お知らせ・コラム
職場での熱中症に注意!
従業員が熱中症で倒れてしまうという事故は毎年増加しています。今年は4月の時点で既に真夏日を観測した地域もあり、昨年同様またはそれ以上の厳しい暑さが予想されます。厚生労働省でも5月から9月まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しており、職場における熱中症予防対策を徹底するよう呼び掛けています。業務中の熱中症は労災認定される可能性があることからも、事業者として対策を講じておく必要があるのです。
【目次】
1. データで見る「熱中症」
2. 事例と対策
3 . 今回のまとめ
デ-タで見る「熱中症」
令和5年の職場での熱中症による死亡者と休業4日以上の業務上疾病者の数は1,045人(うち死亡者数28人)となっています。過去10年では、2018年の1178人(死亡者数28人)をピークに減少傾向にありましたが、2022年より再度急増し、昨年はピークに迫る勢いとなりました。過去5年の熱中症死傷者数を業種別でみてみると、最も多いのは建設業、次いで製造業となっています。月別では全体の8割が7月と8月に発生しており、時間帯別では午後3時台が最も多く、次いで午前11時台に多く発生しています。また、年齢別では全体の約5割が50歳以上という結果となっています。※厚生労働省「令和5年職場における熱中症による死傷災害の発生状況(速報※)」。「熱中症」は、高温多湿な環境下において体内の水分及び塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻することなどにより発症します。症状としては、めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感、意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温等です。気温の高い夏季に多く発生しており、死亡災害者数は毎年20名前後となっていることから、「熱中症」についての知識や認識を深めるために、厚生労働省サイト内に専用ページが設けられています。熱中症で現れる様々な症状にはそれぞれ病名がつけられていますが、実際の現場では症状が混在して発生するため、熱中症が疑われる場合は重症度によって軽症(Ⅰ度)、中等症(Ⅱ度)、重症(Ⅲ度)に分類しています。
軽度の症状(めまい、立ちくらみ、生あくび、大量発汗、筋肉痛、筋肉の硬直等⇒意識障害なし)であれば、冷書での安静、体表冷却、経口的に水分と塩分の補給を行い、症状が徐々に改善している場合は現場の応急処置と見守りで対応する。
中等度の症状(頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感⇒集中力や判断力の低下)がみられる場合は、医療機関にて体温管理、安静、十分な水分と塩分の補給(点滴含む)等の診療が必要であるため、周囲の人が判断し病院へ搬送する。
重度の症状(意識障害や小脳症状、痙攣発作といった中枢神経症状、肝・腎機能障害、血液凝固異常)は入院(場合によっては集中治療)による体温管理や呼吸、循環管理DIC治療が必要となるため、救急隊員や病院での診療・検査で診断されることになります。
※厚生労働省職場の安全サイト掲載の『働く人の今すぐ使える熱中症ガイド』より
熱中症による死亡事例と対策
【事例①】気温36.5℃(WBGT29.5℃)40代男性(鉄筋コンクリ-ト造家屋建築工事業)
8時からマンション建替工事現場にて雑作業に従事し14時40分頃に作業が終わり、休憩場所に向かったが、14時46分頃休憩場所の階段付近で倒れているところを発見された。水分補給や身体冷却を実施しても症状が改善されなかったため、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
【事例②】気温31.5℃(WBGT29.3℃)40代男性(一般貨物自動車運送業)
8時頃から倉庫で荷のピッキング作業に従事し、適宜休憩を取りながら作業を続けていたが、11時50分頃に被災者が倉庫内で倒れている状態で発見され、保冷剤で首等を身体冷却したあとに緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
【事例③】気温29.0℃(WBGT27.2℃)20代男性(ガラス製品製造業)
8時50分頃から18時30分頃まで適宜休憩を取りながら板ガラスの切断作業に従事していたが、様子がおかしいことに上司が気づき帰宅を指示した。19時頃に帰社したが、19時10分頃に倒れているところを通行人が発見し緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
2023年の熱中症による死亡災害事例を見てみると、
発症時(緊急時)の措置について確認・周知していなかった
暑さ指数(WBGT)の把握ができていなかった
熱中症予防のための労働安全衛生教育ができていなかった
熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある持病(疾病や所見)を有していた
ことが原因となっています。
熱中症が疑われる人への応急処置もおさらいしておきましょう。
意識を確認し、意識がはっきりしていなければただちに救急隊を要請する
意識がはっきりしている場合は
涼しい場所(エアコンの効いた室内、風通しの良い日陰など)へ避難させる
衣服をゆるめ、からだを冷やす(特に首の回り、脇の下、足の付け根など)
水分・塩分、経口補水液(水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの)などを補給する
自力で水分がとれなければ、ただちに救急隊を要請する
※厚生労働省「職場で起こる熱中症」より
今回のまとめ
熱中症はケガではありませんが、労災上乗せ保険において『死亡・後遺障害』『入院日額・手術・一時金』『治療実費や通院・休業日額』の支払い対象となっていることをご存じでしょうか?フルタイムで補償する特約を付帯することで、業務外に発症した熱中症まで補償可能なプランを取り扱っている保険会社もございます。熱中症は死亡事故にも繋がりかねません。応急処置等についての周知徹底や従業員の持病の事前確認、暑さ指数の把握や労働安全衛生教育の実施といった対策を徹底するとともに、保険を活用することも検討してみてはいかがでしょうか?電話やチャットで医師や看護師に24時間相談できるサ-ビスや、熱中症をはじめとした健康に関する情報提供資料を無料で提供している保険会社もございます。気になる方はお近くの保険代理店へお気軽にご相談ください。
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