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退職金制度を新設する際のメリットデメリットとは
会社の創業から数年が経過し、本業の商売も軌道に乗ってきた時に「退職金制度」の新設を検討される経営者も多いと思います。長年働いている従業員の退職時に報いてあげたいと考えることは自然な事だと思います。経営者の裁量でいくらか包んであげるという事もあるかもしれませんが、きちんと規定を整備して経費処理できる制度なども利用しながら退職金制度の導入を検討してみるのも良いかと思います。退職金や企業年金制度を新設する場合どのような点に注意する必要があるのか考えていきましょう。
【目次】
1.退職金規定のメリット・デメリットとは
2.退職金制度は無理なく続けていく事が重要
3.養老保険と中退共で退職金制度を準備する
4.今回のまとめ
退職金規定のメリット・デメリットとは
退職金・企業年金制度は法律上、設ける義務はありません。社員が10名程度の会社では、賃金規定を労働基準監督署に提出しても、退職金の有無は確認されません。一度退職金規定などを設けると将来に渡ってその制度を維持することが求められますので、退職金制度の導入に関してはメリットとデメリットを比べながら慎重に行わなければなりません。
①退職金規定のメリット
求人に有利
従業員の新規採用で「退職金なし」で好人材を逃がしている可能性があります。
「退職金なしというのはそろそろ採用活動において不利だな」と感じたら退職金制度を創設する良いタイミングかもしれません。
社員の士気があがる
退職金が有るのと無いのでは、働く従業員のやる気にも影響を与えてくると思います。退職金制度の導入により離職率も下がる効果が期待できます。
退職金は税制優遇される
給料として金銭を受けとる場合より退職金として金銭を受け取る場合の方が個人に掛かる所得税が安くなります。退職金は退職所得となるため、退職金の金額や勤続年数により退職所得控除の条件は変わりますが、所得控除の適用や課税所得が半分になる税制優遇を受けれる可能性があります。
②退職金制度のデメリット
ある日突然の廃止はできない
退職金制度のデメリットは何といっても一度導入したら廃止が出来ないという事です。たとえ業績が悪化し赤字の状態でも廃止するのは難しいです。廃止には相応の手順を踏む必要がありますが、手順を踏んだとしても労働条件の不利益変更として認められない可能性があります。
かならず支払う必要がある
会社の業績が苦しい時に逃げ出すように辞めた社員に退職金を払いたくないとしても、そのような理由での不支給は認められません
退職金制度の維持コスト
不利益変更は難しいので重荷にならないコストで退職金制度を維持する必要があります
退職金制度は無理なく続けていく事が重要
退職金制度をスタートするにあたり、「いつ制度をスタートするか」「どれくらい支払う制度にするか」「どの制度を選択するか」をまず決めないといけません。制度新設時の視点を参考にして考えてみて下さい。
4つの制度新設時の視点
1.続けられるかどうか
一度始めた退職金制度は簡単にやめることはできない
2.制度を育てるイメージ
無理なく始めて制度をステップアップさせ充実させていく
3.給付水準
最初は無理のない金額で設定し、積立や支払いができる水準から始める
4.導入のタイミング
社員の意気が上がるタイミングがあればそれを狙うのもあり「創業10年」の節目など
具体的な始め方としては、まずは退職一時金の規定を作るところからスタートし無理のないモデル水準としておくことが良いでしょう。いきなり1000万の退職金を設定する必要はないので数百万~500万くらいの規定でスタートすると良いでしょう。
養老保険と中退共で退職金制度を準備する
退職一時金の金額を役職や勤務年数などに応じて設定し、同時に退職金の原資を確保する必要があります。国の制度や民間の保険会社の保険を利用して貯めていくも出来ます。
中小企業退職金制度
国の制度として中小企業向けの振興と発展のために昭和34年に設立された制度になります。事業主が中退共本部と退職金共済契約を結び毎月の掛金を金融機関に納付します。
従業員が退職した時にその従業員に中退共本部から退職金が直接、支払われます。
一番のメリットは掛金が全額経費になる事と利回りがある事です。また積立の計画も立てやすいです。デメリットは、変な辞め方をした従業員に対しても中退共本部から直接退職金を支払いますので、会社が代わりに退職金を受け取る事などは出来ません。
養老保険で準備
養老保険は一定の条件のもと従業員全員を加入させ、福利厚生制度として導入すると支払い保険料の半額を経費に算入することができます。また、解約返戻金がある保険なので従業員の退職時期に合わせて計画的に解約返戻金の額を設定することにより、計画的に退職金を貯めることが出来ます。
当然保険なので死亡保険金などの補償も付いています。
養老保険のしくみ
契約者 保険料負担者は会社
被保険者 補償対象者は従業員
死亡保険金の受取人 従業員の法定相続人
解約返戻金の受取人 会社で受取が可能⇒退職金の原資に充てる予定
中退共も養老保険もどちらもメリットとデメリットがあるので、制度を利用する場合はよく理解した上で導入してください。
今回のまとめ
退職金制度は、一度導入すると辞められないことが一番の難点ではありますが同時に「退職金制度あり」となると人材確保に優位に働く事は間違いありません。
まずは、負担の少ない範囲で退職一時金制度を導入し役職や勤労年数に応じて100万から500万円の退職金給付を設定することから始めていき、会社が大きくなるにつれて退職金制度もバージョンアップしていく事が出来れば良いと思います。
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