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従業員同士のトラブルで会社に責任はあるのか?

従業員同士のトラブルで会社に責任はあるのか?

職場で社員同時のパワハラやセクハラなどのハラスメントが発生したり、従業員同士のケンカやいじめ等があった場合には会社に責任はあるのでしょうか?個別の事案によって責任の所在は変わりますが、会社の責任が問われるケースが増加しています。近年では「良好な職場環境を調整する義務」「労働者が安全に勤務できるように配慮する義務」が使用者である会社にあり、その義務に違反があったとして会社が債務不履行責任として損害賠償責任を問われる事案も増えてきています。今回は、従業員同士のトラブルについて考えてみましょう。

【目次】

1.アニキに触れられる男性社員がセクハラで退職?

2.従業員同士のケンカで会社に責任はおよぶのか

3.今回のまとめ

 

アニキに触られる男性社員がセクハラで退職?

新人営業マンAさんが退職を申し出てきました。Aさんによると「先輩のBさんが毎日『おはよう』と言ってお尻を触ってきます。時には揉まれることもありました。『やめて下さい』と言っても『男同士だろ、水臭い』と意に介しません。ことあるごとにイスを近づけ、顔も10センチぐらいまで近づけて肩や背中を触ってきます。『男同士、飲みに行こう』と何度断っても誘ってきます。もう限界です、退職したいです」とのことでした。Bさんは体育会系の熱血漢で営業成績も抜群、将来を期待されています。どのように対応すればよいでしょうか。

・社労士の見解

平成18年の男女雇用機会均等法の改正により、男性から男性への行為もセクハラの対象となりました。B氏の行為は環境型セクハラに該当します。環境型セクハラとは「労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること」と労務局の指針で定義しています。

・B氏を懲戒解雇処分とするべきか

B氏に今までセクハラを直接注意指導したことはないようですので、いきなりの懲戒解雇処分は難しいです。解雇を有効にした裁判例の多くが注意を受けても反省せず、態度をあらためなかったことを理由にしています。けん責処分にとどめ、配置転換によってB氏をA氏から遠ざけるのが良いでしょう。また、環境型セクハラとして「俺の酒が飲めないのか」「情けない。男だろ」「いい年だし結婚しろよ」「女も口説けなくて営業マンが務まるわけないよ」等の発言、宴会での裸踊りなどの強要も当てはまります。会社もセクハラやパワハラの教育をしっかり行い、対策をしておかないと「良好な職場環境を調整する義務」の違反となり、ハラスメントの被害者より損害賠償責任に問われてしまう可能性があります。

従業員同士のケンカで会社に責任はおよぶのか

タクシー運転手Aさんとタクシー配車係Bさんが殴り合いの大ゲンカをしてしまいました。タクシー運転手Aさんが「配車主任の態度が生意気だ」と配車主任C氏を激しい剣幕で怒鳴り散らしていたのです。見るに見かねたBさんがAさんをいさめました、それでもAさんが怒鳴るのを止めないため、BさんがAさんを事務所外に連れ出そうとしました。すると今度は、AさんがBさんの胸ぐらをつかんで「若造が何調子に乗っているんだ。俺は元やくざだぞ」とすごみました。そしてAさんがBさんに突然、殴りかかりました。しかしBさんはさっとかわしてカンターパンチをAさんにくらわしました。Aさんは威勢むなしく、あっけなくノックアウトしてしまいました。ところが事件はこれで終わらず、数日後、Aさんが「弁護士に相談したら、Bの暴行について会社も責任を負うと聞いた」などと言って会社に100万円の慰謝料を請求してきたのです。Aさんの慰謝料請求に応じなければならないのでしょうか。

社労士の見解

今回のケンカは突発的なケンカであり、B氏の暴行は会社にとって予見可能性の範囲外です。仮にA氏とB氏が顔を合わせれば暴力沙汰になりそうな険悪な状況があれば、会社は今回の暴行を予見できたわけですから、両者の接触を避けるような人員配置を行う必要があったと考えられます。安全配慮義務は、物的施設及び人的組織の管理に関する義務であって、目の前でケンカが行われている場合に、使用者がどう対処すべきかという問題は安全配慮義務の範疇外です。A氏の請求が認められる可能性は低いと思われるので、会社は毅然とした態度で対応することが望ましいです。ただし、会社の業務内容をめぐり社員間で紛争が続いている場合など険悪な状態を放置した場合は、配置転換や業務内容の見直しなどの対処を怠っていたことが明確になります。その場合は会社が安全配慮義務違反で責任を問われる可能性がありますので注意が必要です。

今回のまとめ

パワハラ、セクハラ、いじめ、ケンカなど人が多く集まる職場では、人間関係のトラブルは多かれ少なかれどうしても発生してしまいます。その際に、会社が予見可能で大きな問題に発生するのか否かを事前に察知していたのか、察知した上でどのような対処をとったのかが重要になってきます。会社としては、従業員の人間関係や普段の様子などをしっかりと確認し、従業員が問題なく働ける、良好な職場環境を提供する義務があることを忘れてはなりません。また、万が一の雇用トラブルに対して専門の保険もございますので、気になる方はお問い合わせください。

 

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