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《まさか!?の無資格事故多発》鋼構造物工事業ならではの労災事故に任意労災で備える

《まさか!?の無資格事故多発》鋼構造物工事業ならではの労災事故に任意労災で備える

鋼構造物工事業は、鉄骨の制作、鉄板等の鋼材の加工から組み立てまでの工作物を一貫して請け負う仕事です。

この業種を経営する事業者様は常に危険と隣り合わせだということを認識し、従業員に玉掛けやクレーンの資格を保持させていることもおおいはずです。しかしながら悲しいことに、実際に起こる事故の大半が、そのような資格を持っていない、無資格作業者による事故が多いようです。普段の安全への意識と心掛け。社員教育と資格準備は必要です。それと同時に万が一の事故に対応できるよう、上乗せ労災や賠償保険の準備も忘れないようにしたいものです。今回は鋼構造物工事にピックアップしてまとめてみました。

【目次】

1.一貫して行うのが鋼構造物工事業。他の業種との棲み分けについて

2.鋼構造物工事業に多い事故は高所作業や無資格によるものが目立ちます

3.今回のまとめ

 

一貫して行うのが鋼構造物工事業。他の業種との棲み分けについて

鋼構造物工事とは、形鋼、鋼板等の鋼材の加工や組み立てまでの工作物を一貫して築造する工事をいいます。

例えば

・鉄骨工事

・橋梁工事

・鉄塔工事

・石油・ガス等の貯蔵用タンク設置工事

・屋外広告工事

・閘門(こうもん=水位の異なる河川運河、水路の間で船を上下させる装置)、水門等の門扉設置工事

上記のような工事をいいます。

一貫して請け負うものは鋼構造物工事と覚えるとわかりやすいと思います。

以下に他の業種との棲み分け、注意点【似て非なるもの】を解説していきます。

鋼構造物工事の鉄骨工事ととび・土木・コンクリート工事の鉄骨組立て工事の違いとは

鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負う工事→鋼構造物工事の鉄骨工事

すでに加工された鉄骨を現場で組み立てることのみを請け負う工事→とび・土木・コンクリート工事の鉄骨組立て工事

屋外広告物工事のうち、鋼構造物工事ととび・土木・コンクリート工事の違いとは

現場で屋外広告物の製作、加工から設置までを一貫して請け負う工事→鋼構造物工事

それ以外の工事→とび・土木・コンクリート工事

消防施設工事との違い、建築一式工事と鋼構造物工事に該当するケース

ビルの外壁に固定された避難階段を設置する工事は消防施設工事ではなく、建築物の躯体の一部の工事として建築一式工事または鋼構築物工事に該当します。ビルの建築中に設置する場合は建築一式工事で、既存のビルに設置する場合は鋼構築物工事となります。

 

上記のように、

建設業許可を合わせて取得する場合は建築一式工事と関連性の高い業種といえますので、幅広く工事を請け負うことを考えますと建築一式工事も取得するのもおすすめです。

また、一貫して請け負う工事が多いというのは、各業者との接点も非常に多い、つまりリスクになりうるとも言えます。従業員や下請けだけではなく、周りの他業種の方との巻き込まれの事故なども想定しておく必要がありそうです。

鋼構造物工事業に多い事故は高所作業や無資格によるものが目立ちます

鋼構造物工事に多いのが、高所の作業や労働者に無資格で玉掛けをさせる中でおきる労災が多いようです。ひとたび事故が起きると重大災害になり、死亡や後遺障害、労災訴訟のリスクは大きくなります。政府労災だけではなく任意労災でしっかり慰謝料や治療費、賠償金を用意できる体制を整えておきましょう。

