険を活用して備えられています。既に火災保険に加入している場合でも、地震や水災、風災に対応しているものでなければ補償されませんので注意が必要です。また休業損失を補償するためには、建物や設備・什器等に対する保険とは別に、地震や水災、風災による休業損失が補償される保険に加入しておく必要があります。事業者用の建物や設備・什器についても地震による損害や地震を含む自然災害時の休業損失を補償する保険を取り扱っている保険会社もございます。現在の補償内容を確認するとともに、地震補償や休業損失補償の必要性について検討してみてはいかがでしょうか?気になる方はお近くの保険代理店までお気軽にご相談ください。
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