お知らせ・コラム
最低賃金1000円を目指す~新しい資本主義実現会議~
政府の新しい資本主義実現会議(議長・岸田文雄内閣総理大臣)はこのほど「緊急提言」をまとめ、最低賃金については、地域間格差にも配慮しながらより早期に全国加重平均1000円をめざし、賃上げに積極的な企業への税制措置を行うなど賃上げに積極的な姿勢を採っています。今後の企業経営においても新しい資本主義実現会議の方針が影響を与えてくると思いますのでまずは新しい資本主義実現会議の趣旨や取り組みなどについて大まかな流れをつかんでおきましょう。
【目次】
1.新しい資本主義の起動に向けた考え方
2.賃上げと非正規雇用への分配
3.今回のまとめ
新しい資本主義の起動に向けた考え方
政府は「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現していくため、内閣に新しい資本主義実現本部を設置した。
現在、世界各国において持続可能性や「人」を重視し新たな投資や成長につながる、新しい資本主義の構築を目指す動きが進んでおり我が国がこの動きを先導することを目指します。
具体的には1980年代以降、短期の株主価値重視の傾向が強まり、中間層の伸び悩みや格差の拡大、下請け企業へのしわ寄せ、自然環境への悪影響が生じていることを踏まえて、政府、民間企業、大学等、地域社会、国民・生活者がそれぞれの役割を果たしながら格差の是正を図る。
民間企業においては長期的な視点に立って「三方よし」の経営を行うことで現場で働く従業員や下請け企業も含めて広く関係者の幸せにつながる長期的に持続可能な資本主義を構築していく必要がある。全てを市場に任せるのではなく、官民が連携し新しい時代の経済を創る必要がある。(原文の抜粋)
官と民が協力して新しい産業などに力を入れて長期的な企業価値を高めて、地方の中堅・中小企業や下請け企業など幅広い産業や企業の生産性を向上させ豊かな中間層を生み出していく事を目指しているようです。また、非正規雇用への分配強化策の一環としてフリーランス保護法制度の提案や最低賃金の全国加重平均1000円の早期実現を目指す模様です。
・成長戦略
デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進、キャッシュレス利用環境の整備、再生可能エネルギーの導入拡大、蓄電池の国内生産、水素ステーション・充電設備の整備、電動車の促進と事業再構築、2050年のカーボンニュートラルの実現、ライフサイエンス分野の強化、既設住宅・建築物を含めた省エネ性能の向上や木造建築物の促進による住宅・建築分野の脱炭素化、クリーンエネルギー戦略の策定、いわゆる6G(ビヨンド5G)の推進など
上記に羅列したものは、成長戦略のほんの一部になります。ガンやコロナなどの生命や健康に関する内容から最先端の情報処理、脱炭素社会に向けた戦略など企業活動のみならず日常生活にも大きな影響を与えそうです。
また、製造業や建設業、運送業をはじめ多くの企業に関係する戦略も多く、補助金や減税などの税制措置の特例なども同時に行われる可能性もありますので、今後の動向に注目しておく必要があります。
賃上げと非正規雇用への分配
・最低賃金の水準は早期に1000円に
政府は2019年の日本の労働分配率(付加価値に対する人件費の割合)は50・1%でありアメリカ(52.8%)やドイツ(52.3%)などに比べて低い水準にある。成長と分配の好循環を実現するための鍵は賃上げであると明言した。
賃上げに積極的な企業への税制措置について
・新規雇用者では無く「継続雇用者」の一人当たり給与の増加を要件とする
・非正規雇用を含めて全雇用者の給与総額の増加を対象とする
・賃上げに積極的な企業に対する税額控除の率を引き上げる
など制度を抜本的に強化し来年度税制改正において結論を得る考えのようです。
最低賃金は生産性向上などに取り組む中小企業への支援強化、下請け取引の適正化、金融支援に一層取り組みつつ地域間格差にも配慮しながらより早期に全国加重平均1000円を目指す意向です。
・フリーランス保護法制定へ
非正規雇用への分配強化策の一環として、新たなフリーランス保護法制を提案。コロナ禍では、フリーランスの経済に大きな影響が生じた。フリーランスとして安心して働ける環境を整備するため事業者との間で契約や禁止行為の明確化などフリーランス保護のため新法を早期に国会に提出するとした。同時に公正取引委員会の執行体制を整備する。
また、フリーランスが労災保険に加入できるよう労災保険の特別加入の対象拡大を図る。
今回のまとめ
戦後の復興から高度経済成長、バブル景気、バブル崩壊、失われた20年など数々の局面を経験してきた日本経済にとって現在もまた大きな局面を迎えているのかもしれません。終身雇用や年功序列も崩壊しつつあり、非正規雇用やフリーランスとして働く方が増加するなど雇用も大きく変わり、産業も今までは家電産業や自動車産業などが日本経済を牽引してきましたが、新たな産業が生まれてくる必要があると思います。
社会が大きく変わる時にはチャンスも生まれてきますが、同時に新たなリスクも生まれてきます。今後も保険商品を通じて企業活動のリスクに備えるお手伝いが出来ればと思っております。
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