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職場における転倒災害を防ごう

職場における転倒災害を防ごう

職場での転倒による労働災害は年々増加しており、令和3年は全産業で3万3627人(前年比+8.9%)が転倒によって4日以上の休業を余儀なくされました。令和3年の労働災害発生状況では、転倒による休業4日以上の死傷災害は全体の22.5%を占め、墜落・転落21286人や挟まれ・巻き込まれの14020人を抑えて一番多く発生した労働災害になります。転倒予防には労働者自身が身体の衰えを自覚し注意を払うことに加えて、職場に潜む転倒リスクを排除していく両側面からの対策が必要となります。災害防止のポイントの解説とともに実際の企業の取り組みなどをみていきましょう。(労働新聞社 安全スタッフ 2022年10月号参照)

【目次】

1.年々増加する転倒災害を減らそう

2.「ポケ手ナシ+」の歩行定着へ

3.今回のまとめ

 

年々増加する転倒災害を減らそう

転倒災害による死傷者数の推移

平成27年では、25949人だった転倒による死傷者数が6年たった令和3年では33672人まで増加しており、3割ほど増えています。業種別では、保健衛生業6037人、小売業5893人のほか製造業も5332人と多く、続いて陸運業2813人、建設業1666人などとなっています。休業4日以上の災害の60.6%が休業見込期間1カ月以上で長期休業に至るケースが多いです。また、転倒を原因とする死亡災害も26件発生しており、建設業(5人)農業・水産業(3人)、陸運業(3人)製造業(2人)など重篤な結果につながっています。

転倒防止対策をすすめるポイント

事業場内で作業経路の段差や凹凸、突起物、繋ぎ目を解消してつまずきを防止するとともに4S(整理・整頓・清掃・清潔)の徹底による床面の水濡れや油汚れを除去し、台車など障害物の片づけを進めておくことが大切です。また、暗くて視界が悪くなる場所は十分な照明を確保し、階段への手すりの設置、滑りやすい路面への滑り止めの設置なども転倒を防ぐ効果があります。東京の青梅労基署長は「すべる、つまずくなどは業種に関係なく起こる。不注意だったから、歳をとったからしかたがないではなく、労使ともに職場の問題について検討し改善を話し合うことが大切。自身の身体づくりに気を遣うとともに、さらなる転倒防止災害の取り組みをお願いしたい」と協力を呼びかけました。今後は冬にかけて積雪や凍結による転倒のリスクが高まる。積雪、凍結時に転倒する恐れのある箇所を事前に確認しておくほか、大雪や低温に関する気象状況を迅速に把握するとともに、警報や注意報が発令された際の対応マニュアルの作成、出張や作業計画の見直しなども進めておくことが重要としています。厚労省の推奨する転倒災害予防のためのチェックリストの活用を示し、職場環境や作業行動を確認したうえで問題個所を改善に努めて下さい。

転倒災害予防のためのチェックリスト(厚生労働省)

「ポケ手ナシ+」の歩行定着へ

セルフチェックで意識向上

転倒防止の意識を高めるために企業が展開している活動や転倒リスク低減につながった改善例の紹介です。意識向上策のひとつが「ポケ手なし+(プラス)」活動になります。

ポ「ポケットに手を入れて歩行しない」

ケ「携帯を操作しながら歩行しない」

手「手すりを持って階段昇降する」

な「斜め横断しない」

し「指差呼称の励行」

+(プラス)「歩行中のイヤホン禁止」

以上の歩行するルールを周知徹底し、不注意を原因とする転倒や接触災害の防止につなげる活動で、構内への掲示や階段の蹴上部分への啓蒙コメントの貼り付けなどによって定着を図っていったようです。また、定着状況を定量的に評価する目的で自己評価表も作成しました。例えば、「ポケットに手を入れて歩行しない」では、(何があろうとポケットに手を入れない 5点)(工場内では守るが通勤時はポケットに手を入れて歩いてしまう事がある 4点)(寒い時につい手をポケットに入れて歩いてしまう 3点)といったように評価点をつけて自身で順守状況をチェックできます。

今回のまとめ

安全意識の向上などにより減少傾向にあった労働災害ですが、近年の従業員の高齢化などにより、下げ止まりから上昇に転じています。会社として危険な階段に手すりを付けたり、暗くて危険なところには人感センサーを設置するなどして、転倒事故が発生する危険性を下げる努力も必要となりそうです。また、経営者や社長夫人や役員などの労災の適用外の経営陣が転倒事故により、重傷を負うケースも経営陣の高齢化の影響もあり増加しています。労災適用外の役員のお怪我に対して経営者保険などで備えることも非常に重要なことです。経営者保険や労災上乗せ保険などについて気になる方は是非、お問い合わせください。

 

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