お知らせ・コラム
はしごや脚立を使用する事による労災を防ぎましょう
建設業の皆様で作業をする際、日常ではしごや脚立、踏台や作業台を使用される方は多いですが、あまりにも身近な用具であるために、墜落や転落の危険をそれほど感じずに使用している場合が多いのではないでしょうか。過去の労働災害事例を見てみますと骨折などの重篤な災害が多数発生し、負傷の箇所によっては死亡にいたる災害も少なくはありません。今回は安全を確保したうえでのはしごや脚立を適切に使用する方法について取り上げます。
【目次】
1.はしごを使用することによる労働災害は墜落・転落災害の原因で最も多い要因です
2.はしごや脚立を適切に使用するための3つのポイントとは
3.今回のまとめ
はしごを使用することによる労働災害は墜落・転落災害の原因で最も多い要因です
はしごや脚立、作業台などに関する災害は墜落・転落災害のうちの原因で最も多いというデータがあります。平成23年~平成27年の5年平均のデータをみますと
合計20186人の墜落・転落事故のうち(休業4日以上の被災労働者数)
はしご等 4535人 (約23%)
トラック 4471人
階段、浅橋 2910人
その他 8270人
はしご等による被災労働者がとても多く感じます。
また、毎年30人弱の労働者が「はしご等」からの墜落・転落によりなくなっているデータもあります。
平成23年 27人
平成24年 27人
平成25年 35人
平成26年 27人
平成27年 26人
そして、傷病別のデータを見ますと骨折が全体の3分の2を占めており、重篤な災害につながりやすいことがわかります。※厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署データ
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/170322-1.pdf
【典型的な災害発生原因とワンポイント対策例とは】
はしご部門
①はしごの上でバランスを崩す
【事例】
はしごから身を乗り出して作業したところ、バランスを崩して墜落した。
【ワンポイント対策例】
はしごでの作業を選択する前により安全な代替策を検討する。
②はしごが転位する
【事例】
はしごを使って降りようとしたところ、はしご脚部下端のすべり止めがはがれており、はしごが滑ってそのまま墜落した。
【ワンポイント対策例】
はしごの上端または下端をしっかり固定する。また、すべり止め箇所の点検を怠らない。
③はしごの昇降時に手足が滑る
【事例】
はしごが水で濡れていたため、足元が滑って墜落した。(耐滑性の低い靴を使用)
【ワンポイント対策例】
踏み面に滑り止めシールを貼る。耐滑性の高い靴(と手袋)を使用する。
脚立部門
①脚立の天板に乗りバランスを崩す
【事例】
脚立の天板に乗って作業したところ、バランスを崩して背中から墜落した。
【ワンポイント対策例】
天板での作業は簡単にバランスを崩しやすいので禁止。より安全な代替策を検討する。
②脚立にまたがってバランスを崩す
【事例】
脚立をまたいで乗った状態で蛍光灯の交換作業をしていたところ、バランスを崩し階段に墜落した。
【ワンポイント対策例】
作業前に周りに危険個所がないか確認し、安全な作業方法を考えること。なお、脚立にまたがっての作業は一旦バランスが崩れたら身体を戻すのが非常に難しい。脚立の片側を使って作業すると、3点支持がとりやすい。
③荷物を持ちながらバランスを崩す
【事例】
手に荷物を持って脚立を降りようとしたところ、足元がよろけて背中から墜落した。
【ワンポイント対策例】
身体のバランスをしっかり保持するよう、昇降時は荷物を手に持たず3点支持を守る。
※3点支持とは通常、両手、両足の4点のうち3点により身体を支えることを指すが、身体の重心を脚立にあずける場合も、両足と併せて3点支持になる。
以上の要因と対策をしっかり把握していきましょう。
はしごや脚立を適切に使用するための3つのポイントとは
安全を確保したうえで、はしごや脚立を適切に使用するために3つのポイントがあります。
ポイント①
はしごや脚立に関する災害発生原因の特徴を踏まえた安全対策をとり、想定される危険を常に予知しながら、はしごや脚立を使用しましょう。
ポイント②
はしごや脚立は、足元が不安定になりやすく危険です。まず、代わりとなる床面の広いローリングタワー(移動式足場)や作業台などの使用を検討しましょう。
ポイント③
はしごや脚立を使用する際は、高さ1メートル未満の場所での作業であっても墜落時保護用のヘルメットを着用して、頭部の負傷を防ぎましょう。
以上の3つのポイントをおさえましょう。また「労働安全衛生規則」で定められた事項もチェックです。
移動はしご(安衛則第527条)
①丈夫な構造
②材料は著しい損傷、腐食等がない
③幅は30㎝以上
④すべり止め措置の取付その他転位を防止するための必要な措置
脚立(安衛則第528条)
①丈夫な構造
②材料は著しい損傷、腐食等がない
③脚と水平面との角度を75度以下とし、折りたたみ式のものは、角度を確実に保つための金具等を備える
④踏み面は作業を安全に行うため必要な面積を有する
以上です。
今回のまとめ
今回ははしごや脚立などによる墜落・転落の労災事故をふせぐためのポイントをご紹介しました。従業員様や下請け、一人親方が労災となってしまった際に、政府労災はもちろん民間の労災の上乗せ保険が必要となってきます。骨折や重篤な災害が起きた時にきちんと対処が出来るようご準備されることをお勧めします。
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