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足場からの墜落防止措置は万全ですか?

足場からの墜落防止措置は万全ですか?

建設工事現場では墜落・転落による死亡災害が多く、全体の約3割(2023年)を占めています。墜落個所の多くは足場であり、足場に手すり等がなく安全点検が十分に行われていない事例が散見されていますが、特に一側足場はこれまで法令上手すり等の設置義務がなく、非常に危険な状態となっていました。足場の組立て、一部解体、または一部変更の後、事業者、注文者には安全点検の義務がありましたが、実際には十分に行われていなかったことなどから足場の組立て、一部解体または一部変更後に点検者の指名やその点検者の記録・保存を義務化することなどが改正労働安全衛生規則により定められ、墜落・転落災害防止策の強化が図られています。令和5年10月1日から順次施行されている足場からの墜落防止措置の強化について今一度おさらいしておきましょう。

【目次】

1. 改正の概要とポイント

2. 足場からの墜落事故事例

3 .  今回のまとめ

 

改正の概要とポイント

【一側足場の使用範囲が明確化】R6.4.1施行

幅が1m以上の箇所において足場を使用するときは、原則として本足場を使用する必要があります。※幅が1m未満の場合も可能な限り本足場を使用するつり足場の場合、障害物の存在その他の足場を使用する状況により本足場の使用が困難なときは本足場を使用しなくても差し支えありません。

幅が1m以上の箇所

足場設置のために確保した幅が1m以上の箇所について、その一部が公道にかかる場合、使用許可が得られない場合、その他該当箇所が注文者、施工業者、工事関係者の管理の範囲外である場合等については含まれません。

障害物の存在その他の足場を使用する状況により本足場の使用が困難なとき

①足場を設ける箇所の全部または一部に撤去が困難な障害物があり、建地を2本設置することが困難なとき

≪留意点≫

建地の一部を1本とする場合は、足場の動揺や倒壊を防止するのに十分な強度を有する構造とします。

②建築物の外面の形状が複雑で、1m未満ごとに隅角部を設ける必要があるとき

③屋根等に足場を設けるとき等、足場を設ける床面に著しい傾斜凹凸があり、建地を2本設置することが困難なとき

④本足場を使用することにより建築物等と足場の作業床との間隔が広くなり、墜落・転落災害のリスクが高まるとき

 

【足場の点検時には点検者の指名】R5.10.1施行

事業者及び注文者が足場点検(つり足場を含む)を行う際は、あらかじめ点検者を指名する必要があります。

指名の方法

「書面で伝達」「朝礼等に際し口頭で伝達」「メール、電話等で伝達」「あらかじめ点検者の指名順を決めてその順番を伝達」等、点検者自らが点検者であるという認識を持ち、責任をもって点検できる方法で行います。

点検者

・足場の組立て等作業主任者であって、足場の組立て等作業主任者能力向上教育を受講している者

・労働安全コンサルタント(試験の区分が土木または建築である者)等労働安全衛生法第88条に基づく足場の設置等の届出にかかる「計画作成参画者」に必要な資格を有する者

・全国仮設安全事業協同組合が行う「仮説安全監理者資格取得講習」を受けた者

・建築業労働災害防止協会が行う「施工管理者等のための足場点検事務研修」を受けた者

などの十分な知識・経験を有する者

 

【足場の組立て等の後の点検者の氏名の記録・保存】R5.10.1施行

上記で指名した点検者の氏名を記録及び保存しなければなりません。

≪留意点≫

「足場等の種類別点検チェックリスト」を活用することが望ましい

※出典:「改正労働安全衛生規則」厚生労働省都道府県労働局 労働基準監督署

※AIG損保「RISK MANAGEMENT COMPASS労働安全版(建設業編)」

足場からの墜落事故事例

【仮設足場工事業の労働災害事例】

作業現場の足場解体中に、従業員(20歳)が高さ5mから墜落し、頚椎骨折、頸髄損傷、両大腿骨骨折、右膝蓋骨(しつがいこつ)骨折等を受傷。頸髄損傷により四肢麻痺が残り、後遺障害1級に認定された事例。

早朝の事故で、現場にいたのは足場作業主任者と墜落した従業員のみ。足場を上から解体していく作業で、一番上の横の鉄棒部分(養生シ-トをかける最上段の部分で、作業員がのって作業する部分ではない)を解体するよう足場作業者から指示を受けて足場の5段目に上って手すりを解体した際、片方の手で支えていなかったため、勢いあまってバランスを崩し、アスファルト舗装の地上に墜落した。安全帯のフックを固定していなかったこと(墜落・転落防止措置不足)、墜落した従業員が高所作業をしないという条件で雇用されていた為、高所作業のための十分な指導を受けていなかったこと(雇用条件無視)が原因となったこちらの事例では、4年以上の長期にわたる治療の末に後遺障害1級と認定され、損害賠償請求金額2億5,000万円の訴訟となり、訴訟開始から約4年後に1億5,000万円で和解が成立しています。※AIG損保「事故事例集 Edition4」より

今回のまとめ

建設事業者の皆さまの殆どは、現場での労災事故に備えて労災上乗せ保険に加入しているのではないでしょうか。墜落・転落による事故により後遺障害認定される状態となれば高額な損害賠償請求がなされる可能性が高くなります。今回取り上げたのは改正民法が施行された2020年4月1日より前の事例ですが、同じ事故が今発生した場合、合計で6,000万円以上も高額(現在のライプニッツ係数で逸失利益や将来介護費などを計算した場合)になります。法令を遵守して事故の発生を最小限に抑えるとともに、適正な保険金額を設定した労災上乗せ保険に加入することで経営者も従業員も安心して働ける環境を整えておきたいものですね。労災事故に備える保険商品について詳しく知りたい、という方はお近くの保険代理店までお気軽にご相談ください。

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