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労働災害の防止「10則」を確認
福岡労働局では、昨年から管内での死亡災害が多発しているのを受け、事業者への労働災害防止活動を呼びかけています。建設業、製造業を中心に死亡災害が目立っており、背景には管理者の知識不足などの安全管理体制の弱体化や安価な受注による安全軽費不足の影響が見られるという。重篤災害を防止するためのポイントを「死亡災害防止10則」にまとめ、事業者への確認を求めています。今回は、死亡災害の増加の背景や特に建設業や製造業における危険防止のポイントについて触れていきたいと思います。
【目次】
1.効率化による安全軽視が背景に
2.死亡災害防止10則
3.今回のまとめ
効率化による安全軽視が背景に
福岡労働局管内では、昨年発生した労働災害による死亡者は33人で前年の20人から大幅に増加しました。業種別では建設業が12人で最も多く、製造業ではなんと1人から9人に急激に増えています。今年に入っても死亡災害に歯止めがかかっておらず、昨年同様のペースで推移していることを受けて、死亡災害撲滅に向けて各事業者に呼びかけています。
事故が増加している背景
建設業では工事代金が少額の工事などで安価で受注した結果、安全経費や設備費が削られるケースがある等、労働局の担当者は安全軽視を指摘しています。災害が発生した解体工事現場では足場の床材が足らず建物上部の解体に合わせ足場床を組み替えながら使うなど効率を優先した結果、災害が発生してしまったようです。一方、製造業ではコロナ渦中に安全担当部署のメンバーに大幅な入れ替わりがあり、安全管理体制が弱体化し、新任管理者の知識・経験不足や作業員への教育不足も見られています。生産が落ち込んだ時期に機械設備への投資が十分に行えず、古い機械設備で作業を続けた結果、災害につながった例もあるとしました。こうした背景から新たに掲げた「安全第一再考運動」では、事業者に改めて安全第一の考えを持つよう促し、労働者が安全に健康で働けることが事業の最大の効率化につながることを呼びかけていきます。そこで重篤な災害を防ぐためのチェックポイントを「死亡災害防止10則」としてまとめています。
死亡災害防止10則
◎死亡災害防止10則チェックリスト
1.高所からの墜落・転落災害の防止
足場、作業板の端、開口部等の墜落危険箇所に手スリ等を設置している。この設置が困難な時やスレート屋根上では安全帯を着用し、かつ、必ず使用している。またこの取付のための丈夫で安全な設備を設けている
2.車両系建設機械との接触災害の防止
車両系建設機械等、いわゆる重機の走行や回旋など可動範囲内への立ち入り禁止措置を徹底している。臨時に立ち入る必要がある時は、無線やグーパー運動(立入り者がパーで合図し重機運転手がグーで了解を示す)等により確実に重機の運転を停止している
3.土砂崩壊災害の防止
地山掘削や溝掘削の作業を行うときは、地質等の事前調査を実施しその結果に基づく掘削方法や角度で作業を行っている。また掘削の高さや深さに関係なく地山に崩壊の恐れがある時は、土止め等の措置を講じている
4.クレーン災害の防止
クレーン作業の玉掛け作業では333運動(地切り30cm以内、3秒以上停止、3m以上離れて合図)等により荷への接触防止措置を講じている
5.機械はさまれ、巻き込まれ災害の防止
機械の掃除、給油、検査、修理、調整(原材料や異物の除去、不具合解消の一時的な作業や機械の設定を含む)を行う時は、確実に機械の運転を停止している。また機械の運転停止時は、起動装置に錠をかける、表示板を取付ける等の措置を講じている
6.フォークリフト災害の防止
フォークリフト作業では、事前にその能力や作業場所の広さ等に応じた作業計画を定め、徹底している。また、フォークリフトの作業範囲内への立入禁止、急発進・急旋回・急停止の禁止、用途外使用の禁止を徹底している
7.荷役災害の防止
貨物自動車の荷台での作業では、墜落時保護用の保護帽の着用、安全な昇降設備の使用を徹底している。また、荷台端での後ずさり作業の禁止、三点支持による昇降、貨物自動車の停車時の逸走防止等に関する教育を徹底している
8.交通災害の防止
安全運転、危険予知・かもしれない運転、体調管理、3つの余裕(時間・車間距離・気持ちの余裕)等に関する教育を雇入れ時や定期的に実施している。また、取引先と連絡調整した上、安全に配慮した運行計画を策定している。危険マップ作製,車両点検、点呼等も行っている
9. 有機物との接触災害の防止
一酸化炭素中毒、酸欠、化学物質による障害等、有機物との接触のおそれがある作業を行う時は事前に作業計画を策定する。かつ換気や置換等による有害物質の除去、有効な保護具・保護衣・検査器の着用等の措置を徹底している
10.熱中症の防止
WBGT値(暑さ指数)を考慮した作業時間・休憩時間、暑熱環境への順応期間の設定。冷房・送風機・日よけ用の設置、休憩場所の確保、水分、塩分の適宜補給、当日の体調や健康 管理管理、応急時の措置方法を医療機関の周知等を行っている
今回のまとめ
人手不足や材料費の高騰等により、建設現場の環境は以前に比べて悪化しているケースもあるようです。今まで重大災害を起こしたことがない事業者でも、大きな事故を起こしてしまう可能性は0ではありません。事業者には、従業員を安全な環境で働かせるように配慮する安全配慮義務があるので、安全第一の意識の徹底と安全行動の徹底を行う必要があります。また、万一の労災訴訟等のリスクに備えて保険を準備しておく事も大切です。
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