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今更聞けない?労災保険のあれこれにお答えします
仕事中の病気やケガをしたときに利用する労災保険。企業において当たり前のように加入されていますが、いざという時本当に使えるの?対象者は?請求方法は?などなど、実際にその事態に直面しないとわからないことも多いかと思います。今回は、労災保険について改めておさらいしてみましょう。
【目次】
1.労災保険は、仕事中の病気やケガに対する備えです
2.請求、手続きの仕方について
3.今回のまとめ
労災保険は、仕事中の病気やケガに対する備えです
労災保険は、仕事中・通勤中の事故などが原因で、労働者が病気やケガをした場合に補償してくれる保険です。自分で選んで加入する生命保険や医療保険とは違って、会社が必ず加入しています。
【対象は業務や通勤中の病気やケガ】
労災保険がおりて保険金給付の対象となるのは、仕事中の病気やケガ、死亡(業務災害)と、通勤中の病気やケガ、死亡(通勤災害)です。対象とならないケースもあるので、詳しく見ていきましょう。
【対象となる場面、ならない場面】
■業務災害の場合
仕事中であること、仕事以外の行動をしているときは職場の設備・管理に原因があることがポイント
〇出張先での仕事中
△ランチ休憩中(会社の設備の不備が原因の場合などは◯)
✕会社内ではあるものの、業務と関係ない私用中
■通勤災害の場合
仕事のための通勤として合理的かどうかがポイント
〇渋滞を避けるための迂回中(普段使わない交通機関の利用を含む)
△会社に行く前後に選挙や病院へ行く途中(通勤ルートに戻った後なら◯)
✕会社帰りに映画館に行く途中
【労災は「無過失責任」】
労働災害の補償は、無過失責任という考え方がとられています。労災の対象となる病気やケガに関しては、会社側の落ち度(=過失)がなくても責任をとる、つまり保険金を給付するということです。「会社の責任ではなく社員の不注意」といった主張をして会社が労災申請に協力しないケース(いわゆる「労災隠し」)がありますが、この論理はそもそも成り立たちません。会社の協力が得られなくても、労働者が事情を記入して必要書類を提出することで、労災は申請することができます。
【対象になる人、ならない人】
無過失責任で認められている労災保険ですが、中には対象にならない人もいます。それは、どのような場合なのでしょうか。
■対象になる=全ての労働者
労災保険は雇用形態に関わらず、労働の対価として賃金を受け取る全ての人が対象となります。正社員か非正規雇用か、短期労働(パートやアルバイト、日雇いなど)かどうかなどといった雇用形態で対象外になることはありません。
■対象外=役員や事業主
労災保険は労働者を守るための制度であるため、代表取締役(事業主や社長と同一の場合がほとんど)、業務執行取締役、監査役は労災保険の対象になりません。ただし「取締役」とつく役職でも、先に挙げた3つ以外の人で労働者と同じ条件で働き、対価を得る場合は対象となります。
【労災保険の制度について】
労災保険は労働者が利用できる制度ですが、ケガなどで給付金を請求するとき以外、労働者が自分で手続きすることはありません。
■加入の義務は会社にある
1人でも労働者を雇っている会社は、労災保険に加入する義務があります。保険料は全額会社が負担し、労働者からは徴収されません。
■未加入の場合でも、労働者は労災保険を使える
会社が労災保険に加入していなかったとしても、労災があった場合は労災保険を使うことができます。会社の最寄りの労働基準監督署に確認し、必要な書類を提出しましょう。労働局から加入の指導をされていたにも関わらず未加入だった企業には、厳しい措置がなされます。それだけ労災は、労働者を守るうえで重要とされている制度なのです。
請求、手続きの仕方について
【労災保険給付手続きの流れ】
労災の保険給付を受けるためには、ケガや病気をした時、いつも通りに病院に行くのではなく、必要な書類を労働基準監督署長に提出する必要があります。労働災害により休業した場合には、「療養補償給付たる療養の給付請求書」に必要事項を記入・会社にも記入してもらったうえで、指定医療機関に提出します。
その後病院側が労働基準監督署に提出することで、労災での診断や治療は、費用の自己負担なく受けられます。
【健康保険証は使わないこと!】
労災による病気やケガで病院に行くときは、健康保険証は使わないようにしましょう。健康保険は仕事に関係のない病気やケガのための制度なので、労災では使えません。労災に関しては各地域に指定病院があります。指定病院以外で診察を受けた場合、一旦自己負担となるので注意しましょう。
■健康保険を使ってしまった場合の対処
労災が使えると知らずに、健康保険証を使って病院にかかってしまったときは、健康保険から支払われた治療費を返還した上で、労災請求の手続きを行いましょう。
①健康保険組合や協会けんぽなど、勤務先の健康保険を扱う機関へ問い合わせ、健康保険から給付された診療報酬の返還を行う。
②かかった費用を所定の様式の書類に記入、労基署に提出して請求
【相談先となるのは労働基準監督署】
労災が起きた場合、労災かどうかの判断を行うのも、書類の提出先となるのも労働基準監督署です。会社がスムーズに対応をしてくれることが最善ですが、会社の振る舞いに不安があったり、手続きが必要になったりしたときは労基署に確認しましょう。
今回のまとめ
いざという時頼もしい味方となる労災給付ですが、認定や給付までに時間がかかる、経営者や役員は原則として対象外などのデメリットもあります。そういった場合に備え労災の上乗せ保険に加入しておくことで、会社で働く全ての方に対するケガや病気へのスピーディーな対応、また法律上の損害賠償請求問題に発展した時の専門家への相談や賠償金の補償などに備えることができます。ご興味のある方はぜひお近くの代理店などでご相談してみてください。
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