お知らせ・コラム
フォークリフト使用による事故が多発しています
労働災害の中でも、フォークリフトを使用することによる事故は多く、毎年2000件前後の事故が起きており、そのうち30件前後が死亡事故となっています。今年3月、岡山労働基準監督署は、建設会社がフォークリフトの特定自主検査を怠っており、横転し下敷きになる死亡事故がおきたとして、安衛法違反の疑いで書類送検されています。
【目次】
1.岡山での労災事故の概要
2.フォークリフトの事故対策
3.今回のまとめ
岡山での労災事故の概要
事故は令和5年8月2日、岡山県新見市の市道で発生しました。建設会社の資材置き場から同社の施工する建設現場まで、労働者がフォークリフトを運転していたところ横転、運転していた労働者がその下敷きになって死亡しました。安衛法では、フォークリフトについて1年を超えない期間ごとに1回、定期に走行装置や操縦装置など、法定の事項を事業場内の資格を有する労働者もしくは検査業者による特定自主検査を行うことが義務付けられています。被疑者である建設会社の代表取締役は、災害発生までの3年間(令和2年8月2日から同5年8月2日)、。特定自主検査を行っていなかったと思われます。
【参考】◎安衛則第151条の21 第1項
事業者は、フォークリフトについては1年を超えない期間ごとに1回、定期に次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし1年を超える期間使用しないフォークリフトの当該使用しない期間においてはこの限りではない。
その他にも以下のような事故事例がおきています
①転落事故
運転者がフォークリフト搭乗中に転落する。
荷台やフォーク部分に登った作業員が転落する。
②はさまれ・巻き込まれ事故
フォークリフトの車体とマストの間に運転者がはさまれる。
フォークリフトと壁や荷物の間に作業員が巻き込まれる。
③激突事故
フォークリフトと作業員が激突する。
フォークリフトから荷物が落下し、作業員に当たる。
④転倒事故
フォークリフトが転倒し、運転者が車両の下敷きになる。
横転したフォークリフトから運転者が車外に放り出される。
⑤落下事故(荷崩れ)
フォークリフト作業中に荷物がパレットごと落下する。
トラックからの積み下ろし作業中に荷物が落下し破損する。
フォークリフトの事故原因としては、運転操作ミス、ハンドル操作ミスや速度の出し過ぎ、安全確認や法令遵守の怠り、周囲の安全確認を怠りなどが事故の原因になっています。また今回のような点検や整備不足、整備不良なども考えられます。
フォークリフトの事故対策
フォークリフトの事故は死亡災害に大きくつながる可能性があります。このような事故を起こさないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。
【フォークリフト4原則の徹底】
フォークリフト4原則とは、多くの職場が取り入れている4つのルールです。
①走行速度は10km/h以下
②バック走行が基本
③止まれの表示を必ず守る
④死角の安全確認を怠らない
また、以下のことにも注意しましょう。
①運転席から離れるときはエンジン停止
②運転中の携帯電話使用禁止
③進行方向・交差点での指差し呼称
④誘導員の指示を守る
⑤作業半径は立ち入り禁止
⑥運転席での飲食禁止
【フォークリフト停止5原則】
フォークリフト停止5原則は、フォークリフトを駐車するときの基本ルールです。フォークリフト4原則と合わせて社内ルールに取り込みましょう。
①サイドブレーキを引く
②フォークを床面まで下ろす
③エンジンを止める
④キーを抜く
⑤歯止めをする
また倉庫や工場内は、死角となる場所が多いです。死角から人が飛び出してくる危険があるため、フォークリフト運転者には一時停止を、歩行者には別の安全なルートを確保しましょう。整理整頓や作業場のレイアウト変更で死角を減らす方法も有効な対策です。その他には指差し呼称で安全確認を行いましょう。交差点や発進時など声に出して毎回確認することで、周囲の安全確認と他の作業者への注意喚起にもなります。指差し呼称を習慣化し、危険や異常を事前に発見しましょう。さらに点検と整備の徹底をしましょう。フォークリフト法定点検は事業者の義務です。始業開始前点検はもちろん、月次点検、年次点検も必ず実施し、異常個所を整備してから乗車しましょう。万が一フォークリフト事故が発生した場合、事故報告書を作成し事故事例を社内や関連会社で展開しましょう。事故事例を共有し従業員へ周知することで、事故の抑止力につながります。
【事故報告書記載事項】
①作成日時
②当事者の基本情報
③作業内容
④事故内容
⑤発生原因
⑥再発防止対策
今回のまとめ
フォークリフトは人を轢く事故のリスクや、フォークリフトを使う作業自体にリスクが伴います。事故が起きないようにする安全対策はもちろんですが、起きてしまった場合の備えの両面を万全にする必要があるでしょう。自動車保険だけでなく、労働災害総合保険や火災保険・動産総合保険も併せて加入しておくことをおすすめします。
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