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【頻発】トルエンによる溶剤中毒や漏水事故に注意『防水工事業で準備すべき保険とは』
建設業28業種のなかで、今回は防水工事業を取り上げます。この業種では、特殊な溶剤を使って施工を行うことが多く、それによって溶剤中毒という死亡に至ることもある労災事故が発生しています。また、業務中や施工後の漏水事故が頻繁に起こる可能性も有り、任意労災と工事賠償の2つの保険が必要となってきます。実際の事例をもとにこの業種ならではの事故から、対策に至るまでみていきましょう。
【目次】
1.防水工事業とは、あらゆる種類の材料を使って防水を行う工事を言います
2.防水作業中に多いのはトルエンによる有機溶剤による事故!労災の上乗せ保険を用意しましょう
3.防水作業中や作業後は漏水事故が多いので賠償保険が必要です
4.今回のまとめ
防水工事業とは、あらゆる種類の材料を使って防水を行う工事を言います
アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事を言います。
アスファルトとは
石油の分留精製の際に残留物として得られる黒褐色ないし黒色の固体または半固体物質のことをいいます。道路に使用されるのはアスファルトだけではなく、砕石・砂とアスファルトを加熱し混合したものをアスファルト合材といい、これを道路に使用しています。この合材を均一に敷き詰め、転圧して施工します。
モルタルとは
モルタルはセメントと細骨材と呼ばれる砂を3体1の割合で混ぜて水を加えて練ったものです。水+セメント+砂を混ぜたものというのがわかりやすいですね。材料を混ぜ合わせるときは粘りがあり、乾くと固まるという性質があり、仕上作業に使用したりします。ちなみに水+セメント+砂+砂利で練り合わせて固めて強度を求めたものをコンクリートといいます。
シーリングとは
シーリングはコーキングとも呼ばれる工事で、構造物の防水性や気密性を保持する為、つなぎ目や隙間に充填する材料の事です。建物等の隙間に粘液上のコーキング材を注入する作業です。お風呂場や洗面所のゴムパッキンを想像するとイメージしやすいかもしれません。
では、具体的な仕事内容を解説していきます。
アスファルト防水工事
アスファルトを含ませてコーティングした合成繊維不識布のルーフィングを重ねて張っていく工法です。主にビルの屋上で使用されています。
モルタル防水工事
モルタルを主材料にして防水剤などを混ぜて施工する防水層のことをいいます。
シーリング工事
外壁のボードとボードのつなぎ目をシーリング材で埋める工事です。サッシの金具と壁のつなぎ目などにも行われます。
塗膜防水工事
液状の防水材料を塗って、化学反応で防水の幕をつくる工事をいいます。
シート防水工事
ゴムや塩ビでできたシートを下地に張り付ける工事をいいます。
注入防水工事
コンクリートやモルタルのひび割れにエポキシ樹脂を注入し補修する工法です。微細なひび割れにも施工可能で、雨水の侵入を防ぎます。
使う材料は違えど、ひび割れや雨水の侵入を防ぐために作業をする仕事だということがわかります。
建設業28業種の他の業種についての関連記事はこちらをご覧ください。▶【保険代理店”目線”のまとめ記事】28種類もある建設業の種類について「建設業許可」で分類される各業種を徹底解説!
