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食品業におけるリスクと対策

食品業におけるリスクと対策

食品衛生法及び食品表示法の一部改正(令和3年6月1日施行)により食品等の自主回収(リコール)を行った場合の届出が義務化され、食品表示リコール情報サイト(食品衛生申請等システム)の運用が開始されてから3年が経過しました。自主回収報告がなされた食品等の情報は、厚生労働省サイト内「食品リコール公開回収事案検索」や消費者庁「リコール情報サイト」でも確認できるようになっており、日々膨大な数の情報が追加されています。今回は食品リコールの傾向を確認するとともに、備えておきたいリスク対策についての情報を提供いたします。

【目次】

1. 食品等の自主回収(リコール)届出の義務化と届出状況

2. 食品業のリスク対策に落とし穴!?

3 .  今回のまとめ

 

食品等の自主回収(リコール)届出の義務化と届出状況

改正食品衛生法と改正食品表示法に基づき、食品等の自主回収(リコール)を行った場合、管轄の自治体へ届出することが令和3年6月1日から義務化されています。届出が義務付けられている自主回収は、大腸菌による汚染や硬質異物の混入等(食品衛生法違反または違反のおそれ)アレルゲンや消費期限等の安全性に関係する表示の欠落や誤り(食品表示法違反)となっており、オンライン上のシステムを使用して届出し、届出情報は国のシステムで一元的に管理され、公表されます。

≪自主回収を行った食品等のクラス分類≫

【CLASS Ⅰ】
  • 食品衛生法 喫食により重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る可能性が高い場合(腸管出血性大腸菌に汚染された生食用野菜など)
  • 食品表示法 喫食により直ちに消費者の生命又は身体に対する危害の発生の可能性が高いもの
【CLASS Ⅱ】
  • 食品衛生法 喫食により重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る可能性が低い場合(一般細菌数などの成分規格不適合の食品など)
  • 食品表示法 喫食により消費者の生命又は身体に対する危害の発生の可能性があるものであってCLASSⅠに分類されないもの
【CLASS Ⅲ】
  • 食品衛生法 喫食により健康被害の可能性がほとんど無い場合(添加物の使用基準違反など)

食品表示法に基づく自主回収の運用が開始された令和3年6月1日から令和6年3月末時点の届出状況をみてみると、公開件数4,841件のうち、CLASS Ⅰが2,901件で60%(健康被害あり73件)、CLASS Ⅱが1,940件で40%となっています。回収理由の殆んどは「食品表示法違反(4,118件)」であり、「食品表示違反のおそれ(469件)」「それ以外の違反(254件)」と続いています。業種別では販売業(スーパ-)における回収が全体の55%を占めていますが、回収理由が、アレルゲンに関するラベルの貼り間違いと期限表示のラベルの誤入力・入力洩れ、印字機の不具合が主な発生原因となっていること、調理食品のアレルゲン表示が最も多くなっていることからもリコールリスクの高い業種と言えるのかもしれません。

※厚生労働省サイト「食品リコ-ルリーフレット(事業者)」

消費者庁「食品表示法に基づく自主回収の届出状況」

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_recall/information/assets/food_labeling_cms203_240424_01.pdf

食品業のリスク対策に落とし穴!?

食品事業者の皆さまの多くは「PL保険」に加入されているのではないでしょうか。PL保険は、製造・販売する製品が原因で、他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりしたために、事業者が法律上の損害賠償責任を負った場合に被る損害を補償する保険です。リコール等によって企業が被る損害は補償されないため、リコール費用を補償する特約を付帯しておく必要がありますが、PL保険にリコール特約を付帯していたとしても補償されない場合がありますので確認しておきましょう。

【出荷前や事前に一部だけ引き渡した後に発生した事故】

例)製造・加工中に発覚した事故や出荷前の検査で発覚した

仕入れた商品を正式に出荷する前に一部でも引き渡した後に発覚した

【在庫や原材料等の原価費用や廃棄費用】

例)納品済みの商品だけでなく在庫や原材料等の原価費用・廃棄費用が発生した

【容器の中身の入れ間違い】

例)レモン味の飴を誤ってブドウ味の袋に入れてしまった

【輸出された商品の回収費用】

例)輸出した化粧品に予定外の香料が混入していることが判明し、輸出先から回収した

このような事故については、一般的なリコール特約では補償されません。加えて補償対象外となる検査結果が出た場合に検査費用や専門家への相談費用が補償されない、検査費用や専門家への相談費用が保険証券記載の支払限度額の内枠で補償され、検査費用や専門家への相談費用の支払いによって限度額が費消してしまう、といった落とし穴がないかどうかも確認しておく必要があります。保険を活用する際には、検査費用や専門家への相談費用が検査結果に関わらす補償されるだけでなく、限度額が費消することのない外枠払いとなっているプランがお勧めです。

※AIG損保「生産物品質補償ちらし」「リコール補償のご案内ちらし」より

今回のまとめ

飲食料品の製造や販売、飲食業では、一般的な商品・製品にはない特有のリスクが存在します。

第三者による異物混入事故
偶然な汚染事故
生産物の容器・包装および表示の瑕疵による事故
予防的措置としての行政指示による回収(補償の対象となる事故は生じていないものの行政機関から回収、販売停止または廃棄を行う旨の命令、指示または要請を受けた等)
根拠のない報道による回収(補償の対象となる事故が発生していないにもかかわらず、事故が発生したという事実と異なる報道や政府・行政機関の発表がされた等)
かび・腐敗等の発生(かび・腐敗等の発生防止を目的とする容器・包装に関するシール不良・ピンホール等の瑕疵、かび・腐敗等の発生防止を目的としてその生産物自体に使用を予定されていた防腐剤、脱酸素剤もしくはアルコール製剤等の封入漏れまたは添加漏れによるものに限る)
輸出生産物

PL保険やリコール特約で補償されないこのようなリスクにも対応可能なプランを取り扱っている保険会社もございます。気になる方はお近くの保険代理店までお気軽にご相談下さい。

 

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