お知らせ・コラム
通勤・通学途上の自転車事故と保険について
多くの自治体で自転車保険への義務化が広がっており、対象地域や罰則などを気にされている方も多いと思います。愛知県でも2021年10月1日より保険加入への義務化が条例で定められました。万が一の備えとして自転車保険への加入義務がない地域でも加入しておくことをお勧めしております。では自転車保険で義務化されている内容とは、いったいどんなものなのでしょうか?また、自転車を購入した際に、必ず新たに自転車保険に加入しないといけないのでしょうか?
ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、今回は実際の事故例を参考に自転車事故に対する備えや保険内容について触れていきたいと思います。
【目次】
1.事故例でみる自転車事故と保険
2.自転車保険加入のあれこれ
3.今回のまとめ
事故例でみる自転車事故と保険
①そもそも自転車保険の義務化とは!?
自転車保険の義務化が広がっておりますが、一体なにが義務化されたのでしょうか?
自転車保険の義務化において加入しなければならないとされているのは「自転車損害賠償責任等」です。
自転車事故を起こして他人にケガをさせてしまったり、他人の財物を損壊してしまった際の損害賠種責任を補償する保険に加入する必要があります。いわゆる自動車保険の対人対物賠償と呼ばれるものです。自動車保険と違い自転車ごとに加入する必要はありません。
また、自動車保険や火災保険・傷害保険などの特約で個人賠償責任保険や日常生活賠償保険に加入されている場合は自転車損害賠償責任の補償内容もカバーされているので、重複して加入する必要はないケースが多いです。
自転車事故でのご自身のケガや自転車自体への補償への保険加入の義務はありませんが、単独事故や無保険車との事故などに備えて、ご自身のお怪我に対する補償も備えておくと安心です。
②事故例 交差点での自転車同士の衝突事故
事故の概要
男子高校生による交差点での出会い頭の自転車同士の事故です。
A君はかすり傷で済み、B君は全身打撲と永久歯が7本折れてしまい後遺障害12級の傷害を受けた事故になります。
事故内容
夕方の6時過ぎに、A君もB君も高校からの帰宅途中で事故が発生。A君が坂道をかなりのスピードで下りながらノンストップで信号のない交差点に進入、B君も平らな道を一旦停止せずに交差点に進入し、運悪く衝突事故が発生。
坂道を下ってきたA君は自転車ごと宙を舞い田んぼに落下。B君はぶつかった衝撃で電信棒に顔面を強打し血まみれとなり救急車で病院に運ばれた。
ケガの状況は、A君はかすり傷で数回の通院で完治したが、B君は永久歯が7本折れるなど最終的に後遺障害12級の損害を負った。
過失割合
交差点での出会い頭の事故なので双方に過失あり。基本割合は5:5であったが、勢いよく交差点に進入したことなどを考慮し過失割合を修正した結果A君が6、B君が4となった。
保険使用で問題が発生
ケガの状況は明らかにB君が重く、当然A君の自動車賠償責任保険もしくは個人賠償責任保険にて過失割合に応じて治療費などの弁償がなされるものと考えていたが、なんとA君は自転車賠償責任保険に加入しておらず、同居の家族も個人賠償責任保険に加入していなかった。
治療費を自動車保険の人身傷害保険でカバー
歯が折れるなどの損害を負ったB君は、A君から保険での賠償を受ける事が出来なかった。しかしA君の父親が自動車保険の人身傷害保険の補償範囲を広げる内容にて加入しており、同居の家族が自転車やバスや電車等に乗車中にケガを負った場合に補償を受ける事が出来る内容となっていた。
その結果、B君は父親が加入していた自動車保険から治療費・慰謝料・後遺障害保険金など合わせて約500万円の補償を受ける事が出来た。
※人身傷害保険の内容は各保険会社により違いがありますので確認が必要です
後日談
B君の治療費の500万円に関して法律上の賠償責任はA君にある。その為、過失割合に応じて約300万円の金銭を自動車保険の保険会社よりA君およびその保護者は支払いを求められています。
自転車保険の加入のあれこれ
自転車保険に関しては、前章でも少し触れたように自転車賠償責任保険に加入するか、もしくは個人賠償責任保険・日常賠償責任保険に加入することにより満たすことが可能です。
個人賠償保険は同居の家族が一人でも加入していれば、家族全員が補償の対象となっている内容が一般的です。
保険に加入する前に確認を
自転車保険の内容を満たす補償が自動車保険、傷害保険、火災保険、子供の学校の保険、共済保険などの特約として付帯されている可能性があります。新たに自転車保険が義務化された地域でも急いで自転車保険に加入せずにまずは個人賠償責任保険の加入の有無などをご確認ください。
企業様向けの新しい補償
「自転車通勤」を認めている企業様へ、従業員さんがしっかりと保険に加入しているのかどうかの確認は出来ていますか?従業員さんが通勤途中に事故を起こしてしまいトラブルに発展してしまう可能性もあります。
新しい補償で通勤中個人賠償責任保険補償特約と呼ばれる特約があり、通退勤途上の従業員様の個人賠償事故に対応できる補償になっております。
また、労災の上乗せ保険等で通退勤途上の従業員のケガの補償にも備える事が出来ます。
今回のまとめ
個人賠償保険は年間数千円の保険料で加入できる特約で、日常生活の賠償事故に対応できるので自転車に乗る機会が無い方もお守り替わりに加入しておくことをお勧めしております。また、近年では示談代行付の個人賠償保険もあり、万一のトラブルの時にお役に立てると思います。
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