お知らせ・コラム
恐ろしい?!海外PL事故の賠償責任リスク
近年、インターネットの発達や大手ショッピングサイトの拡大により中小企業や個人事業主などでも簡単に海外の企業や消費者と輸入や輸出の取引が出来るようになりました。
日本と法律もビジネスの習慣も違う海外とのお取引ではトラブルに発展してしまうケースも散見されます。また大手ショッピングサイトなどでは、海外での生産物の事故(海外でのPL事故)に対応する保険への加入を推奨している例もみられます。
今回は、海外での賠償事故例と賠償リスクへの備えなどについて触れていきたいと思います。
【目次】
1.海外の賠償責任リスク
2.海外賠償リスクへの備え
3.今回のまとめ
海外の賠償責任リスク
海外(特に北米)の賠償責任リスクは日本に比べて高額訴訟に発展する可能性が高いうえに、思いもよらない内容で賠償責任を追及されてしまう可能性があります。
海外の賠償責任リスクは主に次の要因により我国におけるリスクとは大いに異なります。
①裁判所に提訴するのは、私たちが市役所に何かを届出をするのと同じような身近な感覚
②成功報酬を手にしようと弁護士が被害者に積極的にアプローチし訴訟提起させる
③被害者が多数の場合には、集団訴訟に発展する場合があり訴訟額が一気に跳ね上がる
④陪審員裁判では、背後の事実に基づく判断よりは被害者への同情による判定がされる傾向もある。民事訴訟においても陪審員裁判が行われる国もある
・海外PL事故での実際に保険で対応した事例を見てみましょう
1.輸出した電池の充電器から発火?
バッテリー充電器メーカーX社が海外の小売業者Y社に充電器を輸出。
小売業者Y社は、他の業者からラジコンの玩具とリチウム電池を調達し、ラジコン玩具+リチウム電池+当該充電器をセットで一般消費者に販売。この玩具セットを購入した消費者の家で火災が発生。被災者は、自ら契約している火災保険で保険金給付を受けたが、火災保険で補償されない約85万ドル(約9350万円 ※1ドル110円で換算)の損害につき、玩具を販売したY社および保険契約者であるX社に対して訴訟を提訴
・結果
原告の供述に基づき照査した結果、火災の原因は充電器ではなくリチウム電池にあると火災調査官が結論づけた。保険会社としても事故原因は充電器ではなく、玩具にあるとの調査結果を主張。保険契約者X社の責任負担は回避された。
・支払い
損害賠償金はなし。訴訟費用は8万ドル(880万円)
2.シートベルトに欠陥?
自動車の横転事故により重傷を負った者が、自動車の安全装置製造メーカーに対し、シートベルトに設計上の欠陥があったとして責任追及がなされた。
・結果
長期にわたる裁判の結果、原告はシートベルトを締めていなかったとして被告に有利な評決が下された
・支払い
損害賠償金はなし。訴訟費用は240万ドル(2億6400万円)
※自動車などの輸送用具の完成品メーカーや部品メーカーのPL保険の引き受けをストップしている保険会社もあります
3.工場火災による煙で身体障害?
工場火災が発生し、鎮火まで10日間費やしたことから、煙が1万6000人以上の住民に障害を引き起こしたとされた。ただ実際には客観的な障害はほとんどなく、呼吸器、皮膚、目、耳、鼻、咽頭の異常が生じたとの苦情であった。
保険会社では、火災による煙の身体への影響と作用について法医学的調査と分析を行った。原告勝利となった場合、損害額は6000万ドル(66億円)を超えると見積もられていた。
・結果
煙の成分などについて調べ上げ、居住者への影響に関連して、法医学的調査と分析を行い裁判所に提出。23日におよぶ事実審理を経たのちに被告側に有利な判決が下され、裁判所は16000件の請求を全て却下した。
・支払い
損害賠償金はなし。争訟費用は387万ドル(4億2570万円)
海外賠償リスクへの備え
上記でご紹介した案件では、損害賠償金はなしという裁判結果がでましたが、争訟費用に1憶円を超える金額を要した案件もあります。
海外に進出する事業者の方向けにさまざまなリスクに対応した保険がありますので簡単に内容について触れていきたいと思います。
基本補償
・施設・業務遂行危険の賠償責任補償
・生産物・完成作業危険の賠償責任補償(海外PL保険)
次のような事由によって海外で発生した対人・対物事故または人格侵害および宣伝侵害について被保険者が法律上の損害賠償責任を負担する場合に保険金をお支払いします。
☆記名被保険者の海外における業務の遂行
☆記名被保険者の海外所在の施設の所有・使用・管理
☆海外に輸出される記名被保険者の生産物
☆海外において行われた記名被保険者の仕事の結果
お支払いする保険金
基本補償では、損害賠償金の他に争訟費用や協力費用などがお支払いの対象となります。
オプション補償
従業員の不正行為による損害補償やレンタカー等の自動車の賠償責任補償、テロや誘拐などの危険な事件への対応に備える特殊危険対応費用補償など海外特有のリスクに備えた補償もあります
今回のまとめ
海外PL保険のように輸出品が事故を起こした時に備える生産物賠償保険や、実際に海外進出し現地で作業中に事故を起こしてしまった時の損害賠償責任に備える補償などがあり、保険の加入を検討する際にはリスクに合わせた内容で加入する必要があります。
また、保険料の算出は保険会社の質問書に回答しその内容に応じてリスク見合った保険料が決まります。海外進出や輸出等をご検討の企業様は是非、ご検討ください。
損害保険のご相談は株式会社保険ポイントへお任せください。
TEL>052-684-7638
お電話、メールどちらでもお待ちしております。