防水作業中に多いのはトルエンによる有機溶剤による事故!労災の上乗せ保険を用意しましょう
では防水工事業ならではの多い事故について取り上げます。
・防水塗装塗布作業中に急性トルエン中毒により死亡
洗剤工場の新築工事で、1階の排水貯留槽ピット内を一人で防水塗装塗布作業を行う作業者が、ピット内で倒れて死亡しているのを発見されました。使用していた防水塗料は有機溶剤の含有重量が5%以下の塗料でしたが、濃度を薄めるためトルエンを使用していました。後日、司法解剖の結果にて、死因は急性トルエン中毒だったことがわかりました。
事故の対策
このような事故が起こらないようにするには、作業現場の換気対策として送風機を置くなど十分な配慮をすること、適正な呼吸用保護具を着用させること、有機溶剤作業主任者が適正な指導、指揮、管理をすること、安全衛生教育を行い、作業手順について徹底することなどがあげられます。トルエンは中毒にもなりえる有機溶剤のひとつで、労働衛生上の許容濃度は100ppmとなっています。
・新築工事現場の浴室の防水工事の作業中、有機溶剤中毒となり入院
新築工事現場の浴室の防水工事で、塗料の塗布作業中事故が発生しました。壁面にプライマーと呼ばれる塗料を手持ちのローラーを使用して塗布する作業を一人で始めていました。他の職人が作業に訪れたところ、浴室内が溶剤の匂いで充満しており、被災者が倒れている所を発見。すぐに病院に搬送されて、有機溶剤(今回もトルエン)中毒、一過性意識障害と診断されました。2日にわたる入院治療により退院しました。
事故の対策
屋内で有機溶剤を使用する際は、窓等の開放を行うと共に、ブロアー等(送風機)で強制換気を行い、有効な保護具のしようを徹底する。
元請けは下請けに対して、有機溶剤中毒防止のための安全衛生教育、換気の方法、保護具の適切な選択と使用方法などについて、指導援助を行う。
上記の2点は同じく有機溶剤であるトルエンによるもので、発見されるタイミングにより死亡してしまうこともありえる怖い事故だとわかります。様々な溶剤を使いながら防水作業をされる業者にとって危険は隣り合わせです。そのような労災事故による死亡、後遺障害、入通院の治療費や万が一の使用者賠償に至るまでをお守りできる労災の上乗せ保険の加入がおすすめです。防水作業においては、死亡に至るまでの重大災害になることも想像できますので、労働者の必要最低限の補償となる政府労災だけでは当然足りないのです。
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防水作業中や作業後は漏水事故が多いので賠償保険が必要です
工事中または引き渡し後の事故が多いのも防水工事業の特徴ともいえます。
例えば
ビルの屋上防水作業中、塗料の入った缶を誤って落下させ隣家のカーポートと車全体に塗料がかかってしまった。→対物(カーポートの修理代と車の車両塗装代)
マンションの屋上防水作業中、突発的な大雨により、養生不足で雨漏れが発生してしまった。階下の3つの部屋と家具を濡らしてしまった。→対物(各部屋の天井、壁、床の補修代と入居者の家財の金額)
一戸建ての外壁の防水工事終了後、雨漏れが発生。原因を調査してみると、防水の目地詰めが数センチにわたり不備があったことが判明。→対物(壁や床、クロスの補修代)
上記の3例のように対物事故が多いようです。その中でもだんとつで漏水事故が多く、建物に入っている他のテナント様や居住者様の物の被害はふくらみそうです。
そこで役に立つのが工事の賠償保険です。これらの損害からお守りすることが可能です。
しかし、注意点もございます。
あくまで対人、対物の事故が起きたことによる損害をもつのが賠償保険です。
よって、例えば、
防水のシーリング自体が施工後にひび割れてしまっただけ→×
施工した後、施工不良が発覚しただけでやり直し費用が発生(雨漏りもなにも事故は起こっていない)→×
上記にあげたような、御社が行う施工に対してなにも事故が発生していない場合はお役に立てないケースとなることが多いです。
そして、もうひとつ注意すべきなのは、賠償保険の補償範囲についてです。
細かく言うと、業務遂行中のリスクと生産物リスク(施工した後)も対象となるように保険を手当てしましょう。多くの保険会社の商品の中には、それぞれのリスクを分けて補償出来たりと、保険料を抑える部分においては合理的ともいえますが、意図と反して、施工後のリスクが付いていなかったりすることがないよう、保険担当者へ確認しておくことも重要です。
今回のまとめ
今回は防水工事業に特化して、労災事故、賠償事故を取り上げてみました。従業員や下請けを守りつつ、日々の施工に対して不安なく業務を行うには、業務災害の保険や工事の賠償保険が必要となってきます。10年に1度の重大災害が起こったときにも対処が出来るよう、検討されてはいかがでしょうか。
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