お知らせ・コラム
外国人労働者に対するリスクマネジメントは万全ですか?

少子高齢化や人手不足、政府の支援やグロ-バル化により外国人労働者は年々増加し、厚生労働省によると2024年10月末時点における外国人労働者は230万人を超え、過去最高を更新しています。今回は、外国人労働者に対するリスクマネジメントについて情報提供させていただきます。外国人労働者を雇用しているという企業経営者・事業主の方だけでなく、外国人労働者の雇用を検討しているという皆さまにとっても参考となれば幸いです。
【目次】
1.雇入れ時・離職時の注意点
2. 労務管理と労災対策
3. 今回のまとめ
1.雇入れ時・離職時の注意点
外国人労働者を雇用する場合、不法就労に関するリスクを回避するために在留資格の確認が必要となります。不法入国者やオーバーステイなどの不法滞在者を雇用した場合や入国管理局から働く許可を受けていない者を雇用した場合、在留資格において認められた範囲を超えて就労に従事させた場合は不法就労となり、使用者やその従業員は「不法就労助長罪」という刑事罰の対象となります(入管法73 条の2)。また、労働施策総合推進法第28 条により、外国人労働者を雇用する事業主には、外国人労働者の雇入れ及び離職の際に、その氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域等について確認し、ハローワークへ届け出ることが義務付けられており、届出の対象には外国人留学生のアルバイトも含まれます。届出を怠ると、助言、指導、勧告の対象となるだけでなく、30 万円以下の罰金の対象となるため、届出を失念することがないよう注意する必要があります。
※AIG損保ホワイトペ-パ-「外国人労働者を雇用する際のリスクマネジメント」より
2.労務管理と労災対策
労務管理
日本人労働者と同様に、外国人労働者に対しても労働関係法令及び社会保障関係法令は適用されます。その一方で、外国人労働者には、日本人労働者とは異なる配慮が求められる部分もあり、厚生労働省は外国人雇用管理指針を作成し、使用者に適切な配慮を求めています。従事すべき業務の内容や賃金、労働時間その他の労働条件を書面等で明示する「労働条件の明示(職業安定法5 条の3 第1 項)」において、特に「賃金に関する説明(賃金の決定、計算及び支払の方法、税金、社会保険料、労使協定に基づく賃金の一部控除の取扱い)」について外国人労働者が理解できるよう説明し、実際に支給する額が明らかとなるよう努めることとされています。外国人労働者の中には、契約書で明記された業務以外は、する必要がないと捉える方や賃金から税金や社会保険料が控除されることについて認識がない方も多いという実情からも、丁寧で分かりやすい説明と書面等でも労働条件を伝えることが重要です。また外国人労働者を含め、常時10 人以上の労働者を使用する場合に作成・周知が必要となる「就業規則の周知」についてもしっかりと対応する必要があります。日本語がよく分からない外国人労働者を雇用した場合には、厚生労働省が公表している英語版、中国語版、ポルトガル語版、ベトナム語版のモデル就業規則を参考に就業規則の内容を翻訳したり、理解できる言語で説明したりするなど、当該外国人労働者が就業規則の内容を実質的に理解できる環境を整備することが重要です。
労災対策
外国人労働者の数が増えるのに比例して、外国人労働者の労災事故件数も増加傾向にあります。労働契約法5 条において「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とされており、使用者は外国人労働者に対しても安全配慮義務を負います。労働条件や就業規則の場合と同様に、母国語等を用いたり、あるいは映像等の視覚教材を用いるなど、当該外国人労働者がその内容を理解できる方法で行うといった措置が取られていない、あるいは不十分な状況において、労働災害等が起きた場合には、安全配慮義務違反であるとして、使用者が損害賠償責任を負う可能性があります。労災事故により、従業員の生命・身体に大きな危険が生じる可能性があることからも安全衛生の確保に向けた措置を講ずるとともに、後に紛争化した場合に備え、いつどこで誰が何をどのように教育したのか等を記録に残しておくことが重要です。
※AIG損保ホワイトペ-パ-「外国人労働者を雇用する際のリスクマネジメント」より
今回のまとめ
地震大国日本においては、外国人労働者からの地震や台風などの自然災害に関する不安の声もよく耳にします。首都直下型地震や南海トラフ地震が発生した場合、多くの外国人労働者が被災することが予想されます。地震を経験したことがない外国人労働者も多く、災害時の行動についての知識を持っていないケースもあるため、日本人であれば知っていて当たり前と思える基本的な事項についても、雇用する外国人労働者が理解できるよう配慮するとともに、日頃から防災訓練・教育を実施しておく必要があると言えるのではないでしょうか。外国人労働者に対しても日本人に対するのと同様な備えが必要になります。けがや病気になった際の経済的な支援や健康相談やメンタルヘルスに関する相談窓口の設置、不当解雇やハラスメントの雇用トラブルや労災事故等に伴う訴訟リスクは労災上乗せ保険の補償や付帯サ-ビスで備えることが可能です。英語や中国語による相談対応が可能なサ-ビスを取り扱っている保険会社もございます。気になる方はお近くの保険代理店までお気軽にご相談ください。
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