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「過労死ライン改定後」新基準での労災認定とは

「過労死ライン改定後」新基準での労災認定とは

以前にもこちらのブログでも過労死ラインが20年ぶりに改訂された話題について触れましたが、この過労死ラインの改定を受けていったんは労災の認定基準を満たしてないとして労働基準監督署に退けられたものの、その後一転して労災認定された事案がニュースなどで取り上げられています。以前は残業時間の平均が80時間以上というものが過労死ラインと呼ばれ病気労災の認定の大きな目安となっておりましたが、新基準では残業時間の長さだけでなく業務と病気の発病との因果関係を総合的に判断するように改定されました。

今回は、大手居酒屋チェーンで起きた事案について触れていきたいと思います。

【目次】

1.労基署が判断見直す

2.病気労災と企業責任

3.今回のまとめ

 

労基署が判断見直す

大手居酒屋チェーンなどを運営する企業で調理師だった男(62歳)が、脳内出血になり後遺症が残ったとして労災認定を求めた事案になります。以前の過労死ラインでは、残業時間が80時間を超えてない事が重要視され労災認定を受けることが出来ませんでしたが、身体的負荷などの要因も含めて総合判断するよう2021年9月に改定された新基準に基づく判断で労災認定されました。

厚生労働省によると、労災を認めない決定が取り消され新基準で認められたのは全国で初めてとの事です。

・事案の概要

男性は2008年に調理師として採用され、2015年2月から千葉県柏市内の店舗で勤務。翌16年1月の勤務中に脳内出血を発症して救急搬送された。男性は同年3月に労災申請したが、柏労基署は残業時間が過労死ラインに満たないことから労災だと認めなかった。

しかし2021年9月の労災認定の改定を受けて、柏労基署は男性の残業時間の平均が直近2~6カ月では最大約75時間半だったとした上で、「改正認定基準により評価し直した結果、過重業務による負荷が認められる」と判断し、6年越しに労災を認めた。

柏労基署は男性側に「過労死ラインに近い残業時間に加えて、不規則な深夜勤務などの負荷を総合考慮した」と説明したようです。

・過労死ラインの改定の背景

改定前の過労死ラインは、労災認定の際、長時間労働が発症の原因といえるかを判断する目安は①直近1カ月で残業100時間、②直近2~6カ月で残業が平均80時間などとされるが、過酷な労働実態が反映されずに不認定となるケースが頻発していた。脳・心筋梗塞の労災認定率は近年低下傾向にあり、残業が月80時間未満で労災認定されたケースは20年度では認定された案件の1割にも満たなかった。

そこで厚生労働省は2021年9月、残業時間が過労死ラインに近ければ、休日のない連続勤務や深夜勤務の多さ、身体的負荷などを総合的に考慮し、労災を認定できると基準に明記した。この新基準で労災認定の件数が増えると期待されている。

病気労災と企業責任

企業の経営者や労務担当の方とお話すると、「うちはケガをするような業務は少ないので労災の心配はないですよ」というご意見を頂くことがあります。たしかに事務のお仕事がメイン業務ならば直接的なケガの心配は少ないと思います。しかし通勤途上や移動中の事故や業務中に地震・噴火・津波などに被災する可能性などは0ではありませんし、何よりうつ病などの精神疾患や業務や過重労働が原因で脳・心疾患を発病した場合には、業務上疾病として労災認定を受け、労災の給付を受ける事になります。国は過労死等の撲滅を目標に掲げており、労働基準や労働安全衛生に関する法令を事業主が遵守することが重要と考えております。

労働安全衛生法第3条1項では、事業主は職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならないと規定されています。

・安全配慮義務違反

上記で紹介した大手居酒屋チェーンの業務が原因で発病したと認められた脳梗塞についても労災認定を受けたので企業責任についても問われてきます。労働者の安全と健康を確保するという使用者の責任を果たせなかったとして、安全配慮義務違反として損害賠償請求を受ける可能性があります。労災認定をうけた元調理師の男性も包丁を使う際にまひの残る左手がじっとしていても指は勝手に動いてしまうなどと後遺症を訴えており、訴訟や裁判となれば慰謝料や逸失利益などを損害賠償請求する可能性があります。

・病気労災における労災認定と企業責任

9月に行われた過労死等判断基準の改定により、業務中に発病した脳梗塞や心疾患はもちろん、自宅で発病した脳梗塞や心疾患などに対しても今後、労災認定がおりるケースが増加してくる可能性があります。

労災認定がおりる事により、被災者は病院代や休業補償など労災給付を受ける事が出来る為かなりメリットがありますが、企業側は安全な職場を提供できなかったなどの安全配慮義務違反などの企業責任が問われてしまう危険性があります。

今回のまとめ

建設業や製造業などで危険な作業を伴う企業では、従業員様の万が一の労災に備えて労災上乗せ保険や使用者賠償保険などで企業責任が問われた際の備えを準備している企業様は多いと思います。今後、国が過労死、過労自殺の撲滅を掲げて様々な政策を行う中で、病気労災の認定も受けやすくなる可能性もありますのでケガの心配が少ない企業様でも労災の上乗せ保険や使用者賠償責任保険を検討する必要性が高まってきたと思います。

労災の上乗せ保険をご検討の際はぜひ株式会社保険ポイントまでご相談ください。弊社リスクコンサルタントがわかりやすく丁寧にご案内いたします。

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