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テレワ-クによる異例の労災認定に学ぶ

テレワ-クによる異例の労災認定に学ぶ

横浜市の補聴器メ-カ-に勤めていた女性従業員がテレワ-クでの長時間労働を原因として3月8日に労災認定されたというニュースが各メディアで4月初旬に報道されました。テレワ-クによる労災認定は異例と言われていますが、働き方が多様化している現在、企業経営者としてはあらゆる可能性を想定しておく必要があるのかもしれません。テレワークにおける労務管理についておさらいしておきましょう。

【目次】

1. テレワ-クによる労災認定までの経緯

2. テレワ-クガイドラインと労災認定要件

3.今回のまとめ

 

テレワ-クによる労災認定までの経緯

各報道内容によると、女性従業員が入社したのは2019年で経理業務などを担当していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年頃から自宅でテレワ-クをするようになりました。2021年の後半に会社が新たなシステムを導入したこと、同僚が退職したことなどから業務量が増加。上司からは時間帯に関係なくメールやチャットで業務連絡や指示を頻繁に受けるようになり、休日も労働せざるを得ない状況だったようです。そのような状況の中、2022年3月に適応障害が発症。発症直前の残業時間が月100時間の過労死ラインを超えており、2024年3月8日に労働基準監督署より労災認定された、という流れのようです。

≪精神障害の労災認定要件≫

【認定要件①】 認定基準の対象となる精神障害を発病していること

【認定要件②】認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務 による強い心理的負荷が認められること

【認定要件③】 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

※厚労省「精神障害の労災認定 過労死等の労災補償Ⅱ」より

テレワ-クガイドラインと労災認定要件

厚生労働省は2021年(令和3年)3月、テレワークの推進を図るためのガイドラインであることを明示的に示す観点から、ガイドラインのタイトルを「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」に改定しています。ガイドラインでは、

テレワークの導入に際しての留意点
労務管理上の留意点
テレワークのルールの策定と周知
様々な労働時間制度の活用
テレワークにおける労働時間管理の工夫

の5つの大きな項目に分かれており、「テレワークにおける労働時間管理の工夫」の中で「テレワークにおける労働災害の補償」について触れています。

またサテライトオフィス勤務やモバイル勤務では、通勤災害(労働者が就業に関し、住居と就業の場所の往復等を合理的な経路及び方法で行うこと等によって被った負傷等)が認められる場合も考えられます。

≪テレワ-クにおける労災認定≫

テレワ-クを行う労働者も事業場における勤務と同様に「労働基準法」に基づいて使用者が労働災害に対する責任を負います。そのため、労働契約に基づいて事業主の支配下にあることによって生じたテレワ-クにおける災害も、業務上の災害として労災保険給付の対象となります。今回報道されたテレワ-クによる労災認定された事例についてみてみると、

【認定要件①】認定基準の対象となる精神障害かどうか

⇒適応障害の発病あり

【認定要件②】業務による強い心理的負荷が認められるかどうか

⇒「業務による心理的負荷評価表」の具体的出来事「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」の「強」になる例である「仕事量が著しく増加して時間外労働も大幅に増える(おおむね倍以上に増加し1か月当たりおおむね100時間以上となる)などの状況により、業務に多大な労力を費やした場合」に該当

【認定要件③-1】業務以外の心理的負荷による発病かどうか

⇒「業務以外の心理的負荷評価表」による個別判断の結果

【認定要件③-2】個体的要因による発病かどうか

⇒精神障害の既往症やアルコ-ル依存状況などがある場合に、その内容について確認し、顕著な個体側要因がある場合には、それが発病の原因であると言えるか慎重な判断がなされた結果により労災認定の判断がなされたと考えられます。

 また、テレワ-クによる労災認定の可能性があるのは精神障害だけではありません。自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていたが、トイレに行くため作業場所を離席し、作業場所に戻って椅子に座ろうとしたところ転倒してケガをしたという事例は、業務行為に付随する行為に起因して災害が発生していること、私的行為によるものと認められないことから業務災害と認められるケ-スです。※個別の事案については管轄の都道府県労働局・労働基準監督署にご相談ください。労災事故はどのような状況であっても発生する可能性がある、とあらためて考えさせられます。※厚生労働省「テレワ-クの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」「ガイドライン概要」より

今回のまとめ

ガイドラインの中では、「新規事業の担当になったことにより、適応障害を発病したとして労災認定された」事例や「上司からパワ-ハラスメントを受けたことにより、うつ病を発病したとして労災認定された」事例も紹介されています。このような労災事故は業種を問わず全ての企業において発生する可能性があります。事故を未然に防止するための取り組みとあわせて、労災上乗せ保険を活用するという方法も有効です。メンタル不調を感じた時に無料で相談できるカウンセリングサ-ビスや、労災申請したものの、認定に至らなかった精神疾患であってもお見舞金をお支払いできるプランを取り扱っている保険会社もございます。企業の福利厚生制度として導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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