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仕事と介護の両立はできる?企業にできることとは
もし、社員から「両親の介護が必要になったので、仕事を続けられないかもしれない」と相談されたら、どうしますか?今、介護による社員の離職が社会問題となっています。離職せざるを得ない従業員本人はもちろんのこと、会社にとっても貴重な人材を失うことは損失となります。では、仕事と介護の両立支援において、会社がすべきことは何でしょうか?みていきましょう
【目次】
1.社員から相談があったら、まず伝えるべきこと
2.会社として把握しておきたい、介護に関する制度
3.今回のまとめ
社員から相談があったら、まず伝えるべきこと
「仕事と介護は両立できる」
会社が社員に対してすべき一番のアドバイスは「仕事を続けながらでも、介護との両立は可能」であること、そして「親の介護に専念するための休職や離職をしないで両立しよう」ということを伝えることです。社員から家族の介護について相談があったら、まずは介護を必要とする家族の居住地の地域包括支援センターに相談に行くようにすすめましょう。そのうえで、必要に応じて介護休業、介護休暇などをはじめとする会社の両立支援制度の利用について話し合っていくとよいでしょう。
会社として把握しておきたい、介護に関する支援制度
介護休業制度の概要(育児・介護休業法第2条、11条、12条、15条)
介護休業制度とは、社員が会社に申し出ることにより、要介護状態にある家族を介護するために、通算して93日間を限度として休業できる制度のことです。介護を行うのに93日間では短すぎると思いがちですが、自らが家族の介護を行うための休業ではなく、介護サービスを利用して仕事と両立するための準備を整えるための期間ととらえるとよいでしょう。介護休業は、1人の対象家族につき3回まで、通算93日を限度として、原則として社員が申し出た期間取得できます。
休暇等の支援制度
育児・介護休業法には、介護休業制度以外にも、介護を行う労働者に対し、休暇や労働時間の短縮などのさまざまな制度が定められています。
介護休暇(育児・介護休業法第16条の5、16条の6)
会社は社員に対し、1事業年度ごとに、対象となる要介護家族が1人の場合5営業日、2人以上の場合10営業日を上限として、要介護状態の家族の介護や世話をするための介護休暇を与える義務があります。これは前述の介護休業とは別枠です。
所定外労働の制限(育児・介護休業法第16条の9第1項)
会社は、要介護状態の家族を介護する社員から請求を受けた場合は、所定外労働をさせることができません。ただし、これによって事業の正常な運営を妨げる場合は認められる場合があります。
時間外労働の制限(育児・介護休業法第18条)
会社は、要介護状態の家族を介護する社員から請求を受けた場合は、1か月につき24時間、1年につき150時間を超えて時間外労働をさせることができません。ただし、これによって事業の正常な運営を妨げる場合は認められる場合があります。
深夜労働の制限(育児・介護休業法第20条)
会社は、要介護状態の家族を介護する社員から請求を受けた場合は、深夜業(午後10時から午前5時までの時間帯を指します)をさせることができません。ただし、これによって事業の正常な運営を妨げる場合には、深夜労働をさせることが認められる場合があります。
短時間勤務に関する措置(育児・介護休業法第23条)
会社は、家族を介護する社員について、連続する3年間以上の期間、短時間勤務に関する措置を講じなければなりません。また、短時間勤務に関する措置は、2回以上の利用ができる措置としなければなりません。また短時間勤務に関する措置というのは、具体的には以下のいずれかを指し、これらを組み合わせることによって、支援体制を整備していくことになります。
1.短時間勤務の制度
a 1日の所定労働時間を短縮する制度
b 週又は月の所定労働時間を短縮する制度
c 週又は月の所定労働日数を短縮する制度
d 労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める制度
2.フレックスタイム制度
3.1日の所定労働時間は変更しないまま、始業時刻または終業時刻を繰り上げまたは繰り下げる制度
以上の各種制度には、いろいろな制約条件があり、また条件によっては労使協定の締結が必要な場合もあります。
今回のまとめ
介護はいつ何をきっかけにして必要になるか、また必要な状況がいつまで続くのか予測が難しいため、介護をしなければいけない立場になった従業員は、誰にも言えず、1人で抱え込んだ結果、自分自身が精神的にも肉体的にも追い詰められることが少なくありません。 企業経営者や管理職の方々は、「働き方について配慮が必要な時はいつでも相談してほしい」と社内に周知し、日ごろから相談しやすい企業風土を作っておくことが大切です。
企業全体で「お互い様意識」を持つことで、介護と両立支援をはかり、企業、従業員双方ともに幸せになる方法をみつけていきたいですね。
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