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雇用トラブルが増加中!!保険で備えることは可能なのか

雇用トラブルが増加中!!保険で備えることは可能なのか

近年、雇用トラブルで会社が訴えられてしまうケースが増加傾向にあります。その要因の一つとして労働者が雇用主に対して声を上げやすい環境が整ってきたからです。厚生労働省には総合労働相談コーナーがあり、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる分野の労働問題を対象としています。さらに簡易・迅速な話合いによる解決を目的として第三者が間に入る、あっせんや調停を都道府県労働局で行い、解決が出来ない時は簡易裁判所で和解や判決を目指します。労働者側にとっては無料で相談でき、簡易裁判でも数万円で裁判を起こせます。また以前に比べて手続きも簡便になっているので訴えやすくなった模様です。

今回は実際に発生したトラブルをご紹介しながら、同時に備えについても触れていきたいと思います。

【目次】

1.売場で問題行動を起こす社員を解雇しトラブルに発展

2.雇用に関する保険の備えについて

3.今回のまとめ

 

売場で問題行動を起こす社員を解雇しトラブルに発展

ビックカメラ事件(令和元年8月1日 東京地裁) 出典 労働判例集 労働新聞社より

売場で問題行動を繰り返す販売員に対し、3度の懲戒処分をしたが改善がみられず解雇した事案。従業員は精神疾患に休業措置が取られず解雇無効と訴えた。東京地裁は、会社は精神科の受診と通院加療を命じるなど配慮したが本人は通院を怠ったことから、休業措置を講じなくても解雇権濫用とは言えないと判断。他の売り場でも就業に適する状態にはならないと判断した

 

・事件の概要

販売員Aは雇用契約を結び勤務していたが、平成26年頃から問題行動をとるようになり、会社は店舗と本部で相談をしながら注意・指導を重ねていた。会社は販売員Aの不適切な言動が精神疾患によるものだと考え、産業医との面談を実施し、専門医の受診を命じるなどしたところ、適応障害、心身症、反応性うつ病等の診断がなされた。しかし販売員Aは継続的な通院を行わず、無断で早退や長時間職場を離脱する、トイレに行くと告げて食堂で寝る、上司に対して侮辱的な内容のメールを送信する、業務における手続き上のミスをする、インカムを用いて不適切な発言を行うなど問題が多発していた。

会社は、平成27年8月に譴責(ケンセキ※始末書を提出させ厳重注意)、同年10月に出勤停止7日間、平成28年3月に降格(降給)の懲戒処分を行い、再三の注意・指導、3回にわたる懲戒処分にも関わらず改善がないとして同年の4月に販売員Aを解雇した。

・販売員Aが提訴

販売員Aはトイレに行くことに関する言動に関しては会社に不適切な対応があったとし、また配置転換や休業命令等の措置を採らなかったこと等を指摘して本件解雇は無効として提訴した。

・判決のポイント

①勤務遂行能力・勤務状況

無断の早退や売り場を離れること、不適切な発言、上司に対して侮辱的内容の発言やメール、禁止されている行動を繰り返していることなどを考えると業務遂行能力や勤務状況は著しく不良であったといえる。

②解雇前に配置転換をしなかった点

指導や懲戒処分を受けた後も不適切な言動を繰り返していたので、勤務状況について改善や向上は期待できず、他の売り場に配置転換したとしても状況の改善が望めないのは明白である

③休業命令の措置を採らなかった点

販売員Aに対して産業医と面談を行い、精神科医を受診させたほか、社員就業規則に基づき精神科医への受診及び通院加療を命じるなどしており、会社として考慮したと伺える。通常、休業に関しては、医師の診断書が必要であるが販売員Aは通院を途中でやめ診断書等の提出も行っていない。休業命令等の措置が採れる状況では無かったと考えられる。

結論

本件解雇は、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当と認められ、有効である。解雇権濫用にはあたらない。

雇用に関する保険の備えについて

・問題行動への対応

上記の事例のように、客観的にも合理的な理由がある場合でもいきなり解雇を言い渡してしまうと解雇権濫用と指摘される可能性があります。職場での問題行動についてはまずは、日常的な注意・指導をしてその記録を残し書面で改善事項を示すなどして改善を促します。改善されない場合は、譴責等の軽めの懲戒処分から始めて改善がない場合は、徐々に処分を重くするなどしながら懲戒処分を2,3度繰り返します。このままでは雇用は維持できない旨の警告をして自覚を促したうえで、それでも改善がみられない場合には、解雇を検討することになります。

一つひとつの行動が悪質・重大でない限りいきなり懲戒解雇は重すぎるので勤務状況不良、能力・適正の欠如などを理由として普通解雇を選択する事が適切だと考えられます。

・保険での備えについて

雇用慣行賠償保険と呼ばれる保険があり、各種ハラスメント、不当解雇、雇用契約に関する違反行為などに対して、従業員側から弁護士や労働組合(ユニオン)、司法書士などを通じて損害賠償請求を受けた時に備える事が出来ます。

争訟費用、慰謝料など損害賠償リスクを補償する保険ですが、保険会社により補償内容等もことなる為、詳しい内容に関しては、パンフレット等で確認する必要があります。

今回のまとめ

問題行動を起こす社員についての対応は非常に難しいと思います。今回、取り上げた販売員のような勤務態度ですと他の社員にも悪影響なので当然、毅然とした対応をとる必要があります。また近年では他の従業員に対してパワハラを行う社員の問題も増加しております。

問題社員に対して、いきなり解雇を行うと解雇権濫用で訴えられたときに負けてしまう可能性もあるので社労士や弁護士等に相談しながら適切に対応していく必要がありそうです。

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