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新型コロナでの労災認定基準

新型コロナでの労災認定基準

ウイズコロナの時代となり、社会生活を止めずにコロナとともに生きていくことが求められている現状において、コロナに罹患した際の補償に関しては気になるところかと思います。現状では、職場で感染した場合でも感染経路を特定することは困難であるため労災を申請せずに有給か傷病手当金を申請するケースが多いようですが、実は厚生労働省では新型コロナでの労災の認定基準を設けています。今回は、新型コロナウイルス感染症についての労災認定基準と実際の事例について触れていきたいと思います。

【目次】

1.厚生労働省による労災認定基準の2つの通達

2.送迎バスの運転手がコロナに感染

3.今回のまとめ

 

1.厚生労働省による労災認定基準の2つの通達

新型コロナウイルス感染症については、従来からの業務起因性の考え方に基づき、厚生労働省から出された労災の認定基準の2つの通達を参考にしています

・1つ目の通達(令和2年2月3日通達)

「一般に、細菌、ウイルス等の病原体の感染を原因とした疾患に係る業務上外の判断については、個別の事案ごとに感染経路、業務または通勤との関連性等の実情を踏まえ、業務または通勤に起因して発病したと認められる場合には労災給付の対象となる」一般の従業員が感染した場合は、個別の事案ごとに感染経路、業務との関連性など実情を踏まえて業務に起因して発症した(業務起因性)と認められる場合には労災保険給付の対象となります。

・2つ目の通達(令和2年4月28日通達)

「患者の診療若しくは看護の業務または介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き原則として労災給付の対象となる」つまり医療従事者は、業務外での感染経路が明らかである場合を除き労災給付の対象となります。また、医療従事者以外である従業員で感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境での業務に従事していた者が感染した場合は、業務により感染した可能性が高く、業務に起因したか否かを個々の事案ごとに即して判断するとしています。また、判断材料として下記の(ア)と(イ)の労働環境下では感染の可能性が高いと考えられます。

複数の感染者が「確認された環境下での業務

例えば、利用者が感染している施設などでの業務等です

顧客などとの近接や接触の機会が多い労働環境下での業務

小売業の販売業務、例えばスーパーマーケットやデパートなど比較的規模の大きい小売店だけでなく、中小規模のあらゆる小売店や飲食店などで働く労働者も対象となります。その他に、バス・タクシーなどの運送業務、育児サービス業務などが想定されています。業務上と考えられる例としては、接客などの対人業務でコロナの感染者などと濃厚接触し業務以外に感染者などとの接触や感染機会が認められず発症した場合などです。また、業務外と考えられる例は、業務以外の私的行為中に感染者と接触したことが明らかで業務では感染者などとの接触や感染機会が認められず発症した例などが示されています。

2.送迎バスの運転手がコロナに感染

医療従事者以外の従業員であっても感染経路が特定されているものについても、感染源が業務に起因していることが明らかと認められる場合には、労災の給付対象となります。今回は実際の給付事例にて確認していきたいと思います。

・災害のあらまし

製造業において送迎業務に従事する運転手X(64歳)がコロナに感染した

判断

送迎バスに乗っていた複数の従業員の感染が発覚したため、業務上の災害と判断された

・解説

送迎バスの運転手をしているXは、コロナに感染した製造会社従業員を送迎し、同時に本人を含めて2人以上の感染者が確認されており、前述した下記の

複数の感染者が確認された労働環境下での業務

顧客などとの近接や接触の機会が多い労働環境下での業務

に該当するとみられるため労災保険認定が受けられたと考えられます。

令和4年7月31日現在、労災の請求件数の累計は60033人(令和元年1月~令和4年7月まで)となっており、その中で支給が決定されたのは46069人となっております。一方、新型コロナの国内感染者数の累計は、1800万人を超えています(2022年8月末)。感染者数に対して労災の申請件数が少ないように感じますが、学生や働いてない人に加えて、軽症の方も多く、感染経路の特定も困難で手続きも煩雑なため労災を申請せずに傷病手当金や有休休暇などで対応する企業が多いようです。

3.今回のまとめ

新型コロナの労災申請に関して、事業主が助力をしなければならないことが労働者災害補償保険法施行規則で定められており、具体的には療養補償や休業補償の給付請求書などの作成において被災した従業員から助力を求められた場合には応じなければなりません。また、軽症の場合は労災認定を求められるケースは少ないと思いますが、従業員が新型コロナに感染し、感染源が業務中であると疑われ、さらに長期の入院や後遺障害を負ってしまった場合などは労災申請を求められるケースも出てくるとおもいます。業務中に感染したことが確定した場合には、使用者責任なども問われる可能性がありますので正しい内容を理解しておく必要があると思います。

 

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