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建設業、運送業の2024年問題

2019年から始まった働き方改革による労働基準法の改正によって、時間外労働の上限は月45時間、年360時間、臨時的な特別な事情がなければこれを超えることが出来ないと定められました。一方で建設業およびトラックドライバーについては、時間外労働の上限規制の適用が猶予されていました。2024年4月1日より建設業、運送業(トラックドライバー)に対しても時間外労働の上限が適用され、原則として月45時間、そして臨時的な特別な事情がなければこれを超えることは出来ないと定められました。違反した場合は「6カ月以下の懲役又は30万以下の罰金」の刑罰が定められています。今回は、すでに対応済みの企業さまも多いとは思いますが2024年問題について改めて触れていきたいと思います。
【目次】
1.建設業、運送業2024年問題の復習
2.時間外労働が原因での高額賠償リスク
3.今回のまとめとサポートツール
1.建設業、運送業の2024年問題の復習
1.建設業への労働時間の規制
【2024年3月31日まで】労働基準法に基づく時間外労働の上限規制なし
【2024年4月1日から】
■原則(一段目)
月45時間 年間360時間が上限となる
■法律による上限(二段目)
・時間外労働が年720時間
・時間外労働と休日労働が月100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計について「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」が全て1月あたり80時間以内
・時間外労働が月45時間を超えることが出来るのは年6カ月が限度
2.運送業トラックドライバー
【2024年3月31日まで】原則 労働基準法に基づく時間外労働の上限規制なし
【2024年4月1日から】
■原則 月45時間 年間360時間が上限規制となる
■法律による上限 特別条項付き36協定を締結する場合は年960時間が上限規制となる(休日労働は含まない)
時間外労働の上限規制に違反した場合の5つのリスク
【①】労働基準監督署による是正勧告
36協定、時間外労働の上限規制に違反した場合は労働基準監督署による是正勧告という行政指導が行われます
【②】刑事事件として「送検」
悪質なケースや労働者から刑事告訴がなされる場合、長時間労働が原因として過労死や過労自殺に至った場合には36協定、時間外労働の上限規制違反の刑事事件として「送検」されるリスクがあります
【③】ブラック企業のイメージ定着
送検の時点で記者クラブに情報公開される為、報道機関によって報道されることによりブラック企業の印象がつき有能な求職者の採用が難しくなるリスクがあります
【④】代表者、人事担当役員個人が刑に科される可能性
送検後、検察官の判断により起訴となった場合、代表取締役や人事担当役員個人が罰金刑などの刑に科されるリスクがあります
【⑤】指名停止処分
国土交通省の地方整備局や地方自治体から指名停止措置がなされるリスクがあります。
2.時間外労働が原因での疾病による高額賠償リスク
時間外労働の上限規制を守らず、長時間労働が原因で従業員がうつ病などになった場合、会社は従業員に対して安全配慮義務違反に基づく損害賠償義務を負う事になります。(労働契約法第5条違反)2020年4月1日の民法改正(法定利率が年5%から年3%へ変更)によって賠償金額は高額になりました。また、被災者の家族からの損害賠償請求も会社だけでなく会社の代表者や役員個人に対して行われる事もあります。
◎損害賠償の例
年収500万円の30歳の労働者(妻、子供あり)長時間労働が原因で自殺のケース
賠償金額 約1憶2248万円
慰謝料2800万円+逸失利益7758万円(500万×0,7×22.167)+弁護士費用約1056万円+遅延損害金634万円(年3割)
年収500万円の30歳の労働者(妻、子供あり) 後遺障害1級
賠償金額 約2億5097万円
慰謝料2800万円+逸失利益約1憶1084万円(500万×22.167)+将来介護費用約7640万円(8000円×365日×26.166)+弁護士費用約2152万円+遅延損害金約1421万円(年3割)
3.今回のまとめとサポートツール
今まで雇用トラブルや就業上のトラブルは民事事件として捉えられていましたが、今回の法律の改正により、違反した場合の「刑罰」が定められ、さらに悪質な場合は刑事事件として送検されるリスクもあります。損害保険の会社を中心に保険会社各社でも様々な情報提供のセミナーや資料を提供しております。特にAIG損害保険では労務時間管理チェックサービスが提供されており、以下の質問で一つでも「いいえ」にチェックが入った場合には無料でサポートツールを提供しておりますのでお問い合わせください。
- 2024年4月からの時間外労働の上限規制についてはご存知ですか?
- 自社の従業員の労働時間がどのくらいか現状を把握していますか?
- 2024年4月からの労務管理に不安を感じていませんか?
また、労災上乗せ保険や雇用トラブルの保険、高額な労災訴訟に備える使用者賠償保険など企業様をお守りする保険も多数ございますので、労務管理のサポートツールとともに、内容が気になる方はお気軽にご連絡下さい。
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