以下、実際に起きた事故例を載せております。

事故例

H31年1月17日送検 静岡・沼津労働基準監督署

梁(はり)と高所作業車に挟まれ死亡 鋼構造物工事業者が作業計画未策定により送検

H30年9月6日に鋼構造物工事業を営んでいる愛知県名古屋市のA工業は、同社が下請けとして請負工事をしていた工事の増築現場(静岡県沼津市)で死亡事故を起こしてしまいました。46歳の男性労働者が高所作業車で鉄製の梁のボルトを締める作業をしていたところ、梁と作業者の間に挟まれました、労働者は翌日、低酸素脳症により死亡しました。原因は作業者を上昇させた際に挟まれてしまったことによるものです。労働安全衛生法によると高所作業車を使って作業をさせる場合にはあらかじめ作業計画を策定しなければならないところ、A工業はそれを怠っていました。

事故例

H31年2月13日送検 宮城・都城労働基準監督署

無資格の玉掛けで労働者が死亡。鋼構造物工事業社を送検

H29年7月28日に、O鉄工所の工場で事故が起きました。工場では建築用の鉄板を製造していました。労働者が41枚の鉄板を束ねた重さ約320㎏の荷を玉掛けし、天井クレーンでつり上げ移動させていたところ、鉄板の束が荷崩れを起こしました。労働者は落ちてきた鉄板に突き飛ばされ、コンクリート製の地面に頭を打ち死亡しました。その労働者は玉掛けの資格を持っていなかったそうです。玉掛けの方法も不適切だったようです。通常、距離を取って2点以上を玉掛けしなければならないのを、接近した2点を玉掛けしていました。また、絞りによる固定も甘かった可能性があるそうです。労働安全衛生法ではつり上げの荷重が1トン以上のクレーンの玉掛け業務をする場合、玉掛けの技能講習を修了資格を必要としているが、O鉄工所での今回の労働者は無資格で行ったとしています。

事故例

R元年7月11日送検 千葉労働基準監督署

無資格の玉掛けでガス保安検査業者を送検。鉄板の下敷きになり死亡

Yガスエンジニアリングはタンクローリーの高圧ガスの保安検査などの事業を行う会社。H30年10月15日に同社の第二工場で、2人の労働者が働いていました。58歳の男性労働者が定時になっても上がってこないのを不審に思い、もう一人の労働者が様子を見に行ったところ、労働者が鉄板の下敷きになり、首を挟まれた状態で発見されました。救急搬送されましたが、同日死亡が確認されました。死因は頸部圧迫による窒息死です。労働安全衛生法ではつり上げ荷重が1トン以上のクレーンなどの玉掛けについて、資格者以外が業務をすることを禁止しています。クレーンについてもつり上げ荷重に応じて、就業制限を課しています。その労働者は玉掛け・クレーン双方の資格を持っていませんでした。

※上記の3事例について労働新聞社記事参照

 

いかがでしょうか。高所での作業によるものや、玉掛け作業中の事故が多いようですが、特筆すべき点は、意外にも無資格で作業をさせていることが多い点です。これだけ危険が隣り合わせで起きそうな事業であるにも関わらず、無免許で業務をさせているのは、企業の経営者としては怠慢といえます。また、上記の事故により、従業員や下請け、労働者がケガをした場合は政府労災や任意労災が対象となりますが、業務が原因で、他物を損壊したり、通行人をケガさせてしまったなどの事故については賠償保険が対象となります。

注意:無免許による事故については民間の保険会社により免責となっている可能性もありますのでご注意ください。

 

建設業28業種についてを記載したまとめサイトはこちらをご覧ください。▶【保険代理店”目線”のまとめ記事】28種類もある建設業の種類について「建設業許可」で分類される各業種を徹底解説!

これが把握できたらもう安心です!建設業の保険について徹底解説!こちらの記事もぜひご確認ください。▶【まとめ記事】これを見れば「建設業」で”今”必要となる保険がわかります!!”約10年”の実績をもつ名古屋の損害保険代理店が徹底解説

 

今回のまとめ

鋼構造物工事は一貫して請け負う工事となり、玉掛けやクレーンの資格が必要となり管理のいる業種となります。ひとたび事故が起きてしまうと軽度な事故では済まず、重大災害に発展する恐れが非常に高い業種ともいえます。現在の保険内容の管理と、保有資格や免許の管理を今一度行い、安全への意識を高めてまいりましょう。

 

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