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労働時間についてのQ&A

労働時間についてのQ&A

2024年の4月から建設業や運送業でも労働時間の上限規制が定められて、全ての事業において従業員の労働時間の把握は必須となりました。ただ 労働時間の把握を行ううえで、現場への移動時間や直行直帰の時間など労働時間なのか、通退勤時間になるのか線引きが難しいケースも出てきてしまいます。今回は実際の事例を踏まえながら、労働時間や拘束時間の考え方について触れていきたいと思います。

 

【目次】

1.どこまでが労働時間なのか?

2.拘束時間から除外可能なのか?

3.今回のまとめ

 

1.どこまでが労働時間なのか?

【Q】当社の業務は事務所とは異なる現場へ出向いて行う作業が大半です。現場への移動は、事務所へ集合し社用車でむかったり、従業員同士で調整し車で直行を認めたりするなど様々です。どこまでが労働時間と扱うか疑問が生じたのですが基準などはあるのでしょうか? (労働新聞社 安全スタッフ参照)

【A】通勤時間や現場への直行直帰は労働時間にあたらないが、状況によっては労働時間となることもあります。

労働法上、労働時間とは使用者の指揮監督の下にある時間をいうとしています。明示の指示だけでなく黙示の指示も含みます。自宅から会社への移動する際の通勤時間については、一般的には労働時間にあたらないとされています。労務の提供という労働者の責務は、使用者である債権者の求める場所で提供することを内容とする持参責務であり、通勤という行為は労働力を使用者の下へ持参するための責務履行の準備行為に位置づけられており、業務性を欠いているほか自由利用が保障されている為です。

会社などに集合し社用車に乗り合いで作業現場に向かう場合はどうでしょうか?

労働時間の該当性の判断については個別具体的に行う必要があるとしていますが、基本的に移動時間については直行直帰の場合や、移動中に業務の指示を受けず、業務に従事することなく、移動手段の指示も受けずに自由な利用が保障されている場合には、労働時間に当たらないと考えられています。また、労働者間で運転手や集合時間を決めて社有車で工事現場に直行直帰を行った場合や一度最寄りの事務所に集合し従業員が運転する社有車で現場に移動し車内では業務を行っていなかったケースなども労働時間に当たらないと考えられています。

例外的に労働時間に該当すると考えられるケースとは

① 移動手段として、社有車に乗り合いで現場に向かうこと等が指示されている場合

② 現場に移動する前に会社に集合し資材の積み込みをしたり、現場から会社に戻った後に道具清掃、資材整理するよう指示されていたりする場合

③ 移動の車中に使用者や上司も同乗し打ち合わせが行われている場合

2.拘束時間から除外可能なのか?

【Q】当社は貨物自動車運転事業です。渋滞に巻き込まれた時間などは、予期し得ない事象への対応時間として、拘束時間にカウントしなくてもよいと聞きました。具体的にはどのような場合でしょうか。また賃金の支払い対象としなくてもよいのでしょうか?(労働新聞社 安全スタッフ参照)

【A】予期し得ない事象への対応時間の取り扱いがあります。該当すると休憩でない限り賃金支払いの対象とすべき労働時間と取り扱う必要はありますが、告示関係では,

①一日の拘束時間  ②2日平均の運転時間  ③連続運転時間 は、カウント対象としないことが出来ます。

トラックの場合

トラック運転業務の労働時間について労基法や改善基準告知などの制約がありますが、予期し得ない事象の場合下記の3点がカウントの対象外となります。

① 始業~終業の時間(労働時間と休憩時間の合計時間)である「拘束時間」について、原則月284時間以内、年3300時間以内とする必要があります。労使協定を締結すると、1年のうち6カ月まで月310時間へと延長ができますが年3400時間を超えない範囲とします。

② 運転時間について2日平均で9時間以内とする

③ 連続運転時間を原則4時間以内とする

労働時間と拘束時間の違い

例えば、始業~終業の時間が18時間でうち1時間は休憩時間、3時間は事故の発生に伴う渋滞に巻き込まれた時間とすると、労働時間は休憩を除く17時間ですが、拘束時間は渋滞を除く15時間となります。なお除外できるのは前述の①②③だけで1カ月の拘束時間などの他の制限では除外することは出来ません。また、休憩時間について、勤務終了後は連続11時間以上が基本で9時間を下回らないように休憩を与えなければなりません。

予期し得ない事象への対応時間とは

① 乗車中の車両の故障

運転中の車両が予期せず故障し、修理会社等に連絡して待機する時間や、レッカー車などで修理工場に移動する時間、修理中の時間などが該当します

② 乗船予定のフェリーの欠航

③ 災害や事故の発生に伴う道路の閉鎖または渋滞

④ 異常気象(警報発表時)に遭遇して正常な運転が困難になったこと

前方を走行する車の衝突事故により発生した渋滞や、河川氾濫に伴う道路の閉鎖などは対象ですが、事故等によらない自然渋滞(イベントの開催やお盆休みの帰省ラッシュなどの単なる交通集中等)などは含まれません。

3.今回のまとめ

労働時間や拘束時間の定義や一般的な解釈について触れてきましたが、後々のトラブルに発展しないためにも労働時間について会社側と従業員側との間で共通認識を持っておく必要があると思います。雇用トラブルの保険や、使用者賠償保険など会社をお守りする保険はございますが、就業規則の整備や従業員との話し合いなども大切にしてもらいたいと思います。

 

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