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パワハラの裁判例と高額な労災訴訟

パワハラの裁判例と高額な労災訴訟

企業経営には思いがけないトラブルが発生してしまいます。その中でも雇用トラブルや労災トラブルなどは問題が発生してから解決するまでに相当な時間や労力がかかり、さらに労災訴訟などに発展した場合には莫大な賠償金を請求される可能性もあります。うつ病や長時間労働による過労、病気労災、社内のハラスメントなど経営者が気を付けなければならない問題は多く、それらの問題は複雑に絡み合っています。今回はパワハラによる雇用トラブルと労災訴訟に発展した事案などのご紹介をしていきたいと思います。

【目次】

1.パワハラによる雇用トラブルの裁判例

2.パワハラ自殺で高額な損害賠償

3.今回のまとめ

 

パワハラによる雇用トラブルの裁判例

1.身体的攻撃によるパワハラ裁判例(東京高判平成18年3月8日)

「上司Aは、部下Bの接客中の笑顔が不十分であるとして、会話練習を受けるよう指示した。そしてポスターを丸めて紙筒状にしたものを使って部下Bの頭部をおよそ30回殴打した。その後クリップボードで部下の頭部をおよそ20回殴打した」

裁判所は上司Aの行為について教育的目的があったとはいえ、違法性がないとは認められないとして20万円の支払いを命じました。

2.精神的攻撃によるパワハラ裁判例(東京高判平成17年4月20日)

部下Xは担当案件の処理状況が芳しくなく上司であるAは、同じ課の従業員数十名に対して(部下Xも含まれる)以下のようなメールを赤文字で送った

「意欲がない、やる気がないなら、会社を辞めるべきだと思います。(中略)あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。あなたの仕事なら業務課でも数倍の業績を挙げますよ。(中略)これ以上、当サービスセンターに迷惑をかけないでください」

裁判所は上司Aの言動は、まったく的外れ指摘とも言えないが、退職勧告とも会社にとって不必要な人間であるとも受け止められる恐れのある表現が盛り込まれている。侮辱的な言動の記載もあり、送信の目的が業務上のこととはいえ許容限度を超え、著しく相当性を欠くものであるとした。上司Aの不法行為責任を認定し100万円の損害賠償請求に対し5万円を認容した。

3.過大な要求によるパワハラ裁判例(津地裁平成21年2月19日)

新入社員Xの勤務場所は所長が今まで経験した中で最も過酷な工事現場であった。新入社員で一から仕事を覚えなければならなかったXの勤務は非常に過酷で、毎日の帰宅が夜12時以降であった。さらに土曜日はほとんど出勤しており日曜日も出勤する場合があった。上司Aは「こんなことも分からないのか!」と叱責し物を投げつけたり、蹴り飛ばしたりした。

→裁判所は、職場内の人権侵害が生じないように配慮する義務としての安全配慮義務に違反しているとして慰謝料150万円の支払いを命じた。

4.人間関係からの切り離しによるパワハラ裁判例(神戸地判平成6年11月4日)

Y社は従業員Aに配置転換を打診したが、Aはこれを拒否した。Aの上司Zは、「今日から仕事はすべてBさんにやってもらう」と告げ、Aに従来通りの仕事を与えなかった。上司Zは他の男性従業員に「Aさんに仕事を持っていくな」と言ってAに仕事を頼むことを禁じた。上司Zは事あるごとに「会社のノートを使うな」「みんな仕事をしているのだからトイレ以外はウロウロするな」と繰り返し嫌味をいい、Aの電話を取り外し、Aの席と他の従業員の席との間にキャビネットをおいてAを隔離した。

→裁判所は、上司Aの行為は配置転換に応じないAに精神的苦痛を与えることを目的とした措置であり、説得の域を逸脱した社会通念上許容し難いものであるとして、慰謝料の60万円の支払いを命じました。

パワハラ自殺で高額な損害賠償

・パワハラ、暴行等と自殺との間に因果関係が有りとして高額の損害賠償(名古屋地裁平成26年)

金属のほうろう加工業を営む会社(被告)の従業員(死亡当時52歳男性)が会社役員2名から日常的な暴行やパワーハラスメント、退職勧奨等を受けたことが原因で自殺したとして当該従業員の遺族である妻子が会社および会社役員2名に対し、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条、715条、会社法350条)

→判決

会社役員1名によるパワハラ・暴行・退職強要等の不法行為と従業員の死亡との間に相当因果関係があったことを認め、被告会社及び会社役員1名に対し、合計5400万円余りの損害賠償を命じた。

☆パワハラや長時間労働による自殺は高額訴訟に発展するケースが多く発生しています。

2021年10月には、大手自動車メーカーの男性の自殺がめぐって当時の上司のパワーハラスメントが原因だったとして労災認定が認められ、被害者の妻子が自動車メーカーに対して約1憶2000万円の損害賠償を求めています。

今回のまとめ

雇用トラブルの事例でご紹介したように紙筒でたたいたり、嫌味なメールを送ったり、期待して過度な要求をした等でもパワハラとなる可能性があります。経営者だけでなく、中間管理職やベテランの社員さんなどと一緒に意識改革を行っていく事により、職場環境を整えてハラスメントやいじめ・嫌がらせのない職場にしていく事が重要かと思います。

また雇用トラブルや労災訴訟に備える保険もございますので気になる方はお問合せ下さい。

 

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